リボツナ2 | ナノ



4.




シャワー室から出て、タオルでガシガシと頭を拭いて廊下に出る。
広いこの屋敷には、2階にもシャワー室があり物ぐさなコロネロはそこで済ませることが多い。

24時間ぶりに仕事から解放され、今日も風呂に浸かることも面倒で適当に流してきただけだがさっぱりはした。
今回の任務はさほど大きな仕事ではなかった。それでも要人警護は周りを警戒していなければならず、図らずも神経は疲労していたようだ。

癒しを求めるように彼の元へと足を向ける。

1階のキッチンに向かうと、いつもはいない三男と四男がしきりに夕食の支度をしている小柄な青年に話し掛けている。三男に至っては金にしか興味がないと思っていたのは間違いだったのか、金よりもあの青年が上にきただけなのか。四男はクールが売りではなかったのか。…一番脂下がっているのは今は仕事中の長男だろうが。

「夕飯まで悪いなコラ。」

「あ…おかえりなさい。今日は早く終わったから作ってるだけだし、忙しくなったらマーモンやスカルにお願いしちゃうと思うんで、気にしないで下さいね。」

ニコっと笑顔付きの挨拶と台詞に、内心ドキドキしているが顔には出していない筈だ。
しかしこれでオレより年上だっていうのが不思議だ。いって二十歳そこそこにしか見えない。

三男と四男の白い視線を物ともせず、後ろに回ると手元を覗き込む。

「今日はドライカレーとトマトサラダです。すぐに出来るんでテレビでも見てて下さい。」

「おいしそうだな…それから敬語はいらないぜ。オレの方が年下だ。」

「そっか…リボーンより2つ下だったよね。…うん、それじゃあ遠慮なく呼び捨てにしちゃうね。」

肩越しの上目遣いに顔を赤くしていると、後ろから三男と四男が蹴りとパンチを入れてきた。フン、そんな鈍らな蹴りとパンチじゃ全然きかねぇぜ!

「早く離れなよ、筋肉馬鹿が移ったらどうするの。」

三男の言葉は刺々しい。

「猛獣のような性格なんで、コロネロ兄さんには近寄らないように。」

四男はしっかりと釘をさす。

「んだと!コラぁ!!」

「ははははっ!仲いいんだね。オレ兄弟居ないから羨ましいよ。」

全然分かっていない綱吉が笑っている。どこを見て仲良しに見えるのか。かなりの天然だ。

綱吉は笑いながらも手際よく調理していく。
まさに理想の嫁。可愛いし、ちょっと鈍いが、料理上手だ。

コロネロは椅子に腰掛けると、気になっていたことを訊ねた。

「リボーンから聞いたが、お前、ボンゴレカンパニーの専務の息子らしいじゃねぇか。こんなところに居ていいのか?」

「ボンゴレって…イタリアが本社の?あそこは血族経営だよね。セカンドの息子ならその跡を継ぐんじゃないのかい?」

途端に苦虫を潰したような顔になった。

「オレは普通の高校教師がいいんだ。家業はそれに見合った人がやればいいと思う。イヤイヤ継いでも碌なことにはならないよ。」

背中を向けるとザクザクと先ほどより手荒な包丁使いになる。
余程聞かれたくなかったようだ。

「…つまり、そこから逃げてきたって訳ですか?」

返事がない。それは肯定だろう。
しかし…

「それじゃあ、リボーン兄さんと駆け落ちしたみたいですね。」

と、ついスカルの口が滑る。
途端に包丁が止まり、後ろから見える耳と項が真っ赤に染まっていた。

両横から次男と三男が四男を締め上げる。
ここからは小声での攻防だ。

「っ何言ってやがる!ツナは頼るヤツが居なくてここに来ただけだろうが!コラ!!」

「本当に君は馬鹿だね。頭がよくても肝心な時に口が滑るんじゃ使えないよ。」

「〜!オレだって、好きで出たんじゃない!あんな極悪非道な男とそんな仲なんて認めていないのは一緒だ。」

兄弟3人でどつき合っていると、恐る恐るといった様子で綱吉が振り返る。

「あの…」

パッと離れ、ツナに向き合う3人。

「オレとリボーンはそんなんじゃないからね?」

真っ赤に染まった顔と泣きそうな瞳では、嘘がバレバレだ。
それでもそれに縋りたい3人は大きく首を縦に振る。

「そんなの言われなくても分かってるよ。ツナヨシはボクが貰うんだから。高校生だけど経済力はあるから、お嫁においで!」

「何言ってるんですか?!オレも高校生ですが、兄さんの手伝いと先物取引や株での儲けがあります。養えますよ。」

「てめーら!ガキんちょには用はねーぜ!!ココを出て一緒に暮らすか。」

「イヤイヤイヤ!!何言っちゃってんの?!さっきの聞いてた?」

自分よりでっかい3人ににじり寄られて、流しの隅にまで追いやられた。
これ以上避けられない。
泣きそうになっていると、3人の背中から声が掛かった。

「てめぇら纏めて役者不足だ。ツナはオレに頼ったんだよな?」

キッチンのドアを背に、ニヤリと笑うリボーン。
これ以上もなく染まった顔をふいっと横に向ける。

「丁度いいや。ご飯にするよ。」

恥ずかしいのかぶっきらぼうになる。
手で3人を追いやると、リボーンの方を見ずにカレーをよそい始めた。
サラダを綺麗に盛り付け、ドライカレーの上にはオニオンフライとゆで卵がのっている。

「リボーンも手を洗っておいで。それから、マーモンとスカル、コロネロは笑えない冗談は言わないの!ご飯なしにするよ?」

メッ、と睨みつけられてそれ以上言えるヤツがいるだろうか?
冗談ではなかったが、急いでも仕方ないので一旦納めることにした。あくまで一旦。

「ツナ、タオルが見当たらねぇぞ。」

洗面所からリボーンの声がする。

「あれ?さっき畳んだんだけど…ゴメン、ここに置きっぱなしだった。すぐ持ってく。」

タオルの山を持って洗面所に向かう綱吉。それから戻ってきたのは30分は過ぎてからだったとか、目元と唇が赤かったとかには突っ込みたくない3兄弟だった。



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