リボツナ2 | ナノ



11.




キィ…と門が閉まる音がした。
起こさないようにと静かに出てきたので、こんな大きな音が出てびっくりした。

今朝はなんだか顔を合わせ難くて早めにうちを出てきてしまった。
主にリボーンと顔を合わせることが恥ずかしくて。

彼らにもリボーンと同じく説明をしようとは思ったが、朝からする話でもない。
帰ってからでもいいか、そんな風に思って出てきたのだが…








この時間ではまだ校門も開いてはいないだろう。
仕方なく近くの24時間営業のハンバーガーショップで暇を潰し、朝練で開く時間に滑り込む。
珍しい沢田に、同じ教諭どころか生徒にまで「今日は雨?」等と失礼なことを言われた。

「ったく、そんなに珍しいかな?」

とっても珍しいことなのだが、本人には理解されていなかった。
朝特有の湿り気を帯びた少し冷たい空気に身体を冷やされながら、教科準備室に到着する。
ガラリと開ければ少し篭った匂いに、窓を開けて空気の入れ替えをした。

人心地ついて、ポットに水を入れて沸かす。
お茶は母が送ってくれている、おいしい物だ。

沸くのを待つ間に、考えるのは父さんへの対応だ。
継ぐ気はない。はっきり言っているのにまだ諦めていないのだ。あの人は。
もっと言えばその後ろにいる人がオレを諦めてくれていないんだろう。

深くため息を吐くと、椅子の背に凭れかかる。ギィィと金属の擦れる音がして、しかしそれさえもどうでもいい。

もう一つの気懸かりは、彼女が諦めてくれたかだ。
幼馴染みの彼女とは、性別を超えて友達だとは思っている。
彼女の方がそう思っていないことも理解していたが、ともかく家を出たかったオレはそこをきちんとせずに出てきてしまっていた。
父さん曰く「許嫁」らしいのだが、まったくそんなそぶりもなく過ごしてきたのだ。そんなこと言われても困る。
押しに弱い性格を逆手に取られて今まで何も言わずにいたのだが…

「ツナヨシ!」

ガラリと開いた引き戸から、マーモンが現れた。
スカルは見えない。

「あれ?早いな…スカルはどうしたの?」

「ツナヨシがボクを置いていくからでしょ。スカルは弁当作らせてるよ。」

「…ごめんな。」

スカルにも後で謝ろう。

「スカルはいいよ。…兄さんが昨日何かしたんでしょ?」

何もなかったことに落胆しているとは言えない。
顔を赤くしていると、勝手に判断したマーモンが呪詛を唱える。怖い。

「ああああのな!何でもないから!何もなかったんだって!!」

「…何もなくてなによりだけど、ツナヨシは残念そうだね?」

「とんでもない!」

ぶんぶんと首を振るとそれを見てマーモンは口をへの字に曲げた。

「むっ。…まぁいいや。騙されておいてあげる。その方が精神安定上いいからね。」

察しのいい三男に泣きそうだ。
顔を伏せていると、頭を撫でられる。

「マーモン、オレ教師。」

「別にいいじゃない。頭くらい触っても。」

どっちか年上だか分からない。髪を手櫛で梳かされて瞼が落ちてきた。早く起き過ぎたか。
トロン…としていると手が止まって顔に陰が落ちる。
気配がしてぼんやりと見ると、マーモンが髪に顔を埋めていた。

「…そういうことは女の子にしなさい。」

「別にいいでしょ?好きな子なら。」

「好き違いだよ、ホントお前ら兄弟はそっくりだね。」

「失敬な、似てないよ。」

プンプンと顔を上げて怒る。
さっきまでの濃厚な雰囲気は霧散して、少しほっとした。
だってあの感じはリボーンのそれとそっくりなのだ。困る。

寝てたのが悪かったんだと起き上がり、伸びをするとポットのお湯が沸騰していたことに気付いた。

「お茶飲んでく?」

「貰うよ。」

適当ににぎってきたおにぎりを渡し、お茶を煎れているとまた扉が開く。

「綱吉!」

「あ、おはよースカル。」

「おはようございます…。」

慌てて駆け込んできて、綱吉の顔をみて気が抜けたようだ。半分開いたままの扉に手を掛けたままへたりこむ。

「心配掛けてごめんな。」

「いいです。綱吉が元気になってくれていれば。」

さっと立ち上がると、肩を掴まれた。
そのまま襟足、耳裏、Yシャツの襟に指をぐるりと入れて中を覗く。
四男の意外なセクハラに身体が凍った。

「何もされてないみたいですね。よかった。」

「ちょっと…よくないよ、何セクハラしてるの?呪うよ。」

マーモンがおにぎりを入れてきた入れ物をスカルに投げた。

落ちた入れ物を拾うと身体が離れたので、じりじり後ろに下がる。
さすが、あのリボーンと兄弟だ。こいつら何気にセクハラしやがる。

「やっぱ住むとこ探そうかな…。」

「「嫁いで来たんだろ(でしょ)。」」

本当にお前ら兄弟そっくりだ!




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