小説 | ナノ


4.



どうしようと手を動かせばどろりと白濁が零れて、その匂いが部屋に充満していることが分かる。
イったばかりの虚脱感を纏ったまま、それでも濡れた手で萎えたそこを隠そうとパジャマの上着で覆った。じわりと布地にしみが広がり、精液で濡れたところからひやりと冷えはじめる。
恥ずかしいなんてもんじゃない。
顔も上げられずに俯いていると、扉を閉じた音とこちらに向かってくる足音が聞こえてきた。逃げ出したいのに逃げ場なんてある訳もなく、下肢をパジャマで押さえたままソファの隅に転がると顔を埋めて声を待つ。

「どうした、ツナ。寝惚けるにもほどがあるぞ。こんなところで寝てたら風邪をひくだろ」

まるで何事もなかったかのように声を掛けられて顔を上げれば、いつもの顔でこちらを見詰めているリボーンさんの視線とかち合った。
見られたと思ったのは間違いだったのか。そういえば電気も点けてはいなかったのだから当たり前といえば当たり前か。
それに気付いたオレは少しだけホッとすると、濡れたパジャマに気付かれないように身体をずらして床に落ちていたパジャマのズボンでソファに零してしまっていた白濁を拭き取った。
これでもう大丈夫と安心したところでいきなりリボーンさんの手が膝にかかって思わず声が漏れる。

「ひ…っ!」
「どうした。ズボンまで脱いで…お漏らしでもしたのか?」
「してな、や…ぁ!」

からかうように声を掛けられ膝から腿をスルリと撫でつけらただけで、押さえ込んでいた起立がまた反応をしていく。確かめるような手の動きにパジャマの奥から暖かいものが噴き出してそれが手の平にじわりと広がった。
逃げようともがけばもがくほどリボーンさんの手が追ってくる。それでも必死にそこだけはと前を死守していると、内腿から上へと伸びた手が前を押さえているせいで晒す羽目になってしまっていたお尻へと触れてきた。

「パンツも履かずに一人で何をしてたんだ?」

恥ずかしさに頭を振っても追求の手は緩めてもらえずに、撫でていた手が次第に強くなっていき揉む手付きになってきた。ぎゅっと横から掴んだかと思えば、円を描くように優しく撫で、そして柔やわと揉みしだく。
先ほどまでの自分が嘘のようにみるみる膨らんでいく起立に泣きたくなる。押さえていても勝手に硬くなっていくそこと、荒い息を吐き出す自分に気が付いてリボーンさんに知られまいと顔をソファに埋めた。
すると自然とお尻を晒す格好になったところで、両手でそれを掴まれた。割り開くように左右に揉まれ腰ごと持ち上げられてしまえば隠し通すことも出来ない。
とっさには拭ききれず下生えに張り付いている白濁と、パジャマの上着を濡らしている起立を背後から覗き込まれて身体を硬くした。

「一人で楽しんでたのか…?」

なぁ?と訊ねる声にリボーンさんがどんな顔をしているのか気になってそっと視線を後ろに向ければ、うっすらと笑みを見せていた。どういう意味なのかなんて分からない。リボーンさんは面白くない時にもそんな顔をするのだ。
そんなの顔を見て恥ずかしいよりも軽蔑されたのかと心臓がヒヤリと冷たくなる。あまりの怖さに咄嗟に目を瞑ると、もう一度ソファに顔を埋め身体を震わせた。

「一度イったってのにもうこんなにしちまって…淫乱な悪い子には相応のお仕置きが必要だな」

その言葉に今までのことはすべて知られていたことを悟る。ごめんなさいと小さく漏らすと、掴んでいたお尻をぐっと引き寄せらて手からパジャマの端を捲くり上げられた。
呆れられてしまったと怖くてたまらないのに、リボーンさんに見られているだけで先から零れ落ちる。本当に自分はどうかしてしまったのかもしれない。
モゾリと身体を捻ってそこを隠そうと手を伸ばすと、その反対の腕の付け根からリボーンさんの指が胸へと伸びてきた。

「ひぁぁあん!」

胸の先に伝わる振動に思わず悲鳴が漏れる。わずかに膨らんでいたそこに先ほどのローターを押し付けられているのだと分かっても、どうにも出来ない。
起立へと伸びた手が縋るものを求めて股の間のソファを掴む。頬を押し付けその振動に堪えようと息を吐き出すともう片方の乳首へとリボーンさんの指が忍び込んできた。

「ぃ、ゃ…あ!」

ローターと指とで弄くられ、切なさに涙が零れてきた。何がなんだか分からないヨさに性懲りもなく先走りを零す起立をソファに押し付けようとして腰を掴まれた。
気が付けばローターも指も離れていて、自分だけが醜態を晒していたことに慌てて顔を上げる。そんなオレを見ていたリボーンさんは指で摘むととんでもないことを言い出した。

「そんなにこれがイイなら宿に着くまで入れといてやろうか?」
「あ、え…?」

それだけ言うとオレの返事も聞かずにローターをお尻の間へと押し込めてきた。ジェルもなにもないというのに小さいせいか、それとも先ほどの名残を引き摺っているためかするりと入り込んでくる。
確かめるような手付きでリボーンさんの指に入り口を撫でられガクガクと足が震えた。

「イイ子で我慢出来ればたっぷりシてやるぞ」
「なに、あ、ひっ…っつ!」
「条件はひとつ、一人でイかないことだ。出来るか、ツナ?」

中に入れ込まれたローターと、窄みを撫でる指の動きでなんとか快感を拾おうとする浅ましい身体。
リボーンさんに触れられているのだと思うだけで起立から白濁交じりの透明な体液が漏れる。
そればかりに意識がいってしまい、リボーンさんに言われた言葉の意味がよく分からない。
どういうことかと聞き返そうと身体を捻ると、リボーンさんの指がローターの埋め込まれた中へツプリと入ってきた。

「ひっ…あ!」
「ツナ、どうだ?出来るって言えばもっとイイコトをしてやるぞ?」

殊更ゆっくりと入り口を内側から撫でるような指の動きに、そこが強請るようにヒクヒクと収縮を繰り返す。
吐き出す息に熱が篭り、もっと直接的な刺激が欲しくてどうしようもなくなる。

リボーンさんが欲しい。

頭の中にはもうそれ一色しかなくて、出来るって何を?とは思うものの、イイコトという甘い誘惑の言葉に期待して殆ど考えることなく「出来る」と口走った。
そんなオレの返答を聞いたリボーンさんは口元に孤を描くようにニイッと笑い、内壁を撫でていた指を抜き取った。

「んっ…やぁ」

指を抜かれて寂しくなったそこをローターではなく、リボーンさんのもので埋めて欲しくて訴えるように見詰めれば、それに気付いているだろうにあえてとぼけたように笑って頭を撫でられた。

「イイコだなツナ」

優しく撫でる指と、蕩けそうなほどのキスまでされて嬉しくなる。
しかし唇が離れたかと思うとリボーンさんは、先ほどまでリボーンさんの指を食んでいた窄みから伸びるコードの先のリモコンを掴み上げた。
それに伴ってコードが少しだけ引っぱられ、そんな小さな動きすらそこは敏感に感じ取ってヒク付く。
けれどそこばかりを気にしている場合ではなかった。
リモコンを持っていたリボーンさんは、オレの見ている前でOFFに合わされていたメモリを少しだけ横にずらした。

「ひっ!」

瞬間、中に入れられたままのローターが小さく振動し始め、少しづつ広がっていく快感に腰が揺れそうになる。

「リモコンは運転する俺が持ってるわけにもいかねえからな…」

楽しそうにオレの反応を見ながら、リボーンさんは持っていたリモコンを少し前に弄られて赤く尖っていた胸の先の内横に宛がい、何処から持ってきたのかテープで固定し始めた。
ワザとなのか偶々なのか、赤く尖った先を押し潰すようにテープを貼られ、しっかり固定する為にとその上から指の腹でキュッと撫でられる。

「ふっ…ぁ…っ」

テープを貼られたそこを見下ろせば貼った傍から固くしこった先がガムテープほどは粘着力がないテープをペリッと押し上げてしまう。
剥がれかかったテープがそんなことになってしまったのが自分の乳首が起っている所為なのだと思うと恥かしい。
しかしそんな様子を見ていたリボーンさんは可笑しそうに小さく笑った。
只でさえ恥かしいのにリボーンさんの反応に余計羞恥でいっぱいになる。
けれどリボーンさんに見られていることに興奮しているのか、ズクンと下肢が熱くなって疼き出し、起立の先から雫がポタリと零れ落ちた。
中でいまだ動き続けているローターだけではここまでにはならなかったのに、見られてるだけで興奮してしまっている自分に更に恥かしさが募る。
その所為で荒くなる呼吸に胸が上下し、またぺリッと胸の先から一部テープが剥がれた。

「ツナの此処は悪い子だな。…しょうがない」

そう言ってリボーンさんはテープを尖った乳首の形に沿うように剥がれかかったテープに重ねて貼った。

「やっ…!」

リボーンさんの指が形に合わせて貼るため少し捩れたテープを剥がれないようにと強くそこに押し付けてきて、その刺激で声が漏れる。
もう堪らなくていっぱいいっぱいで、早く解放して欲しいと起立が震える。
けれどリボーンさんは、上手くテープを貼り終えると「出発の準備をするぞ」と言って立ち上がった。
オレの腕を掴んで立ち上がらせたかと思うと、中で振動を続けるローターをそのままに歩くようにと促された。

上手く動けない身体でそれでも何とか着替えまでは済ませたが、それでも起ち上がっている起立はズボンを押し上げているのが丸分かりだった。
ローターのコードもリモコンも服の中の為、前屈みになればリボーンさんほど大きくはない起立も何とか隠れはするので傍から見てもバレないかとは思う。
しかしこの状態で外に出るのはやっぱり恐いし恥かしい。

「宿に着くまでは我慢だ。それまでに勝手にイったら…お仕置きだぞ?」

コクンと頷く以外オレに道はなく、そう笑うリボーンさんに手を引かれてどうにか玄関から足を踏み出した。
深夜と早朝のどちらとも言い難い時刻をまたいでいる今は、マンションはオレたち以外の人気はなく、シンと静まり返った廊下を亀の歩みで進む2つの足音しか聞こえない。
抱えられるようにリボーンさんに凭れ掛かったまま階下へと向かうエレベーターの前まできたオレは、奥で蠢くそれに唇を震わせながら必死に意識を余所に向けようと前だけを見詰めていた。

縋るようにリボーンさんのコートの裾を握る手を横から掴み取られて腰に手を回される。
我慢している身体にはその仕草さえ刺激になって小さく声を漏らすと、丁度のタイミングでエレベーターの扉が開かれた。

「大丈夫か?前を隠さねぇと防犯カメラで知られちまうぞ」

「っ!」

慌ててジャケットの前を掴んで引き下げる。すると自分の手が勃ちあがっている前を掠めたせいで余計に膨らんだ起立がじわりと前を汚した。
顔をリボーンさんのコートに押し付けながら防犯カメラの死角になるようにジャケットの裾で前を覆う。そんなオレの腰を抱えていたリボーンさんは震えるオレの耳元に口を寄せてきた。

「堪んねぇな…イイ顔してるぞ、ツナ」

低い声に耳から犯されて息を飲んでいると、腰を撫でていた手がするりと布地を滑ってわずかに振動を伝える尻へと伸びてくる。コードを辿るように指が奥へと落ちていき、期待で身体を震わせるオレにリボーンさんの指はコードの先をぐりっと押した。

「ぁ…」
「少しだけ、挿入れてやろうか?」

まさかこんな場所でそんなことを言われるとは思わずに、驚いて顔を上げるといつもより興奮しているリボーンさんの瞳にぶつかって言葉に詰る。
冗談じゃないことは顔を見れば分かるのに、場所が場所で返事が出来ない。
だけど切なく震える身体はリボーンさんの言葉に頷きたくて膝が笑いはじめる。こんな場所で、しかも防犯カメラが回されている中でしてしまえばきっと表を歩くことさえ出来なくなる。なのに理性を裏切って頷こうと顎を引いたところで、背後の扉が開かれた。

「時間切れだな」

引き摺られるようにエレベーターから連れ出され、肩透かしを食らったオレはよろけるように地面に膝をついた。満たされたい欲求とそれを増長する奥で蠢く刺激とにもう立つことも出来ない。
ズボンまで濡れている前を隠すようにジャケットで押さえながらリボーンさんを見上げていると、肩を竦めてオレの身体に手を伸ばしてきた。
ひょいと抱えられてその振動に息を吐き出す。
軽々とオレを担いだリボーンさんはオレの泣き顔に口許を緩めると、そのまま車を駐車しているスペースまで歩き出した。






クラッチを繋ぎ、ギアを操る手を物欲しげに見詰めていた。
車の振動なんて今まで気にした事もなかったのに、今日はギアを上げ下げされる度に嫌でも意識がそこへと向いて辛い。
腰へとダイレクトに伝わる振動がもどかしい刺激を伝えて張り詰めたズボンの前をまた擦り上げた。

「っ、ふ…!」

助手席のシートに爪を立てながら唇を噛み締めて声を堪える。一刻も早く宿に着きたい。そればかりを願うオレは、リボーンさんの手を見続けることが出来なくなって視線を横へと向けた。
景色が流れ、あまり見覚えのない道路へと向かう車はインターチェンジを目指しているらしい。
早朝のためか車の通りもまばらなそこに進入すると、車は緩やかに料金所の横で停車した。

「おはようございます。いってらっしゃい」
「あぁ、ありがとう」

そうにこやかな挨拶をする係員から通行券を受け取っているリボーンさんを尻目に、脱いだジャケットで慌てて前を隠したオレは赤い顔を見られないようにと俯いていた。
顔を見られてしまえば盛っていることがバレてしまいそうで寝たフリをしていると、リボーンさんは通行券をオレの手の上に乗せてきた。
失くさないようにと手にしたそれをどこに置こうかと考えていれば、リボーンさんは車を発進させようと横にあるシフトに手を伸ばす。こちらを見もしないで係員に手を上げていたリボーンさんのもう片方の手はシフトから滑るとそのままジャケットの奥に忍び込んで勃っているオレの起立をズボンごと鷲掴んだ。

「はっ…んン!」

漏れてしまった声の濡れた響きに顔を赤くする。リボーンさんはといえばそこを弄ったとは思えない素振りでシフトを掴み直すと車は料金所を走り出した。


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