リボツナ | ナノ



1.寝起きの奇襲




普段はオレが学校で先生は塾の経営が忙しくて、一緒に暮らし始めたけれどもすれ違いの日々が続いていた。

夜は深夜になることも少なくない先生の帰宅を待つこともしてみたのだが、1時を過ぎた頃には待ちくたびれてソファの上で寝てしまい、結局は帰ってきた先生に抱えられてベッドに転がされること十数回を経て待つことを諦めてしまった。
最近は熱中できるゲームもない。

朝になれば同じベッドで寝息を立てている先生を起こすことが忍びなく、ソロリと足音を立てないようにひとりで起きるのは時間いっぱいまで寝かせてあげようと気遣っていたつもりだった。










いつものように携帯電話のバイブレーター機能を使っての目覚めに、眠い目を擦りながらひとつ大きな欠伸をしてふっと胸元に視線をめぐらせた。
いくら夏に近いとはいえ、上掛けひとつ被っていなかったのかスースーと寒かったからだ。

普段はいつの間にか横に寝ている先生の胸に頭を摺り寄せるように丸まって寝ているというのに珍しいなと下を見て顔が引き攣った。

「…せんせい。何してるんだよ?」

寒いのも道理で、思い切り捲くり上げられた前は胸まで晒されていてパジャマのズボンすら膝まで下ろされている。
朝の生理現象でわずかに膨らんだトランクスのウエストゴムに手を掛けんとしていた先生は、寝起きとは思えない顔でニヤリと微笑んだ。

「おはよう、ツナ。意外と早起きしてるんだな。」

「そりゃ、ご飯作らないと…って、ちょ、ひっ!」

いつもの悪ふざけに付き合っている暇はないと、起き上がるために肘をついたところでずるんとトランクスを勢いよく下げられて慌てた。

「先生っ!」

トランクスを追って手を伸ばすと、その手を取られて自身に押し付けられて悲鳴を上げる。

「今日は午後から出勤すればいいんだぞ。」

「だから…?」

嫌な予感しかしない。
話しの間にもオレの手を上から握ったままソコを弄っていた先生は、先ほどより膨らんできたことを確認すると手ごと握り締めた。

「んぁ…っ!」

ただでさえ朝は弱いというのに絶妙な加減で握られて声が漏れる。それを聞いた先生はオレの胸の上でくつくつと笑いだした。

「しばらくご無沙汰だったからとはいえ堪え性がなさ過ぎんぞ。」

「バッ!いや…ぁ!」

膝まで降ろされていたパジャマと下着を剥ぎ取られ、膝を割り広げられて身体を強引に捻じ込まれた。
逃げ出そうと足をつくもおかしな姿勢になってしまい思うように力が入らない。
そうこうしている内に肩をベッドに押し戻されて体勢を崩したオレに伸し掛かってきた先生は、そのまま顔を落とすと胸の先に齧りついた。

「いっ!」

ガジっと音がするほど歯で齧られ、痛みに怯んだところをペロリと舐め取られる。
ぷっくりとしこった先を執拗に弄られて声も出せずに荒い息を吐き出した。

「ツナのココからなにか漏れてきたぞ?」

「ヤッ!そんなとこ、で…しゃべんなぁ!」

いやらしく膨らんだ先を咥えたままで囁かれる度に息と舌が当たって切なく疼きはじめる。
逃れたくて伸ばした手が掴んだ携帯画面は7時になろうとしていた。そろそろ本気で起きなくては遅刻する。そう思っても言葉も出ない。
しかも言われて気付いた。自分の手の中の起立から零れる音の卑猥さに。

もうダメだとぎゅっと固く目を瞑っていると、胸の先から首筋へとのぼってきた先生の唇が熱い吐息を吐き出していた口へと重なる。
挿し込まれるままに開いた口腔の奥へと進入を果たした舌がねろりと上顎を舐め取るとぞくぞくっと身体が震えた。

鼻から抜ける声や舌が絡まる音が耳朶に響いた。
寝起きから好き勝手にされていることが分かっても抵抗すら碌々出来ていない。嫌な訳じゃないが、それでもあまりに突然すぎて置いてきぼりにされているようで眦からポロリと零れた。

「おい、泣くな。」

「泣いてなんか…」

そう言いたかったのに途中で掠れた涙声に自分でも驚いた。しゃくりあげた声を口を押さえることで止めようとしても手の平から漏れ聞こえる。
身体は受け入れることを拒否していなくても気持ちはまだついてきていない。
先生と暮らし始めてからこっち、エロいことは散々されてきたから慣れたと思っていたのに。

嫌いな訳じゃないんだと言いたいのに言えないオレの頭をぐっと抱き寄せると、胸の中に掻き抱かれた。
先生の匂いと暖かさ、それから腕の中の心地よさにすりっと頬を寄せると頭の上から切なそうなため息が聞こえてきた。

「せんせ?」

「だから、先生じゃなくて…そろそろ名前で呼べって言っただろうが。」

「う、うん…」

オレを抱き寄せた腕は頭と背中に回されていてそれ以上悪戯をする気配もない。
情けなくもみっともなく剥かれたままの下半身が寒くてブルッと震えるとオレを抱えたままベッドの上から起き上がる。

「仕方ねぇ…とりあえず、ツナの朝食でも食うか。」

「とりあえず…」

不穏な言葉に思わず無言になると、そんなオレのことなど気にした様子もない先生はオレをひょいとベッドの上から抱え上げるとキッチンへと足を向けた。


















タイトルをモノクロメルヘンさまよりお借りしています。







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