リボツナ2 | ナノ



溶けた角砂糖みたいに




ひとつ、ふたつ…と角砂糖を沈める。
普段はストレート派だけど、今は甘い物が欲しかったからだ。
茶褐色に沈んでいく角砂糖はすぐに小さな泡を立てると形を崩していく。
それをスプーンで軽くかき混ぜてゆっくり口を付けた。

時間は午前1時を回ったところ。
相も変わらずリボーンは仕事と首っきりで今日もまだ帰ってきてはいなかった。
別に待っていた訳じゃなく、オレも教師の仕事を進めたいので起きているだけだ。
年明けに小テストをしてどこまで進んでいるのかを確かめたいから。

ぐりぐりとこめかみを指で押さえ、腕を上げて伸びをする。
大きな欠伸を出していれば、リボーンが帰ってきた。

「おかえりー。」

「…ただいま。」

起きていると思わなかったのか、オレを見つけると目を瞠る。
それにくすりと笑うと夜食の支度をしに席を立った。
それを見てリボーンがオレの座っていた机の上を覗き込む。

「仕事か…?」

「そー、新学期が始まって前に受け持ってくれた先生がどこまで進めてくれたのかの確認を兼ねて小テスト作ってたんだ。」

集中していたせいか肩が張っている。ぐるぐる回していると腕を取られ、思い切りリボーンの背中の上に引っ張り上げられた。

「いてっ!いたたたっ…!」

「お前、身体動かしてねぇだろ?もうちっと運動しとけよ。」

「ムリだよ。オレ運動苦手だし。」

学生時代に付いていたあだ名は伊達じゃない。
運動ダメ、勉強ダメ、度胸もない…そんなんじゃダメだと気が付いてどうにか必死に勉強して教師になったのだ。
でも相変わらず運動はダメなんだけどさ。

無理矢理伸ばされた背筋が痛くて、恨めしげにリボーンを睨むがちっとも堪えていない。呆れ顔で肩を竦めている。

「そんなんだから2回で気ぃ失う羽目になるんだぞ。」

「な…」

「この前の時にはさすがのオレでも驚いたな。…そんなによかったのか?」

「バッ…!」

なんてこと言うんだ、この破廉恥ヤローは!
大体あれはお前がしつこいから…って、思い出させるなよ!

恥ずかしさにぷるぷる震えていればくつくつと楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

「笑うな!エロ魔人!」

頭にきて思わずポロリと本音が零れた。するとピタリと笑い声が止まる。
恐る恐る振り返ると口端を上げただけの表情でこちらを見下ろす目は笑っていなかった。

「そーか、よーく分かったぞ。それなら期待に応えてやらなきゃならねぇな…」

「いいい、いらない!期待してないから!」

って言ってるのに。

軽々抱え上げられてキッチンから居間へ、居間から廊下へと連れ出される。
ひぃぃい!と声を上げたくともスカルやマーモンにこんな情けない姿は見られたくなくて、どうしても小声になるし暴れられない。

「し、仕事で疲れてるんだろ?それに夜食は?」

「疲れてるぞ、この前と同じくらいな。」

嫌な台詞に泣きたくなった。この前と同じくらい疲れてるってことはしつこさも同じってこと?だって言ったのだ、疲れてるとシタくなると。

「やめとけよ!夜食喰って寝とけってば!」

「…だから喰うんだろうが、大人しく喰われとけ。」

「ってオレ喰う気?!」

「煩ぇぞ。」

慌てて逃げ出そうとしたら口を塞がれた。
いつの間に脱衣所まで連れて来らたのか、扉に身体を押し付けられると逃がさないように腕に囲われて貪られる羽目になった。
上手く息継ぎができないまま翻弄され、気が付けばパンツ一枚身に着けていない。

「ちょ…っ、なに?」

そのまま浴室に投げ込まれ、リボーンも入ってきてパタンと扉が閉まる。

「風呂場はよく声が響くからな…大きな声出すと弟たちが飛んでくるぞ。」

「…やめる気は…」

「ない。」

気の済むまで付き合わされたツナが翌朝どうなっていたのか、それを知るのはリボーンだけだった。


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