リボツナ2 | ナノ



7.





面談を終えると5時を周っていた。
生徒も教師もまばらになる。
リボーンはマーモンと別れ、押していた仕事を明日に回して教員用の門の前で待っていた。

逃がす気はない。
やっと会えたのだ。

それから30分が過ぎた頃、ようやくほっそりとした小柄な青年が姿を現す。
手には教材なのか資料なのかを抱えて、今にもこぼれそうだ。

「チャオ。沢田先生。」

「あれ…確かマーモンの?」

こちらを向いた途端、手の荷物が落ちた。慌てて拾う綱吉に、同じく拾ってやるとその手を取って車に押し込む。

「へ?何?何ですか?」

「送ってやる。そんな荷物抱えて帰れないだろ?」

「…ありがたいですけど…お忙しいんじゃ?」

「仕事はある、が沢田先生と話がしたい。…オレはリボーンだ。敬語もいらない。」

後ろの席に荷物を載せると助手席に押し込んだ。押し込まれた綱吉は目を白黒させている。
抵抗もしない綱吉に危機回避能力の有無を問いたくなった。
まぁいい。

「リボーンさん。」

「さんはいらねぇ。」

「じゃ、リボーン。どうしてオレなんかと?」

心底不思議そうに訊ねるが、こっちはずっと探していたのだ。
しかしそれも相手が覚えていれば言えるが、綱吉は覚えていない。

「なんとなく話してみたくなった…。」

「なんとなくねぇ…。」

まぁいいか。と至極あっさり言うと、シートベルトを締める。
連れ込んどいて何だが、こいつこんな面でこんな警戒心なくて今まで何事もなかったのか?!
今はその方が都合がいいが。

「飲めるか?」

「う〜ん、あんまり強くないんだけど…飲むのは好きだな。」

「ワインは?」

「白の辛口なら。赤は軽いのが好きかな…。」

「それじゃ、こっちで適当に決めるぞ。」

「いいよ。」

もっと強引に連れていく事になるかと思いきや、意外にすんなり事が運んだ。
…何度も言うが、こいつ警戒心がねぇ。いつものこととして流してやがる。

いつも誰かにこういう扱いを受けていて、慣れているということにムカムカする。
それでもハンドル捌きは荒くならない。怖がらせたら後々困るからな。

狼が手ぐすね引いて待っていることを知らないのは赤頭巾だったか…。
それと変わらない綱吉だった。











ポーポー…鳩の鳴き声が聞こえる。
閑静な住宅街にある、お世辞にも綺麗とは言いがたいマンションの一室に安らかに眠る青年とそれを見詰める青年が同じベッドで横たわっていた。

シーツの下は上半身裸のリボーンと、真っ裸にされ寝ている綱吉。
ニヤリと笑うその顔はあくまで黒い。

「おい、そろそろ起きないと遅刻じゃねぇのか?」

「う…ん?……うっ?」

わざと覆いかぶさり、上から覗き込んで声を掛ける。
最初はぼんやりとしていた意識が、リボーンの顔を見つけるとかっと目を見開いた。

「あれ?…」

「おはよう、ツナ。」

やっと思い出したという顔で、目の前の顔を見る。

「おはよう?あれ?どーしてここにリボーンが?」

「飲酒になるから泊まってけっててめぇで言っただろうが。」

「そうだっけ…ぇえええっ!」

起き上がると何も身に着けていない自分に驚愕している。
呆然とする細い肩にちゅっ…と口付ける。

「んぎゃーー!何っ!何するんだあああ?!」

口付けられた肩を庇って、もう一度ベッドに沈む。その顔の横に手を付くと、逃げられないように身体の上に跨り今度は額にキスを落とす。

「昨日は可愛かったぞ。」

「ちょっと待って…マジ?」

「マジも何も分からねぇのか?」

「って、オレ初めてなんですけど?!何があったの…って言うな!言わなくていい!!うぇええ…ちょっとおまえなんで酔っ払った男とスルの?!どう見ても相手に不自由してる顔じゃないよな?」

「当たり前だ。寄って来て煩いくらいだぞ。」

ふふん、と笑うとムカつくと呟かれた。
少し尖った唇が可愛い。

「オレはお前がいい。」

目を見て言うと瞳が揺れた。見る見る赤くなる顔。
赤くなった顔を見られたくないのか、横を向いてシーツの中に隠れる。

「オイ、出てきやがれ。」

「…いやだ。」

「さっきも言ったがそろそろ時間じゃねぇのか?」

がばり!と起き上がるとリボーンの横をすり抜ける。
何も身に着けていない裸体が白く艶かしい。それにほくそ笑むと、声を掛ける。

「腰は大丈夫か?」

「何!って…腰?…痛くない…どこも痛くない。」

聞かれてハッとしてそのまま振り返った。

「おまえ〜さっきの嘘だろ?!!」

「オレは可愛かったとは言ったがそれ以外は言ってねぇぞ。」

シャツを手にしただけの姿を惜しげもなく晒している。
分かってもいないその姿を堪能してから言ってやる。

「目の保養だな?」

「!!?」

やっと分かった綱吉が手にしていたシャツを被ると部屋から消えていった。
被っていったのがリボーンのシャツだといつ気付くのか。

くくくくっ…腹の底から笑うのは久しぶりだった。
可愛い青年を、これからじっくり時間をかけて落としていこう。
最初の出会いを覚えていなかったことももういい。

これから彼と色々作っていけば。

「そう言えば、マーモンも狙っていやがったか…まぁいいだろう。」

その後、シャワーから出てきた綱吉に身体中の跡を責められて、逆に返り討ちにして余計に増やしたとかもあったようだ。

こうして綱吉との縁を繋ぎあわせたリボーンは、その後も強引に事を進めて今に至る。


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