小説 | ナノ


赤ずきんちゃんとずるい狼 3



操り人形のように腕を自分の股間に導かれたツナは、先の展開が読めずに視線をウロウロと彷徨わせていました。
そんな物慣れない様子のツナをリボーンは楽しそうに見詰めています。
「下着、返してよ」
確かめたのだからもういいだろうと言えば、リボーンは肩を竦めて首を横に振りました。
「いいや、まだだぞ。お前が次の猟師協会の長っつーなら、オレより上になるってこった」
「そうなの?」
リボーンがどれほど猟師としての腕があるのかは分かりませんが、少なくとも自分よりは上手なのだろうと思います。
最初に出会った時、リボーンは手入れの行き届いていた猟銃を担いでいました。猟師にとって猟銃は命より大切な物です。
それがあれほど使い込まれているのに綺麗になっていたのだから、きちんと手入れをしている物だということはツナにも分かりました。
それだけ狩りの経験が多いということでもあります。
跡を継ぐということに今更怖気づいたツナが下唇を噛んでいると、上に伸し掛かるリボーンが何かを企んでいるような笑みを浮かべて顔を近付けてきます。
逃げられないツナは股間を手で隠したまま、自らベッドに沈み込んでいきました。
「だからオレにお前が男だってところを見せろ」
「はい…?」
意味が分かりません。見せろと言われても、すでに股間は見せているのにこれ以上何を見せろというのでしょうか。
疑問符を投げ掛けていたツナに、リボーンは呆れ顔で額を額に押し付けてきます。
「鈍いな。その真ん中についてるヤツを使える状態にしてみせろってことだ」
「使える??」
どんな状態のことを指しているのでしょう。
ツナはお父さんが家にほとんどいないことと、同年代の子たちとの関わりがない生活をしているせいで色々と疎いのです。
自分のような子どもの下に与することが嫌なのかと焦っていると、リボーンはツナの手を上から掴むと股間を擦り上げました。
「ここを、勃たせろ」
「え?……ぇえ!」
そんなことを言われるとは思ってもみなかったツナは、焦って大声を上げます。
というよりその『勃つ』という状態になったことがないのです。
しかしそんなことを言おうものなら、やはり子どもにはムリだと言われてしまうでしょう。
ツナにとっては願ったり叶ったりですが、おばあさんの期待を裏切るようで気が引けます。
どうしたものかと目を泳がせていれば、リボーンはツナの手を引き剥がすと直接股間に触れてしました。
「ちょ、うわぁ!」
伸し掛かってくる身体を押し返そうにもうまく身体が動きません。
赤ずきんやワンピースの裾を踏まれていることに気付かないツナは、逃げられないことに怯えを隠せません。
やっぱりこんな子どもの長はダメだと言われてしまうのだろうかと大きいと評判の瞳をいっそう見開いていれば、リボーンはツナの股間に手を押し当てたまま撫ではじめました。
「お、反応してきたな」
「は?ええ!」
考えることで精一杯だったせいで、疎かになっていたソコが妙な昂ぶりをみせはじめたのです。
猟銃を使うこと以外に取り柄もないツナは、女装生活も長いせいでそちらの知識が欠落していました。
どうしてリボーンはそんな場所を触るのか、そして股間を擦ると気持ちよくなってくるのかすら知らないツナは逃げることも忘れてされるがままになっています。
「なにこれ……気持ちいい」
ふわふわと浮いてしまいそうな心地よさの奥に、徐々に湧き上がる血潮が顔を覗かせてきました。
弄られるたびに荒くなっていく息遣いをはっきりと自覚したツナは、痺れるような感覚に目を細めいやがることなく受け入れていきます。
それを見ていたリボーンは押し付けていた額を離すと唇を寄せ、自らの手に可愛い反応をかえすツナへと深く口付けたのでした。
「んっ」
性的な意味での関わりなど体験したこともないツナには、それが前戯にあたるキスだということも分かりません。
ただただ与えられる快楽に流されていると、リボーンの手や舌は奥へ奥へと中に入り込んでくるのです。
満足に息継ぎもできないツナは息苦しさに唇から逃れようと首をゆるく振ります。
そんなツナの拙い様子にひっそりと笑みを深くしたリボーンは、少しだけ口付けを緩めてくれました。
合わせた唇の隙間から空気を吸い込んでいると、リボーンの唇は唾液で濡れたツナの唇を離れ、下へ下へと肌を伝い落ちていったのです。
耳の裏から首筋、鎖骨を辿られてビクビクとツナの身体は跳ねます。
その間にも中心を撫でる手は止まることなく、気が付けば今まで感じたことのない熱さに支配されていました。
「お、ちゃんと大人らしくなってきたぞ」
言われて自分の股間を覗きこめば、見たこともない状態の自身がそこにありました。
身体中の熱という熱が集まっているような、股間が別の何かになってしまったような感覚です。
こんな昂ぶりは初めてで、何をどうしていいのかも、どうすればおさまるのかもツナは知りません。
縋るようにリボーンへと手を伸ばしたツナは、行き場のない熱に怯えて口を開きます。
「たすけて……これ、どうしたらいいの?」
とにかくこの状態から逃れたい一心でリボーンへと助けを求めると、リボーンはたくし上げたワンピースの上半身部分に顔を埋めながら答えます。
「いいのか?オレがこれをどうにかしても」
リボーンの言葉に躊躇いながらも、自分ではどうにもできないことも分かっているツナはコクンとひとつ頷きました。
一刻も早く解放されたいと身体を寄せると、リボーンはツナの胸元に顔を埋めながらも手で中心を握ります。
リボーンの手が強めに扱きはじめると、先ほどまでとは違う何かがツナの裡を駆け上がってきったのです。
「ゃ、あ……!」
感じたこともない感覚に逃げ出そうとするも、それを許すリボーンではありませんでした。
見なくても分かるぐらい中心が膨らんで、先っぽからはぬるぬるとした体液が溢れ、それを塗り付けるようにリボーンの指が動いていくのです。
恥ずかしさと初めての行為に顔を見られまいと手で覆えば、胸元に唇で吸い付いていたリボーンが乳首の周りをゾリゾリと舐めてきました。
どちらにも反応をしてしまう自分に首を振りつつ、それでも正直な身体はせがむように身を震わせたのです。
どうしようと思う間もなくリボーンの手によって達したツナは、初めての射精に余韻を感じることなく手足を痙攣させています。
薄い胸板が上下する様子を眺めていたツナは、そこから顔を上げたリボーンの様子が変わっていることに気付いたのです。
「りぼーん?」
呂律の回らない舌で名を呼べば、リボーンは嬉しそうに顔を綻ばせながらもまたキスをするために唇を寄せてきます。
それに応えるために目を閉じて薄く唇を開けば、重なる寸前のところでリボーンは動きを止めました。
「ツナ、見ろ」
そう言うとリボーンは視線を自分の下肢に向け、それに倣ったツナもそこへと視線をむけます。
「んなっ!?」
しかしそこにあったのは、自分のソレとはまったく別物のような形状をした昂ぶりです。
あまりの違いに視線を外せなくなったツナは、元に戻った自分のソレごと一緒に掴まれて目を瞠りました。
「あの、」
止めるべきか、それとも別の意味があることなのかと迷っていれば、リボーンは息を吹きかけるようにボソリと呟きます。
「大人になったツナなら分かるだろ?この状態だと出さなきゃどれだけ辛いのか」
確かに白い体液を出したお陰で元に戻ったのだということは分かりました。
つまりはこうなってしまえば、それを排出しないととても苦しいのだということを身を持って知ったのです。
ならば仕方ないかと頷くと、リボーンは唇を重ねる前に小さな声を零しました。
聞き取れなかったツナが聞き返そうとするも、それより先に纏められた中心を強く擦られてまた違う感覚が肌の上を這い上がっていきます。
いいも悪いも知らないツナの赤ずきんを肩から外すと、リボーンはキスを落としてきました。


「オレがお前を長にしてやる」


そう声に出したリボーンが、本当にツナを大人にしてしまったことをおばあさんが知るのはもう少し先のお話。
見付けた義理の息子にまたも逃げられてしまい、やはりツナに長を継いで欲しいと告げるために帰ってきたおばあさんは、まんまとリボーンに喰われてしまったところを見て倒れたのはその時で。
猟師なのに本性が狼だと噂のリボーンが、大人しくなるのもまた……。


世の中は優しい嘘に見守られて、今日も明日も明後日も過ぎていくのでした。


おわり




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