リボツナ2 | ナノ



5.




結局、目覚ましは欲しかったので買ってもらうことになったのだが、今度の休みにリボーンが買ってくれるという話になった。
母さんは学生(大学生)のリボーンに悪いと言っていたが、全然悪くないと思う。だってコイツが壊したんだ。しかも反省してもいない!
ニヤニヤと性質の悪い笑顔で「明日はまた起こしてやるかなら。」なんて嬉しそうに言われてみろ!絶対反省してないってバレバレだ。



そうして、今日もカテキョーの幼馴染みに起こして貰うことになったのだが。




その日、覚醒を促したのはリボーンの美声ではなく、銃声と硝煙の臭いだった。

何が何やらわからなくて、ぼやける目を擦りながら起き上がると第一声は「伏せろ!」だった。
ちなみにコロネロだと思う。
次はリボーンの「てめぇツナから手ぇ離せ!」で、「ハン!オレが一番のりだぜコラ!」と続いて、気が付くと起きた筈のベッドへ逆戻りしていた。
しかもコロネロが覆いかぶさるというおまけ付きで。

「って、言うか…コロネロ重い。」

分厚い筋肉が逞しい胸板で、ベッドに押さえつけられている。

この体勢で大丈夫なのだろうか?
見ればやはりコロネロは、身体の下敷きにしたツナを確認するなり真っ赤に染まった。顔や耳どころか首までだ。

「わわわっ悪い!」

「いーよ。オレは平気。…で、朝っぱらからオレの部屋でコロネロとリボーンは何してんの?」

もの凄く面白くなさそうなぶすくれた顔でリボーンがこちらを睨む。
コロネロに手を引いて貰い、どうにか起き上がってところだったのだが、自分で起こすと言った手前、自分で起こしたかったのだろうか。

「そう言えば、何でコロネロが朝からいるの?」

「コイツに目覚ましを壊されたって言ってただろうが。」

コイツと指差されたリボーンが馬鹿にしたようにコロネロに言った。

「オレは奈々に頼まれてカテキョーをしてるんだぜ?てめぇみたいに寝込みを襲いに来たヤツとは違う。ダメ生徒を起こしてやってるだけだ。」

奈々とは母さんのことだ。リボーンと母さんは仲がいい。

「ねねねね寝込みを襲ったわけじゃないぜっ!」

「分かった!分かったから離して!」

そんなこと言われなくても分かってる。リボーンは存在が卑猥だから出てくる言葉もそうなるだけだ。
だから一々顔を近付けていい訳しなくてもいいからね?

ようやく顔の近さに気付いたコロネロが後ずさる。そこまで必死に飛び退かれると傷つくよ。

「げ、また10分過ぎてるじゃん。」

とりあえず放っておいて、パジャマのボタンを外していく。
でもどうしても気になるんだよな。視線が痛いったらない。
仕方ないので手を止めて振り返って言う。

「…ふたりとも、出て行こうって気にはならないの?」

「「なんでだ。」」

どうしてハモるの。そしてどうして着替えを穴が開くほど見てるの。

「まぁいいや。」

こいつらと関わってると時間が足りなくなる。ポンポンと脱ぎ捨てて手早く制服を身に着けるとまた横から手が伸びる。

「…あのなぁ…。」

今日こそ言ってやろうと思っていたのに、意外と真剣な顔をしてネクタイは結んでいることに気付いた。
いつもこういう顔をしていればいいのに。

すぐに結び終わり、伏せられていた瞼が上がる。するといつものオレ様カテキョーに戻った。
ちょっと残念。

「今日も外されてくるなよ。」

声を掛けられてはっとした。今、何か考えてた?

「体育あるんだけど?」

「ちっ、しょうがねぇな。」

言えば襟をぐいっと掴んで寛げる。せっかく綺麗に結んだネクタイもよれた。

「な、何?」

ニイッと悪戯を思いついたあの顔をしている。思わず後ずさる。近付く、近付いて…噛み付かれた。

「ぎゃぁーー!おまえぇぇぇ!なんっ!」

あまりのことに言葉にならない。噛み切られるかと思ったのだ。怖ぇ!
片手で噛まれたところを押さえ、涙目でリボーンを睨むとそこにいる筈のリボーンが居ない。

あれ?

気が付くとコロネロ共々居なくなっていた…。

何でコロネロも?
まあいいや。と、いつもの恐怖の悪戯が終わったことで安心したオレはネクタイをして襟で隠さなければ見えなくならない跡を付けられたことに気付かずに、そのままよれよれのネクタイで登校して行った。

その日、クラスメイトが微妙な視線でこちらを見ていることには気付いたツナが友人の山本に訊ねて、やっとその跡がキスマークとやらだということを教わり、きっちりネクタイを締めたが後の祭りだったとか。

憧れの京子ちゃんの友達の花という女の子にぼんやりした顔してやるわね〜!なんて言われて言葉もなかったことをカテキョー様に言っても右から左だった。

「お前はオレに何したいの?!」

「…頑張って大人になれよ。オレが教えてやるからな。」

「いらんわ!」

というような会話を交わしたのだった。



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