虹ツナ | ナノ

新しい先生



虹っ子幼稚園に新しい先生がやってきました。
名前はユニ先生。とても可愛い先生です。
ユニ先生は新しく年少さんになったクラスの先生としてイタリアから遥々やってきたのです。




新学期を迎え、年少さんが年中さんへと上がってツナは年長さんになりました。
年少さんは1クラス20人を超えると2クラスに分けなければなりません。新しい年少さんは全部で30人と多いので先生が足りなくなった苦肉の策として呼ばれたようです。

「別に呼びたくもなかったんだがな。」

「あら、ご挨拶ね。沢田氏に呼ばれてきたのに、あなたに言われる筋合いなんてありません。」

どうやら園長先生とユニ先生もあまり仲がよろしくないようです。
同じアルコバレーノと呼ばれてはいても、この7人はどうやら仲がよくてそう呼ばれている訳ではないということでしょうか。

その大人2人を下からキョトンと仰ぐ視線に気が付いて、ユニ先生はにっこりと微笑みます。

「はじめまして、綱吉くん。私はユニと言います。これから仲良くして下さいね?」

「はーい!」

ラル先生とは違った女性らしい笑みはお母さんに似ています。
差し出された手を恐る恐る握り返すともう片方の手の平がツナの小さなてを優しく包みました。

「うふふっ、本当に可愛いですわ。リボーンたちが骨抜きにされたと聞いて楽しみにして来たけど、想像以上でした。」

「おい、いい加減ツナの手を離せ。」

あらあら、またも焼きもち妬きの園長先生が口を挟んできましたよ。
それでもユニは新しい教員で、女性ということもあり、コロネロ先生の時のように無理矢理引き剥がすことはできないようです。

ユニ先生はそれを知っていました。
可愛い笑顔の底にはアルコバレーノと一纏めにされる所以があるようです。

もじもじと照れるツナの手を引いたまま幼稚園へと足を向けるユニ先生とツナの後を不貞腐れた顔でついていく園長先生なんて中々お目にかかれない光景ですよね。






今日はバスを使って動植物園へ遠足に行く日です。
動物園と植物園が一緒になっているそこは、遊具の数が多いことでも有名でした。

明け方までの雨が嘘のように晴れ渡った空にはぴかぴかのお日さまが顔を覗かせています。
ユニ先生の笑顔のように雲ひとつないいいお天気です。

「さすが晴れ女だな。」

「すごいね、ユニ先生!」

「よろこんで貰えて嬉しいです。ツナくん、今日はいっぱい遊びましょうね。」

「うん!」

ツナに振られた園長先生がこの世の終わりのような顔で登園して他の園児のお母さん方に心配されていたなんてこともあったのだとか。



さて、一人もお休みすることなく迎えた遠足を前に新しく赴任してきたユニ先生の紹介をしています。
園庭に集まった園児たちとその親も新しい先生に興味津々といった様子です。
女性の幼稚園教諭といっても、ラル先生のような前例もあるので一体どんな先生なのかと誰もが思っていたのでしょう。

そこに現れたのは、小柄なとても優しげな表情の女性教諭のユニ先生。
誰もがほっとするような包容力を感じさせる容姿と物腰に父兄たちから歓迎されたました。

同じアルコバレーノたちを除いては、と付け加えておきましょう。




年少さんの先生となったのはユニ先生とスカル先生です。
スカル先生は3月まで年長さんの担任でしたが、無事…というか嫌々卒園していった問題児2人から開放されて、また新たに年少さんの担任を任されることとなったのです。

3台用意されたバスへと園児たちを乗せていると、ユニ先生がスカル先生の横にきて何事かを囁いていきました。見る見る顔を青くさせていくスカル先生に、園児たちが声を掛けてます。

「スカル先生どうしたの?」

「い、いや!なんでもない!ユニ先生に脅されたなんて…グフッ!」

スカルの脇腹に鋭い一撃が入っても、それは巧妙に園児たちから見えない位置で何故スカル先生がいきなり黙り込んだのか分かりません。
それを計算に入れた上で、ユニ先生はにっこりと園児たちに微笑みます。

「こっちのバスにはスカル先生と園長先生が乗りますからね。みんな楽しく遊んで貰ってね。」

「はぁい!」

スカル先生は勿論、園長先生も逆らえないなんてユニ先生って何者なのでしょうか。




コロネロ先生と一緒に年長さんのバスへ乗り込んだユニ先生は、お歌を歌ったりクイズをしたりとみんなを楽しませることが得意でした。
少なくともコロネロ先生と園長先生が乗り合わせなかったことにより、被害を防げた年長さんたちは大歓迎です。
園長先生とコロネロ先生は火と油ですからね。

何事もなく動植物園へやってきた園児たちはバスから降りると先生たちと一緒に、まずは動物園へと向かいます。
ツナは左右にたけし君とはやと君に囲まれて、なにやら算段をつけているようです。

「…ってことで、いいスっよね!」

「たまにはオレたちだけで遊ぼうぜ!」

「う、うん…でもいいのかな?」

「こんだけバラけてりゃバレないっスよ。」

「…わかった。」

どうやらツナと3人で(本当は2人で)遊びたいたけし君とはやと君がツナを連れて遊具へと誘っているようです。今は動物園を回る時間、その後にお昼を取ってから植物園の中にある遊具で遊ぶことになっています。
けれどたけし君もはやと君も待てないようで、3人だけで抜け出そうとツナの手を引いてこっそり抜け出しました。

珍しく大人しい園長先生は年少さんに捕まっていて、コロネロ先生もラル先生もスカル先生も手一杯です。
草むらから草むらへと隠れて移動を繰り返す3人は、後ろについてくる人影に気が付きませんでした。





「やっと着いたのな!」

「まだ誰も遊んでません。オレたちだけの遊具ですよ!」

動物園から離れ、3人だけで遊具のある場所までたどり着くことができのはたはやと君の地図を把握する力と、たけし君の動物的な勘のよさの賜物でしょう。
ツナを振り返ったたけし君とはやと君はその後ろに居る人物にはじめて気が付きました。

「ユ、ユニせんせい…」

その笑顔が怖いと思ったのはたけし君とはやと君だけで、ツナが驚いて振り返ると優しい笑顔に戻っていました。

「あ、あの…ごめんなさい!」

悪いことをしたという自覚のあるツナが謝るとその笑顔のままで言いました。

「先生もここは初めてなの。戻れないから一緒に遊んで貰えるかしら?」

「うん!」



園長先生をも出し抜いて、ツナ仲良くなるその手腕はこれからの幼稚園生活を益々賑やかになっていくでしょうね。

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