7.変態教授が送る本日のプレイ講座そんな訳で見知らぬホテルに連れて来られていた。 いつも使うようなドアマンがいるホテルや女将さんがいる旅館とかではなく、コソコソと隠れるように吸い込まれていく男女が使うようなそこ。 未成年のオレを連れて、しかも身長の高い先生と2人でなんて目立つなという方がおかしい。 けれど人気のしないホテルのフロントとおぼしきところについても、フロント係はこちらを見向きもせずにただPCの管理画面を眺めているだけ。 携帯画面を操作していた先生はなにかをフロントに告げるとキーすら渡されずにオレの背を抱くとどこかへと足を向けた。 「…ちょ、キーなしで入れるの?」 「携帯電話やPCで予約した番号を告げるとそれに合わせて部屋が空くとかいってたな。」 鼻歌交じりのご機嫌な先生を前にオレは嫌な予感が予感でなくなることをヒシヒシと感じていた。 そもそも先生は人の手が入っていることや物を好む傾向にある。楽だから、簡単だからは好まない。なのにいかにも人の手がかけられていないホテルに来る意味が分からなかった。 それでもいいと思えるような何かがあるのだとしたら、それは何だ。 予約していたらしい部屋のドアノブに手をかけると防音性の高いことを知らせるような厚みのあるドアを押し入って連れ込まれた。 薄暗い部屋ではあるがきちんと整えられている。 ライトがピンクだったり、丸いベッドじゃないことに普通のビジネスホテルなのかと一瞬ホッとしかけて脇にある販売機に気付いてぎょっとした。 「先生…これ、」 まだ開館したてなのか真新しいベッドや内装の中に紛れるようにひっそりと佇んでいた販売機には先日見せられたばかりのファーの手錠や下着、果ては避妊具まで色々なものが並んでいる。 顔を引き攣らせながら声を掛けそうになったオレは慌てて口を噤むとくるりとそこから立ち去って、アイスクリームで汚れた手を洗いに洗面所を探しにいった。 先生に舐められたことで余計にベトつくそれを流してからきっぱりと拒否してやろうと思いつつ、レストルームと書かれたそこに足を踏み入れると想像以上に広くて綺麗で驚いた。 「なんで…?」 さっぱり分からない。 ただ手を洗ったりその奥にあるバスルームに続くだけの場所なのにと不審に思いながらも広々として小洒落た洗面台で手を流していると足音も立てずに先生がぬっと後ろから現れた。 「ひぃ!」 「何幽霊に遭遇したような声出してんだ。…今から入るのにわざわざ洗ったのか?」 「い、今からって、」 不穏な言葉に聞き返しつつ濡れた手をタオルで拭きにいくフリをして逃げ出そうと横に足をついたところでひょいと後ろから抱え上げられた。 いくらオレが大きくないからといっても、突然抱え上げられたら体勢が崩れて怖い。 先生の首に慌ててしがみ付けばニヤニヤといやらしい笑い方をした先生がその仕草を見ていた。 「ちょ、なんで…何で折角きちんとした格好で来たのにこんなところなんだよ!」 負けるもんかとそう今まで疑問に思っていたことを訊ねると、チロリとオレのスラックスに視線を落とした。 「…このスラックスはもう履かなくていいっつたろうが。」 「何で?勿体ないだろ。まだ履けるし、別に変じゃない。」 これを履くと必ずこの会話を繰り返すことになる。 先生から贈られた物なのに、贈り主である先生は最初にオレが履いて以来ずっとこの調子なのだ。 曰く、スラックスのラインがオレに似合わないのだと。 オレからしてみれば穴も開いていないし、履き心地も悪くないので捨てる理由が見当たらない。 連れてこられた広いバスルームの奥のバスタブの上に降ろされたオレは、先生の理屈に納得がいかなくてムッと口を尖らせた。 「お腹、空いた!」 「今頼むとヤってる最中に来るぞ?」 「ヤって…って、しない!」 あからさまな言葉に染まる頬を感じながらも意地でも言うことを聞くもんかとバスタブの縁から立ち上がろうと手を横についたところで先生が上から覆い被さってきた。 「いやだ…!やっ、んんぅ!」 開いていた口に重ね合わされて逃げを打つ舌を絡め取られて声がくぐもる。洗面所と同じく広いバスルームに見合った大きなバスタブに腰掛けながら口付けられる音が静かな室内に反響する。 はぁ…と吐き出した息でやっと唇が外されたことに気付いてぼんやり先生を見上げるとオレの顔より下に視線が落ちていた。 「あ…」 キスひとつで簡単に起ち上がったそこを知らせるように膨らんだ前を手で隠すと、そこには触れずにベルトに手をかけて引き抜かれた。 手の隙間から器用に外されたそれを無造作に後ろに放り投げると、ベルトなしでは緩いウエストに手を差し込まれた。 「や!バカっ!しないってば!」 必死に手で押さえても、スラックスの奥へと入り込んだ手の邪魔にはならずにぐっと下着だけ中で下げられて焦る。 先生の手を外そうと腕に手を添えたところで起立を下から擦り上げられて力が抜けてきた。 「ふ…っんン…」 下着から引き摺り出された起立の先がスラックスの布地に擦られてムズムズする。先生を押し返そうと肩に回した手が知らず縋り付く格好になってしまっていることにも気付かずにジャケットを握り締めると、耳朶を食まれて先生の手のなかのそれが硬さを増していく。染みを作りはじめたスラックスの前が恥ずかしい。 思い出すだけで恥ずかしいような思い出を作って二度と履かせないつもりなのだと分かっても、止める術を持たないオレはされるがままに先生の手の行方に翻弄される。 柔らかく歯で噛んでいた耳朶から耳裏へと先生の熱い息が掛かってビクリと身体が震えた。 「ツナ、どうしてここに連れてきたか分かるか?」 「わ、かんな…」 先生の行動はオレには理解不能だ。しかも指で起立のくびれをなぞられながらの問いにどうして答えれるというのか。 荒い息を吐き出しながら先生の腕にしがみ付き、汚されていくスラックスの中を不快に思っていると項に吸い付かれて甘えた声が漏れた。 「ぁあん!」 媚びるような声に慌てて口を閉じようとしても項を辿られて吐き出しそうになった。そこを昂ぶった射精感を握られて抑えこめられる。 「ひどぃ…」 逃げたいより出したいと疼く起立を握っていた先生は項から顔を上げると悪魔のような笑顔を浮かべてオレのスラックスから手を外すと力の抜けてされるがままのオレを抱えてバスタブの底に降ろした。 どうしてバスタブにと思っても、それ以上に早くして欲しくてどうにかなりそうだった。 そんなオレを焦らすように自身もまだ湯も張っていないバスタブに入ると後ろ手にバスタブの栓をしてオレの前に膝をつくとスラックスの染みを見せ付けるように膝を割り広げられた。 「広いバスタブだろう?しかもこれならよく分かるしな。」 「…なにが?」 何が分かるというのだろう。先生に見られることはいまだに恥ずかしいが、だからといって先生に見せていない場所なんてどこもない。 よく見せろと言われてお尻を突き出した格好で手で広げさせられながらじっくり弄られたことも、どこがいいのか目の前でやって見せろと自慰をさせられたこともある。 思い出すだけで居た堪れない羞恥が湧き上がるが、それ以上に気持ちよかったことも思い出してしまいまたスラックスの染みが広がりはじめた。 「あぁ、ツナのソコも待ってんのか?」 「…っ!」 指摘されても反論も出来ずに小さく息を飲むだけで精一杯だ。 広げられたままでモゾモゾ腰を動かしていると、やっと先生の腕が伸びてきてスラックスの前を寛げられた。 現れた自身の起立は期待に先走りを滴らせて震えている。それでもただ見ているだけの先生の視線に焦れて手を伸ばしかけたところで邪魔をされた。 「まだだぞ。」 「なん、で…」 イきたいと触って欲しいと零している体液を指でそっとなぞられて、もどかしさに膝が震える。 「いじわる…!」 「意地悪じゃねぇぞ。ここなら一回でどれだけ出るか分かるだろ?」 「一回?」 どれだけって何をだろうと荒い息とともにそう漏らすとくくくっと含み笑いが先生の口から零れた。 「何って精液に決まっんだろ。いつも最初はたくさん漏らすのにツナは認めねぇからな。ついでに空になるまでの量も調べてみるぞ。」 平然と告げられて動きが止まる。先生の手によって昂ぶられた起立は今にも吐き出してしまいそうだったが、それすら吹き飛ぶほどの変態発言に本当に引いた。 「…へ、変態…!変態先生っ!!」 「何とでも言ってろ。オレは気にならねぇぞ。」 「って、まっ!」 待ってくれる訳などありはしないのだ。 . |