リボツナ | ナノ



3.




濡れた頬を舐め取られ、驚いて目を開くとゾクリとするような暗い目をしたリボーンが射抜くように見ていた。見たこともない瞳の色に今から食い尽くされるのだと自覚した。

とんでもない場所を弄られる痛みに身体を強張らせていると、顔の上にリボーンの顔が落ちてきて口を塞がれた。嫌じゃないのに逃げ出したくなる。ぞわりと身の裡から這い上がる何かが悲鳴となりそうだったところを吸い取られ、絡め合わせたことで消えていった。

必死にしがみ付く様は溺れた者が縋るものを求める姿に似ているのだろうか。
蠢く指よりも口腔をなぞる舌に身体が溶かされていく。
それでもじんわりと熱を持ち始めた奥をゆるりと指で撫で付けられて、口の中で喘ぎにもならない声を漏らせばそこを2本の指で弄られた。

「イイ子だ、ツナ…トロトロになってきて指を咥えて離さねぇ。」

「っ、バカ…っ!」

中をさぐる指がそこを擦り上げると少し萎えた筈の中心がまた首をもたげはじめる。グリグリとそこばかりを苛め抜かれ、いつの間にか解かれた口付けによって開いたままの口から漏れた罵声もどこか力ない。

「3本目も入ったぞ…そんなにうまいか?」

言ってバラバラに中を掻き回されて、ねばついた音と荒い息が部屋に響く。奥まで挿し入れられて、触られてもいない中心がしっかりと立ち上がった。けれどしどどに濡れた起立を放って置かれる。
イきたくてもイけないもどかしさに啼くと、リボーンが耳元に口を寄せて囁いた。

「イかせて下さいって言ってみろ。」

「バッ…いえないっ…!」

餌を食らう前の狼だってこいつの前ではまだ可愛いんじゃないか。舌なめずりして嗤うリボーンに、首を振るも言わなければ言わせるまでだというようにもっと奥の抜き差しを激しくされる。

「っ…ぁあ!…やぁああ!!」

決定的な刺激はくれず、ただ昂ぶる身の裡の焔に煽られて噛み締めた筈の唇から喘ぎが漏れ響く。びくりびくりと跳ねる身体はどうにもならない程の快楽を宿して、見られていることも恥ずかしさも麻痺させていった。

「こんなにいやらしく濡れて立ち上がらせといて、何を今更恥ずかしがってやがる…どっちがいいんだ?こっちを弄られるのと、ここに入れられるのと…さぁ選べ。」

こっちと言われて握られた中心も、ここと言ってグリグリと奥を擦られることも、どちらもよすぎて言葉にならない。確かな刺激が欲しいのに与えられないもどかしさにリボーンを睨んでも楽しげに口端を上げるだけだ。
膝裏を抱え上げられてその内側に舌が這う。つっう…と辿る舌に我慢しきれず小さく叫んだ。

「も…ねがい…!いかせ、てっ!」

それを聞いたリボーンは膝裏からゆっくり腿の肌触りを確かめるように手でなぞると、滴る先走りを掬い取って先の敏感な部分に塗り付けた。指で押さえつけられる度に滲み、リボーンの手を汚していきながら膨らむ。自分の手より大きい手で扱かれ、長い指で奥まで犯されていく感覚に酔っていく。
いいところを擦られる刺激と、裏筋からくびれを強めに扱かれる快楽とにあっけなく白濁を吐き出した。

やってしまったとすぐに気が付くも後の祭りだ。
吐精したばかりで息もまばらなら、考えも纏まらない。
すぐには戻ってこない羞恥に促されて武を覗くと、立ち上がっていた武が顔を赤くしながら駆け出していった。
リボーンと一悶着あるかと思っていただけに、肩透かしを食らった感が否めない。

「くくく…まさかツナがここまでエロいとは思わなかったぞ。可哀想に、3人ともしばらくてめぇとは面合わせられないだろうな…見る度に立つ羽目になんだろうよ、特に山本は。」

ご機嫌の治ったリボーンが訳の分からないことを言って笑っている。
そのことは忘れたい。きっと明日になったら死ぬほど後悔すると思うけど。

笑っているリボーンを無視して、解きかけのネクタイに指を掛けるとするっと音を立てて抜けた。目を瞠るリボーンのジャケットに手を掛けると脱がして横に放る。

「…しよ?」

どうにか羞恥に打ち勝つとリボーンの額に口付けた。ゆっくりと身体に回される手にホッとして首にしがみ付く。どちらからともなく重ねた唇からまた熱が広がっていく。
啄ばむように重ねた口づけとは別に、互いの身体を寄せ合ってまさぐり合う。

広いけれどまだ伸び盛りの筋張った肩のラインから滑らかな背中をこの手で確かめる。自分はリボーンのもので、リボーンはオレのだと思うと堪らない。もっと触りたくて、触って欲しくて、隙間もないくらいに身体を密着させたい。

キスの合間にリボーンのシャツのボタンを外していくと、後ろからふ〜んという声が聞こえた。

「誰だ…!って、雲雀さん?!」

振り向いた先には、面白くなさそうな顔の雲雀さんが腕組みをして立っていた。
誰何に気を悪くした風もなく、肩を竦めて近付いてくる。慌ててジャケットを掴むがリボーンに阻まれて着させて貰えなかった。

「ちょ…いつから居たんですか!」

「綱吉がイく顔はなかなかソソるね。」

飾り気のない言葉に全身が染まる。ジャケットで隠した下肢に力を込めて覆うが、それすらもリボーンに剥ぎ取られた。それを見ていた雲雀さんが前のソファに座ると足を組んでこちらを眺める。

「言ったよね…僕は自分以外に渡すくらいなら孤独であれと。今も変わらないよ。」

「雲雀さん…」

先日のオレと守護者総出の抗争の前に、雲雀さんがふらりと尋ねてきた際に言われた言葉だ。
以前にも同じようなニュアンスで言われたことはあったけど、ここまであからさまに想われていたとは思わなくて返事のしようがなかった。
その時には、オレのリボーンへの想いが成就するとは夢にも思っていなかったからずっと独りですよなんて答えてしまっていた。

「それとこれとは別です!見た通り本当の恋人なんで、速やかに退室して下さい。」

「イヤだね。僕は邪魔しにきたんだよ。…恋人同士だから何?別れればただの他人以下だ。」

「アンタ目茶苦茶…ふぐっ!」

歩く理不尽の塊に理を説いていると、隣の理不尽の権化に手で口を塞がれ肩を引き寄せられた。
そのまま耳を食まれ舌でなぶられる。手は肩から胸へと下っていき、撫でる手つきの怪しさに知らず身体が震えた。

背中から抱きかかえられるような格好で身体をまさぐられ、膝の力が抜けていく。気がつけばリボーンの胸に凭れ掛かっていた。

「…なに、する気?」

「まぁな。てめぇが出てくるのも、邪魔すんのも分かってたからな。」

鼻で笑う雲雀さんと、余裕綽々のリボーンに挟まれて血の気が引いていったのはオレだけだった。


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