リボツナ | ナノ



7.




口許は笑みをたたえているように見えても、目は笑っていない顔が上から落ちてくる。
今日は絶対にさせないと顔を背けて手で遮ると、肩から外れた手がすっとオレの横に伸びて座席が後ろに倒れた。
バランスの崩れた身体が後ろに傾いで、慌てて肘を付いたところで身体の上に乗り上げられた。

「ちょ…ここ駐車場だろ?!」

「監視カメラの死角だぞ。」

耳朶に息ごと吹きかけられて身体がびくびく跳ねる。
なまじ知ってしまっているために、この後どうされるのかも分かってどこかで期待している部分もあった。
案の定、ネロリと耳穴を舌で舐められて抗いがたい快楽が背筋を這っていく。

目を瞑ってやり過ごそうとしても、シャツを捲られ肉付きの薄い脇腹に手を差し入れられて撫でられると動くこともできなくなった。
耳を嬲る舌が立てる音と、肌を伝う手の平の冷たさに一々反応してしまう。
それでも声は漏らすまいと唇を噛み締めると、それを見ていたらしいリボーンの唇が落ちてきた。

少し薄い唇は端正すぎる顔にあまり動かない表情も相まって冷たく見えるのに、触れるとひどく熱かった。
隙間もないくらいぴったり重ねた唇は、息さえ奪うように性急に快楽を引き出そうとする。
逃げても追ってくる舌に絡め取られて吐き出せなかった息ごと奪われた。

その間にも手は胸元を辿り、指で胸の先を弄り始める。
尖るそこを指の腹で捏ね回されて塞がれた口の中で舌が跳ねた。

明らかに快感だけを引き出そうとする指の動きは淀みがなく、容赦もない。
急激に高まる自身の熱に抗える筈もなく、狭い車内で逃げ場もなかった。

ただついていくのに精一杯なオレは、次第に身体の力が抜けていき口付けを解かれると声が漏れた。
甘えるような響きにカッと羞恥が蘇る。

「やめ、ろって…!」

唇から離れた顔はシャツを押し上げながら腹から上へと辿っていく。
ところどころ気まぐれに舌で舐められて、その度に堪え切れずに声を上げた。

肌の上を辿っていた舌が指で捏ねて膨らんだそこを見つけてペロリと一舐めする。
堪らず反り返る背中を抱き留められ、そのままその手はするっとズボンと腰の間に入り込んだ。

「や、変なとこ触るな!」

「変なところじゃねぇだろ。ガキじゃねぇなら最後までできるんだよな?」

そう言うと尾てい骨の奥の尻の間に指を捻じ込まれた。
なんとも言えない異物感と鈍い痛みに驚いて身体が縮こまる。
するとそれに気付いたリボーンが、わざと大きな音を立てて乳首に吸い付くとその上で息を吹きかけながら言う。

「ガキじゃねぇんだろ?」

「そ、うだよっ!」

言ってからしまったと気付いても後の祭りだ。
唾液に濡れた乳首に噛み付かれ、痛さと気持ちよさに声を上げたところで後ろから手が出て行った。
ホッとしたのも束の間、ガチャガチャとベルトを緩める音が聞こえる。
下を確認するために覗き込んだ時には、すでにズボンは膝まで下ろされそれを足で座席の下に落とされた。

「ああ、確かにガキじゃねぇな。」

トランクス越しにいつの間にか半起ちになっていた中心を握られて恥ずかしさにぎゅっと目を瞑る。
それをいいことに今度は裾から手を差し入れられて直接握られた。

自慰すら月に2〜3度あるなしで、好きな子はいても恋人なんていたこともない。初めて人の手で起立を扱かれて、まして百戦錬磨といった手淫にあっけなく囚われた。
膝を閉じようとすると邪魔だといわんばかりに足をドアとサイドブレーキの上に押し上げられ、尻が浮いたところをトランクスまで剥ぎ取られた。

今、自分がどんな格好なのか確認するのさえ怖い。
腕で顔を覆っていると割り広げられた下肢の内腿にぬるりとした感触が走る。
思わず手の隙間から覗き見ると足の間にリボーンの頭が見えた。

「そんなとこやめろって!」

引き剥がそうと手を頭にかけたところで先走りの滲む先を咥えられた。
知識としては知っていても触られたことすら初めてで、口淫なんて本当にするのかくらいにしか思ってもいなかった。
滴る体液を丁寧に舐め取られてシートの上で身体がびくびくと震える。

後部座席まではみ出した身体は、縋るものを求めて冷たい何かを握り締めた。
ぎゅっと握ると少し伸びるそれはシートベルトだった。
つつっ…と竿を舌が伝い落ち、また裏筋を辿ってくびれを執拗に舌先で弄られる。
もどかしいような快楽に耐えようと、シートベルトに噛み付いた。

「せっかくの声が聞こえなくなっちまうだろ?」

声を殺すオレに気付いたリボーンが口からシートベルトを取ると、ぐっと長く引き出してオレの腕に捲きつける。
そのまま肘の少し上あたりをシートベルトで拘束された。

「おま…ひぁあ!」

文句を言ってやろうと口を開くと起立を口に含まれた。
痛いほど勃起しているそれを唇で扱かれて先を吸い付かれると明らかな喘ぎが漏れる。

自分でも気持ち悪いくらい甘ったるい声が車の中に響いても、それを止める術はなかった。
次第に高みへと押し上げられる。
竿からくびれを親指で擦り上げられたところに舌で先を突かれて滲み出た先走りごと吐き出した白濁を吸われた。

ぐったりと後部座席のシートに身体を支えられていると、上に乗っていたリボーンが口から白いそれを手の平に吐き出した。
途端、今までしていたことに羞恥を覚える。

「も…いいだろ?こんなことやめろよ。」

左右に開かれていた膝を閉じて横を向くと、両膝を揃えたまま抱え上げられてぎょっとした。リボーンの目の前に尻が晒されている状態になったからだ。
膝をリボーンの肩に乗せられて両手が空いたところで指で奥を突かれた。

「やだ、やっ…!」

乾いた指がぐりぐりと襞を突き、痛さと怖さに益々収縮する。
それも分かっていたのか一旦指を外すと、次はぬめった指が後ろを探り出した。
痛みは薄れても異物感は拭えない。くっと息を詰め、逃げられないならばせめて一刻でも早く終わってくれと願いながら指の動きに耐えていた。

「ここらにある筈なんだが…」

執拗に指で探られて、あまりの気持ち悪さにもう嫌だと蹴りでも入れてやろうと足を上げたところでぐりっとそこを擦られて身体が跳ねた。
萎れていた自身もまた元気を取り戻し、それを見たリボーンが指を増やす。

ぎちぎちだった筈のそこは増える指を拒むことなく食み、長い指がそこを擦る度にぎゅうと切なく締め付ける。
起ち上がった中心は淫らに透明な液体をしたたらせていた。
もう否定する言葉すら出ずに荒い息だけを吐き出す唇を唇で塞がれた。

青臭いような苦味が口に広がり、それが自分の精液だと知る。そんなものの味など知りたくもなかった。
けれども奥を弄る指に翻弄されて、ぐちゃぐちゃと響く音に耳を犯されれば嫌でも事実だとつき付けられる。

好きだと気付いた瞬間に、性欲処理に落ちた自分の惨めさに泣くまいと耐えていた涙腺が決壊した。
ボタボタとシートを濡らす涙に気が付いたリボーンがハッとして唇を外す。

「…ここまでしといて卑怯じゃねぇか?」

確かにそうかもしれない。
オレの身体は嫌がってないのに、気持ちが心が辛いといって涙が止まらないのだ。

後ろから指を引き抜くと腕の拘束を解かれて、身体の上からリボーンが退いた。
しびれる腕をさすりながらもぞもぞとシートの上に座ると、運転席に戻ったリボーンの拳がガラスを叩き、ぐらんぐらんと車が揺れた。


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