小説 | ナノ


3.



「やっ!」
「嫌って言う割には、欲しそうに動いてるぞ」

楽しそうに笑われる。
その笑みに、体がゾクゾクと震えた。
もしかしてそれも入れられるのかとか、不安に思う反面、どこかで早くこの疼きをどうにかして欲しいと期待もしてしまう。

「リボーンさん…!」
「リボーン、だ」
「リボーン…!」
「なんだ?」
「も、お願いだから…」

こうなったらもう、イタズラでもイヂワルでも何でもいい。
とにかくこの欲をなんとかしてほしくて自らリボーンさんの手をつかむと、ヒクついているそこに振動するそれを押し付けた。

「はっ、あ…」

怖いはずなのに、高まる期待感。
まるで正反対の感情が、オレを襲う。
そんなぐちゃぐちゃの感情のままで、ただ本能的にそれを入り口にあてがおうとした時だった。

「おっと、残念。時間切れだぞツナ。そろそろ寝ねぇと、明日に響くな」
「え?!」

突然、リボーンさんがそう言って俺の腕を振りほどいた。
突然のことにオレは慌てる。
時計を見れば、確かにもう12時になろうとしていた。
明日の朝は早い。
もう寝なければならない。
分かってる。分かってるけど…
こんな中途半端な所で投げ出されたらたまらない。

「リボーンさん!!」

後少しだけ、せめてこの熱を沈めて欲しいと手を伸ばすけれど、やはりスルリと交わされた。

「ダメだぞ。本番は温泉までお預けだ」

そう言って先ほどまで振動を続けていた機械を止めたリボーンさんは、そのままそれを取り上げて荷物の中に戻してしまった。
そしてオレの方へ振り向くと「寝るぞ」と言う。
心の何処かでまだ期待があったのだが、その言葉に本当に止めてしまう気なのだと知る。
それでも中途半端に熱を持った中心はいまだ触れられたいと疼いてどうしようもない。
寝室へと向かうリボーンさんの後ろにのそのそと付いては行くが、ベッドに入る前にやっぱり諦めきれず後ろからシャツの裾をクイッと引っぱってみる。
それに振り向いたリボーンさんに触って欲しいのだと目で訴えてみると、オレの頭にポンと手を置き、次いでベッドへと引き込まれた。
しかしそれはオレの期待していた意味ではなく純粋に寝るためのそれで、あっさりと横になったリボーンさんは部屋の電気を消してしまった。

やっぱりしてくれる気は一切ないらしい。

どんなにしてほしくても、これはもう抑えるしかないのかもしれない。
疼く下肢をそのままに、しょうがなくオレはリボーンさんの隣に横になって寝る体勢に入った。
普段リボーンさんの方に横向きになって寝るオレは、いつもどおりに其方に身体を向ける。
すると、少し反応したままだった中心が内膝に擦れて緩い快感が湧き上がった。

「っ…!」

それがもっと欲しくて、内膝を擦り合わせれば、気持ち良さにさらにもっとと、手が伸びる。
リボーンさんに気付かれないようにとゆっくりズボンの中に手を突っ込み、下着の中の起立に触れた。
やっと触れることが出来た。それだけで身体が喜ぶように疼きだす。
堪らずユルユルと上下に動かし始めれば、そこから生まれる快感に指が止まらなくなる。

「ふっ…ぁ…」
「どうした?ツナ」
「っ!?」

無意識に漏れた声が静かな寝室には良く聞こえたようで、リボーンさんは不思議に思ったのか心配したように聞いてきた。
自分が声を漏らしてしまっていたことにすら最初は気付かなかっただけに、急に声を掛けられて吃驚したオレは急いで起立から手を離した。

「ご、ごめんなさい!ね、寝ぼけてたみたいで…」

咄嗟のウソは、自分にしては結構上手い言い訳になったんじゃないだろうかと思いながらリボーンさんを見ると、リボーンさんは笑いながらオレを見ていた。

「…そうか」

ば…バレてない…よ、ね?

そうは思うものの、その笑みがどういった笑みなのか、オレには分からなかった。
もしかして、一人でしてたのを気付かれているのだろうか。
もし気付かれていたら、恥かしくって死にたくなる。そして、何より恐い。
明日までお預けだと言われているのに一人でして…こんなに我慢出来ない奴だなんて、知られたくない。
知られたら愛想を尽かされるんじゃないかと思うと不安になる。

もう、これ以上は出来ない。

我慢しなきゃと思いながら寝るためにギュッと眼瞼を閉じる。
下肢の熱は気になるが、早く寝ようと別のことを考えながら眠くなるのを待った。








カチコチ…と時計の針が動く音をもうどれくらい長く聞いているだろう。
全然寝られない。それどころか逆に目が冴えてしまっている。
中途半端に刺激してしまった起立はいまだ疼いていて、そればかりが気になってしょうがない。
気を紛らわす為に少しだけ体勢を変えようとリボーンさんを気遣いながら動く。だが、まったく無反応なリボーンさん。
もうすっかり寝てしまっているのだろう。
羨ましいなと思いながら寝てしまったリボーンさんを暫く見ていたら、また欲が湧いてきた。
思えば、今ならリボーンさんに内緒で出来るかもしれない。
少しだけ。そう、少しだけだから。
心の中で言い訳をしながら「ごめんなさい」と謝り、オレはゆっくりゆっくりベッドから抜け出した。

寝室から出る前に、リボーンさんが寝ていることをきっちり確認してからドアノブを静かに捻る。
音を立てないように寝室を出てリビングへと行けば、安心してふうっと一息ついた。
そしてすぐに待ちきれずにズボンと下着をずらすと、ぷるんと起立が飛び出す。

自分で思っていた以上に起ち上がっていた起立に少しだけ驚きながら、それでもようやく得たひとりの時間を無駄にしまいと起立に手を伸ばした。

「んんっ」

リボーンさんはすっかり寝ているから、声は殺さなくていい。
分かってはいるけど、寝室はすぐ傍で、リボーンさんだっていつ起きてくるか分からないから、なるべく声を殺して少し急ぎ目に起立を扱いた。
早く終わらせて、ベッドに戻って…
もしも起きていたら、トイレに行っていたのだとでも言い訳すればいいように。だから、なるべく早く終わらせて…

「あっ、あ…」

そうは思うのに、擦っても握っても、終わりを告げりるような絶頂感がなかなかやってこない。
(なんで?)
起立は既に充分に膨らんで、先からはトロトロと白濁が溢れている。
腹に付くほど起ち上がって、脳内ももうイくことばかりを考えているのに、体はそれを裏切って、もっと強い刺激を寄越せと訴えている。
(これ以上、どうしろって…)
思いつつ、指は次第にいつもリボーンさんが触っているような動きに変わっていき、先端をイヂメルように引っ掻きだしていた。
そのことで、先ほどより気持ちよさが増していく。
(あ…オレ…)
それに気づいて、ふと思った。
もしかしてオレ、もうリボーンさんが触ってくれることに慣れすぎて、リボーンさんの手じゃないとイけないんじゃないか…
そんなふうに思えて、だけどその考えに慌てて違うと首を振った。
違う。そんなはず無い。
リボーンさんの手を借りなきゃイけないなんて…
それじゃまるで淫乱みたいじゃないか…
そんなバカなと思いながらも、けれど体はそうだと言わんばかりに自分の手を拒否する。

「や、だ…、どうすればいいの?」

イきたい。
イけない。
これでは、自分でやってもただの生殺しだ。
どうしよう…どうしよう…と考えているうちに、時計の針は進んでいく。
いくらなんでも、トイレにいっていたなどと言い訳が通用するような時間帯では無くなってきた。
(すぐにイけると思ったのに!)
泣きたい気持ちになってくる。
このまま、オレが居ないことに気づいてリボーンさんが起きてきたら…
(やだ!見られちゃったら、何て思われるか…)
とは言え、この状態では戻るにも戻れない。
こうなったら…!と、思い切って指を自分の蕾に伸ばしかけた時だった。

「ツナ?どこいったんだ?」
「?!」

心配そうに俺を探すリボーンさんの声が聞こえてきた。

「あ、あ…、あっ!」

同時に、まるでその声に反応するようにそれまで全くイく気配を見せなかった起立が、この瞬間を待っていたとばかりに一気に弾けた。

「そ、んな!やだっ、あっ、止まんな…!」

声が上がる。
せき止められていた全てが解放されたように、勢いがつき何度も上りつめてしまい、どうにも止められない。
大量に溢れ出た白濁は隠しきることなど出来ず、辺りはそこを中心にして真っ白に汚れた。


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