リボツナ | ナノ



2.




他人のように言うことを利かない手足と、頬に落ちる日の光が煩くてしぶしぶ瞼を開いた。
カーテンのないこの部屋は朝日を遮るものなどない。
シーツの上に手を付いて鉛を背負ったような重い身体をゆっくり起こす。

肩まで掛けられていた上掛けはスルリと落ちて何も身に着けていない下肢をわずかに覆うだけだ。
どうにかいつもの時間に目が覚めたが、腰からの鈍痛に悲鳴を上げる身体は立ち上がることさえ拒否していた。

「もう…どうやって学校行くんだよ!」

床に脱ぎ散らかしてあるシャツを身体を捩って掴むと、自分のものではなく先生のそれだった。
はおると指の先がわずかに出る程度の上に、太腿の半分まで隠れる。
丁度いい部屋着としてそのまま着ていることに決めた。

意を決してゆっくり立ち上がればあらぬ場所から脳天まで突き抜ける痛みが過ぎる。
そのままヘナヘナと力が抜けて床に座り込んでいると、寝室の扉が開いてオレをこんな目に相手が現れた。

「もう起きたのか?」

自分ばかり身支度を済ませ先生が、手を差し伸べて立たせてくれた。
でも、あれだけ好き勝手しておいて、自分だけいつもの顔に戻っているなんて癪に障る。

肩に縋っていた手を首に回して、頬に寄せられた顔を掴むと自分から先生の唇に自らの唇を重ねていった。
いつもは照れて逃げてばかりのオレが、珍しく積極的にキスを強請れば簡単に口付けを深くしていく。
朝のあいさつにしては深くなり過ぎた口付けと、オレの身体を支えていた腕をシャツの裾に導いて身体をすり寄せた。

「随分積極的じゃねぇか。これ以上すると立てなくなるぞ。」

そういいながらもシャツの裾から忍び込んだ手が、まだ腫れぼったい奥を撫ではじめた。
それだけで快楽の燻る身体は簡単に煽られる。
んん…と喉の奥から漏れた声を聞きつけた先生は、ぐっと指を奥まで差し込んできた。

はだけたシャツの襟首を割り広げられて、首の柔らかい肌に吸い付かれると自然と身体がびくびくと震える。
いつもは堪える声を我慢することなく吐き出すと、気持ち悪いほど甘い声が漏れて焼け付くような羞恥に顔が火照る。
それでも口を閉じることなく声を上げた。

「どうした…昨日の今日で我慢できねぇか?」

「ん、あぁ!」

一晩かけて解された奥を執拗に指で擦られてぐんと前が立ち上がる。それもわざと分かるようにシャツの合間から晒すと、わずかばかり肩に引っ掛かっているだけだったシャツを取り払われた。

立ったままだった身体をベッドの上に転がされ、手首から抜け落ちたシャツを掻き合わせて前を隠すとその上から起立を握られて、胸の先を齧られた。
布越しのもどかしさにもっとと漏らす。

「イイ顔してんぞ。」

そういう先生の顔はもっとイイ顔をしている。
奥を長い指で掻き回し、起立を押さえる顔は色っぽくて益々ゾクゾクした。

イイところを覚えている指がぐっとそこを擦り堪らず仰け反ると、握られた起立を覆うシャツがじんわり湿り気を帯びてくる。その上から歯を立てられて気持ちよさに喘ぎが漏れた。

肩で息を吐きながら潤んだ目で先生を見上げると、指を引き抜かれベルトに手を掛けて寛げようとしている。
そこに一言。

「…時間、だよ?今日は大事な会議だって言ってたよね。遅刻できないって。」

そう言うと、ピタリと動作を止めた先生が恨めしそうな顔でこちらを睨んだ。

「てめぇ、分かっててやったな?」

勿論だ。
こっちは一晩中喘がされて声は掠れ、ただでさえ大きい先生のアレを入れられっぱなしで付き合ったのに、無体を働いた本人はすっきりさっぱりした顔。オレだけこんな目に合うなんて割に合わない。
という訳でわざと煽ってみた。

すぐにバレると思っていたのに、意外やここまで気付かれずに一矢報いることができた。
いい気になってオレの上で唸る先生の顔にキスをすると、吐き出す寸前にまで膨らんだ自らの起立を見せ付けるように握る。

「遅刻しちゃうよ?」

「……」

言うだけ言うと、先生の手を思い出しながら扱きはじめた。ここまで育っていれば、出さない訳にもいかないからだ。
しぶしぶ立ち上がり背中を向けて玄関に向かう先生に聞こえるように声を上げるとわずかに肩がいかっている。
寝室のドアが閉まるのと同時に白濁を吐き出した。

いつもは手の平の上で転がされてばかりのオレが、負けなかったどころか勝った!と喜んでいると、ベッドサイドに置いてあった携帯電話からメールが届いた。

自分の白濁でぬめる手をティシュでふき取ってから確認すると、先ほど出ていったばかりの先生からだった。
内容はといえば…

「ひぃぃ!」

今晩が楽しみだな

と一言だけ綴られたメールに絶叫を上げたのだった。


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