小説 | ナノ


8.



視界が暗くなったことで人目から隠されたことを感じる。頭から身体全体を覆う毛布の柔らかさにやっと息を吐き出すと、その上から声が掛かった。

「隣のレーンに大型ダンプがいるぞ」

いくら毛布を被っていても上から覗かれるかもしれないということだ。ノロノロとしか動かない車体に焦れながら仕方なく自分で弄っていたソコから指を離した。
極力見つからないようにと息を潜めて固まっていれば、また頭の上からリボーンさんの声が聞こえる。

「ツナ?」

訊ねるというより促されて逆らいきれずに竿の横から舌を伸ばす。浮き出た血管に沿ってカリまで舐め上げればソレは益々太さを増していく。
大人しくしなければと竦む身体より先に唇は体液を零す割れ目の先に吸い付いていた。

「っ…」

堪え切れなかったのか漏れたリボーンさんの息遣いの荒さにローターを貼り付けた自分の起立が性懲りもなく昂っていく。動いたらダメだと思うのに、引き下げたジーンズが肌を擦ってもどかしい快楽が湧き上がる。
リボーンさんの熱い昂りを扱くように両手で抱えているから手は後ろに戻せない。逃がしきれない奥への刺激を得るために尻を左右に振りながら口は目の前の怒張を飲み込んだ。
喉の奥まで咥え込んでもまだ余るリボーンさん自身に舌を押し付けてしゃぶりつくと、毛布の裾からリボーンさんの手が忍び込んできた。
シャツの上から背筋を伝い疼く秘肉に指を押し付けられた。ローターを外されヒクヒクと戦慄いている中に容易く指が入り込み、入り口だけをヌプヌプと人差し指で弄られて喉の奥から声が漏れた。
欲しいという衝動に逆らいきれずに腰を上げれば、リボーンさんの手は起立に振動を伝えるローターに伸びてそれをいとも容易く片手で取り外した。
幾度も中で漏らしていたソコからやっとローターが外れたことに息つく暇もなく、またも中へと押し込められる。また入れられるとは思ってもみなかったせいで口がおろそかになっていれば、追うように怒張を押し込められて喉元まで満たされて苦しさに息を詰らせた。

「うぐ…ぅ」

嘔吐きそうになりながらも、どうにか口は離さずにもう一度咥え直す。ここまでくればイきたいのは誰でも同じ筈で、なのにリボーンさんの先からはまだ精液が出る気配もない。
舌先に広がる苦い先走りだけを啜りながら、口いっぱいにしゃぶり夢中で舌を這わせる。
もう人に見られてしまうとか、いやらしくヒクついている中を擦って欲しいとかじゃなく、リボーンさん自身のすべてを受け止めたくて身体が干上がってしまいそうだった。
ねだるように口を窄めて吸い上げれば、先は膨らんでいつものにおいが鼻腔を刺激した。もう少し。あと少しだと知っている。
ゆるゆると進んでいた車が少しずつしか動いていないことに気付いても、顔を上げて辺りを見渡す気にもならなかった。
唇はリボーンさんの先に触れたまま見上げるように毛布の隙間から視線を合わせる。

「リボーンさんの精液、ぜんぶ…ちょうだい」

重ねた視線の先でニィと笑ったリボーンさんの瞳は欲望にまみれていて、それだけで身体の奥が昂って無理矢理入れられたローターを締め上げる。縋るように言葉を零した唇にリボーンさんの硬い起立が押し込められて、それと同時に口の中に勢いよく迸りが放たれた。

「んっ、ふ…!」

飲み込みきれなかった精液が口から溢れて顔を汚す。どこもかしこもリボーンさんにまみれている自分を感じて、触れてもいなかった自分の起立がまた白濁を漏らしていたことに気付いた。
毛布の中で荒い息が篭り、一滴も零すまいと必死に舌を這わせているオレの頭に手が落ちてきて顔を上げた。あちこちに跳ねている髪の毛を梳くように撫でられて、その手の優しさに褒められているのだと分かった。
もっと褒めてもらいたくて舌でリボーンさんの汚れてしまった根元まで舐め取ると、くすぐるようにリボーンさんの手はオレの喉元をなぞった。
つつ…っとシャツの襟から入り込んできた指が、弄られたせいで膨らんでいた乳首まで辿り着くとグニグニと先っぽを擦り付ける。

「あっ、あ…!」

思わずリボーンさんのソコから口を離した途端、思い出したように身体が昂りはじめて声が止まらなくなった。
そこでやっと外の景色が視界に飛び込んできて、いつの間にか料金所まで前に一台いるだけとなっていたことに気付く。

「ダメ…ッ、見られちゃう!」

覗いた外の向こうから横を通った車の陰を見つけてビクリと肩が揺れた。一度止まっていた車がまたもノロノロと進みだしたことに目を瞠る。
我に返ったオレが毛布の中に逃げようと腰を動かせば、シャツの中に入り込んでいた指できゅっと乳首をつままれた。痛い、けどイイ。
気持ちよさに中を締め付けてしまえば、嫌でもローターが主張をはじめる。卑猥な動きに声を漏らすまいと唇を噛めると、それが気に食わなかったのかリボーンさんの指はもう片方までつまみあげた。

「ッッ…!」

「お疲れさまです。事故はありませんでしたか?」

毛布に包まれたまま声を殺していたところにそう声を掛けられ、飛び上がるほど驚いた。いつの間にか料金所へと辿り着いていたらしい。
バレてしまわないかと身体を硬くして息を潜めていれば、乳首を弄っていた手がスッと出ていきリボーンさんの胸元からカードを出すとサンバイザーに挟まれていた通行券と一緒に係員へ手渡していた。

「ああ、いいドライブが出来た」

「そうですか…こちらが領収書になります。っと、隣の席の方は大丈夫ですか?」

まさか声を掛けられるとは思わず、毛布の中でリボーンさんの起立を握ったまま固まっていると頭の上からクツクツと忍び笑いが聞こえてきた。

「大丈夫だよな?まだまだ元気だろう?」

意地悪にもほどがあると思う。こんな状態で声なんて出せる訳もない。それを知った上での問いかけに目の前の少し萎えたそれに口をつけた。くちゅっと小さく音を立てて舌全体で擦るように舐めるとまたリボーンさんの先っぽから透明な液体が溢れてくる。
構わず舌先で転がしていればリボーンさんはわずかに息を飲み込むと、受け取ったらしいカードと控えを後部座席に放り投げてオレの横にあるシフトを強引に繋いで飛び出すように車を発進させた。
これで少しは懲りただろうかと思っていれば、口の中の起立はどんどん硬く膨らんでいくから驚きに目を瞠る。嫌な予感に慌てて口を離そうとしたが、その前にリボーンさんの手がオレの頭に伸びてきた。

「ここまでしてくれたんだ、最後までしてくれるんだろう?」



そうして毛布から抜け出せないまま宿までの道のりを過ごした。




温泉宿に到着しても、奥をローターで刺激されているせいで萎えることを知らない自身の起立は達してもすぐにズボンの内側から布を押し上げる。
被せられたゴムの中は何度も射精して溜まった白濁が零れてしまうんじゃないかと心配になるほどだ。
それでもあれから到着する少し前にリボーンさんのものを舐めながらまたイったからか、今なら車から降りて歩くことはなんとか出来そうだった。

車から降りて、どうしようもない状態の股間をジャケットで隠しながら自分の荷物を持つと、リボーンさんに促されながら宿へと入る。
出迎えてくる人達は自分の今の状況を知らない。
ズボンの下は下着を身に付けておらず、中ではローターが絶え間なく奥を刺激し、それに堪えながら股間を熱くしているなんてことはリボーンさんしか知らない。
それなのに送られる視線が、此方に向けられる笑顔が恐い。
実は全部バレていて内心でエッチな子だと笑われているのかもしれないと思ってしまうと、恥かしくて居た堪れなくなる。
リボーンさんがフロントの人と話しをしている間、オレはその後ろで隠れるように待っていた。

「お荷物お持ちいたしますよ?」

「ひぅっ…!」

すぐ後ろからいきなり声を掛けられて、急なそれに驚いたオレは咄嗟に振り返って一歩後ずさった。
それと同時に後ろのリボーンさんにぶつかってしまい慌てて謝ろうとするも、予期していなかった声掛けにジャケットを掴んでいた手がそこから離れてしまったのに気付いて焦る。

「あっ、わ…」

いくらリボーンさんみたいに大きくなくても、これでは股間に視線を向けられたら終わりだと思い、慌てて持っていた荷物をそこに押し当てるようにして前に出した。
しかしその動作を目の前の着物を綺麗に着こなした若い仲居さんは、自分に荷物を渡してくれるのだと勘違いしたようで「失礼します」と言って荷物を取られそうになった。
このまま渡しては本当にバレてしまう。
けれどここでダメだとつっぱねてしまうのもおかしい。
内心泣きそうになりながらもどうしようもなくて恐る恐る荷物を手渡した瞬間、後ろからリボーンさんがオレの肩を抱き寄せて自分のコートでオレのどうしようもなく反応している前を隠してくれた。

「大丈夫か?」

聞かれた言葉に安心して気が緩みそうになったが、中を振動し続けるローターの刺激ですぐに気を引き締めた。
リボーンさんのコートをきゅっと握りながら大丈夫だと頷くと、オレの荷物を持った仲居さんが心配そうに話しかけてくる。

「どうかされましたか?」

「あぁ、すみません。どうも少し車酔いしたようで…」

「まぁ…もし何か必要なものがありましたら部屋までお持ちしますが…」

「大丈夫ですよ。そんなに酷くもないようなので」

さらっと何でもないことのように説明し、愛想を振り撒きながら歩き始めたリボーンさんに仲居さんは一瞬にして顔を真っ赤に染め上げたが、すぐに気を取り直して部屋への案内を始めた。
オレは仲居さんの注意を引きつけてくれたリボーンさんに感謝しながらジャケットで前をしっかり隠し、慌てて着いて行く。
歩く度に位置を変えて振動するローターのせいで吐く息に熱が篭るが、少し離れて歩けば多分大丈夫だろう。
ローターのせいで永遠のように長く感じた部屋までの道のりもなんとか不信に思われないように歩ききり、やっと部屋の中へと入る。
荷物を置いて部屋の中を案内してくれる仲居さんは、格好良いリボーンさんばかりを頬を染めながら見つめていて、オレのことなんて見向きもしない。
だんだん仕事とは関係ない様な質問混じりの会話になっていったが、それでもリボーンさんは嫌な顔一つせず対応していて、胸がムカムカするような思いがした。

早く部屋から出て行ってほしい。
リボーンさんと二人っきりになりたいのに…。

そう思っていたことが顔に出ていたのか、リボーンさんが此方をチラリと見て薄く笑ったのがわかった。
オレの気持ちなんて全て見透かされているかのようなそれにドキンと心臓が跳ねる。

「ありがとうございます。それではまた露天風呂の予約時間になりましたらフロントへ伺わせて頂きますね」

質問を続けようとする仲居さんに、リボーンさんは嫌味のない言い方で笑顔も付け加えながら会話を終わらせた。

「あ、はい。そうですね!またお時間10分前になりましたらフロントから連絡がいきますので!」

仲居さんはリボーンさんの笑顔一つで嬉しそうにしながらそう言って、最後にオレにも作り笑顔と共にお辞儀をしてから部屋を出ていった。


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