6.いつもより少し熱い口腔を舌で感じながら、吐き出される熱を帯びた息に誘われるように絡め合わせていく。 汗の匂いに掻き立てられた欲情が押さえきれずにツナの身体をまさぐりはじめる。 布団からはみ出ていた剥き出しの足に手を這わせ、腿から膝裏へとなであげると甘い声が上がった。 体格の違い過ぎるオレのパジャマではズボンは用をなさない。 大きめのTシャツがパジャマ代わりとなっていた裾を捲って腹を撫でると覚えのいい身体がその先を期待して色付いた。 最初の行為から2年を経て、手順を覚えている肌は風邪とは違う熱を孕んで手の平に吸い付くようだ。 ツナの下着を掴むとわずかに腰を上げる。積極的なツナを訝しく思ったが、そのまま一気に剥ぎ取った。 あのリコーダーの一件からしばらくして、やっと現れたツナは強張った顔を隠せないままに以前と変わらぬ態度で訪ねてきた。 逃げ出さなかったツナにイラつき、そして胸を撫で下ろした。 止められない感情に支配されるのは恐怖だ。けれどどうにもならないことを知っている。 幼いツナを汚したいと思うより、そのままでいて欲しいという気持ちが強かった。 けれど子供は成長する。いつまでも子供ではいない。 勘違いしたツナがここを訪れる度に口付けされるのだと誤解していることを知って、それを正すことなく利用した。 引き寄せると身体はわずかに震えて、こちらを見詰める瞳は不安と期待とが入り混じる。 それでも拒まないツナに繰り返す口付けはどの女とのセックスよりも気持ちがいい。 最初はたどたどしかった舌使いもツナが中学生になる頃になれば呼吸もキスの仕方もオレ好みに覚えていった。 同学年の子供たちより小柄なツナは中学に上がるまでそれらしい兆しもなかった。 少しずつ成長していくツナの身体に手を這わせてもくすぐったさに身をよじるだけで、わずかに上がる体温は手を離せばすぐに消えてしまう程度の淡いものだった。 それはツナが中学に上がって少し経ったばかりの頃だ。 勉強を見てやるという名目で泊まりがけで遊びに来たツナと、今晩の寝床を賭けてボードゲームで勝負をしていた時のこと。 やはりというか当然オレに敵う訳もなく、居間のソファで寝ることが決定したツナにむくれるなと声を掛けながらいつものように軽く唇を重ねて、最近では当たり前になったキスの合間のボディタッチにいつもとは違う反応をみせた。 手で押し返して逃げるツナを力で抑え込んでソファとテーブルの間に転がすと、首を横に振ってまだ逃げ出そうとする。 その横顔が赤みを帯びていることに気付いて、やっとことを理解した。 「…気付かなくて悪かったな。」 「っ!バカ、離せって!」 今までなんの反応も示さなかったそこが、わずかに立ち上がっていた。半起ちともいえないそれをパジャマ越しに撫でると薄い身体がビクンと跳ねた。 「ヤだ、嫌だって!」 撫でる手を引き剥がそうと躍起になるツナをそのままに、薄い皮膚に口付けて首筋に痕を残す。 どんどん膨らむ中心をパジャマ越しに掴むとそれだけであっけなく果てた。 顔を手で覆い、荒い息使いに上下する薄い肩を抱くとくぐもった声が漏れ聞こえる。 初めての吐精だったのだろうか。 快楽に負けた自分を悔やむように泣くツナを見て、はじめて戻れないところにまできていた自分たちに気が付いた。 捲くり上げたTシャツをツナの首元で押えていると、ツナがそれを持ってシャツの裾を口に咥えた。 本当に随分と積極的だ。 いつもは嫌がりもしないが、進んでしたいという素振りを見せないツナがどうしたというのか。 顔を覗くと目を瞑り、羞恥に耐えるツナがいた。 「どうした?」 訊ねても噛み付いたシャツを強く噛み締めるだけで視線も上げない。 ならば言わせるだけだと胸の先を舌で転がした。 「っ!んン!」 胸が弱いツナは、少しの刺激でも硬くしこりはじめる。 片手で摘んで柔らかく突くと噛み締めていたシャツの裾がはらりと解けた。 「で、どうした?」 再度同じことを訊ねると、やっと薄っすら開いた瞳は快楽に潤んだままで小さく呟いた。 「オレがシたいのはおかしい?」 何を思ってか必死さが透ける瞳の色に気圧される。 ツナの指がそっと頬に触れると、頭の中に指を入れて引き寄せられた。 逆らわずされるがままで顔を寄せると額に唇が落ちてきた。 「しよ?」 熱が高いことも忘れ欲情に掠れた声を零す唇を貪った。 最初の吐精からじっくりと時間をかけて慣らしていった細い身体は、起立を扱かれることと同じだけ身体をまさぐられることも覚えていった。 オレの手が腕の内側をなぞるだけで身震いしては熱い吐息を奪うと逃げられなくなる。 切なく潤む瞳に誘われて隅々にまで指を這わせると、覚えのいい身体はそのひとつひとつに反応を返すようになった。 あばらの浮く脇腹から細い腰を辿って滑らかな曲線を描く双丘を撫でる。すると次に指が向かう場所を知って声を漏らすまいとオレの肩に噛み付いた。 噛まれる痛みもツナのそれに比べれば僅かなものだろう。 ゼリー状のぬめりを帯びた指がいたいけに震える窄まりをなぞると一層強く噛み付いた。 「やめるか?」 そう訊ねても返事のないツナに、それこそが肯定だと知っているのにまた訊ねる。 「言わなきゃ分かんねぇぞ。嫌なのか?」 噛み付いていた口を離し、のろのろと顔を上げてそれでも視線は逸らしたままで呟いた。 「いや、じゃない…よ。」 したいと言ったくせに羞恥を捨てきれないツナは最後まで言わない。どうしてか、今は最後まで言わせたくなった。 奥を撫でていた指を離すと戸惑ったツナの瞳が揺れる。 「どうして欲しい?」 わざと顔を覗き込んで訊ねる。 泣くか慌てるかと目の前の顔を眺めていると、一瞬だけ泣きそうな顔になったがすぐにこちらを睨む勢いで見詰めて言った。 「リボーンが、欲しいよ。」 まさかツナがそう言うとは思わず目を瞠ると、先ほどより辛そうに顔を歪ませてそれから諦めたように笑った。 声にしなかった言葉を聞くことなく、目の前のツナに押し返されて腹の上に乗ったツナが着ていたTシャツを自分で脱ぎ捨てた。 ベッドサイドに置いてあるチューブを手に取るとそれを自らの指に塗り付けて、膝立ちの姿勢のまま自分で奥を弄り始める。 たどたどしい指では思うように解れないのか眉根を寄せて耐える表情が一層そそる。 聞き取れなかった言葉を聞き出したかったことも忘れ、下からツナの手に自分の手を重ねるとぐぐっと奥まで押し込んだ。 「ひっ…!」 息を詰めて耐える姿に嗜虐心が疼きだす。 指を添えて掻き回すと卑猥な音が部屋に響いた。 唇を噛んで声を殺すツナの身体は仄かに染まり、触られてもいないというのに胸の先が硬くしこっている。 それを指で摘むと奥が強く指を締め付けた。 「ひとりで楽しんでんなよ?」 言ってツナの指ごと引き抜くと、ズボンのベルトを寛げて猛った自身を引き摺り出して柔らかく解れた窄まりへと突き立てた。 . |