リボツナ | ナノ



11.




買い物を済ませたオレとリボーンは、しばらくコタツでのんびりと過ごしてから遅い夕食を摂った。
リクエストされたおでんに熱燗という組み合わせはコタツとの相性も抜群で、いつもは呑まない酒を飲み過ぎてしまったせいでオレは見事に酔っ払いと化している。
片付けもそこそこにコタツに潜り込んだオレは、醒めそうにない酔いに身を任せて目を閉じた。すると、

「オイ、コタツで寝ちゃヤベェんだろ?風邪ひくってオレに説教しといて自分はこれか?」

「うぅ……」

正直返事をすることさえ面倒臭くて唸り声しか出ない。アルコールが身体中を巡っている今は、指一本動かすことさえ煩わしい。
山本や獄寺くんだったら、勝手知ったるなんとやらでオレに毛布を掛けてくれるのに……と恨めしい気持ちでどうにか顔だけ上げた。

「布団の上にある毛布取って」

眠気で虚ろな視線を上げると、どうにか声を絞り出してお願いする。
それを聞いたリボーンが呆れたようにため息を吐きながら毛布をこちらに投げて寄越した。

「さんきゅ……」

イタリア語ではグラッツェーだったかとどうでもいい知識を思い出しながら、頭の上に乗せられた毛布を掴むと身体に巻き付けた。

「お前、ここで寝るのか?」

「んー……毛布があれば大丈夫だから、」

「待て。そうじゃなくて、オレの寝床はどうすりゃいいんだ?」

そういえばそうだ。
しかし酔いが回って立ち上がることも出来そうにないから、纏まらない思考をどうにか動かして思い付いた。

「ごめん、今日は横のベッドに寝て。明日は布団出すから……っ?」

巻き付けた毛布ごとズルリとコタツから引っ張り出されたオレは、何故か身体が宙に浮いていることに驚く。
何事が起きたのかと考える間もなく、浮いていた身体がひょいと投げられて突然急降下した。
身構えることも出来ずに落ちた先は先は自分のベッドで、見慣れた天井に目を見開いていれば、そこにリボーンの顔が現れた。

「風邪なんざひかれたらメシが困るだろうが」

どうやらオレの作る食事がお気に召したらしい。そういえばこれだけは他の人にも褒められたことがあるなあと思いつつ、着替えることも面倒でそのまま布団の中に潜り込む。

「って、何でお前まで入って来るんだよ!」

靴下だけは脱ぐかと足元に手を伸ばしていれば、その間にリボーンはオレのいる布団の中に入り込んで来るから驚いた。
ただでさえ狭いベッドが益々狭くなって身を縮めるしかない。
文句を言おうにも起き上がることも出来ないし、もう眠気も限界だ。
仕方ないかと諦めて、壁に背中を押し付けながら毛布を身体に巻き付け目を閉じた。






翌朝は窮屈さと重みで目が覚めた。
二日酔いのせいで頭が痛いし、しかも身体はいうことを利かないしで最悪な目覚めだ。きっとこの狭い場所に押し込められながら寝たせいだろう。
それでもどうにか起き上がろうとするも、身体の上に何かが伸し掛かっていて動かない。
そう言われてみれば、昨晩はリボーンが同じベッドに寝ていたかと思い出して目を開くとそこにはドアップの顔がある。

「ひっ……」

驚いたオレが逃げ出そうとするも、身体は動かなくて鈍い汗が流れた。
つまりはオレの上にリボーンが乗っているらしい。
道理で重い筈だと気付いて、リボーンを横にずらすように押し退けてからどうにか布団から脱出することに成功した。
荒い息を吐き出すと自分の心臓が煩いぐらい飛び跳ねていることを知るも必死で無視をする。どうしてこんなにドキドキするのかなんて知りたくもない。
昨日はアルコールの魔力でついうっかり一緒の布団で寝てしまったが、今晩からは気をつけようと自分に言い聞かせてから顔を上げた。

「よし!」

激しい動悸が落ち着いてから立ち上がったオレを、リボーンがベッドの上から薄目を開けて見ていたなんて気付きもしなかった。


2013.01.22







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