虹ツナ | ナノ

7.



今日は日曜日。
幼稚園はお休みの日です。

高く澄んだ秋空が広がり、空気も少しひんやりしていますがお日さまが顔を出すとぽかぽかいいお天気です。

いつもよりちょっとおねぼうさんなツナは、お母さんに起こされて…ではなく、リボーン先生に起こされてキッチンまで降りてきました。
あれ?どうして日曜なのにリボーン先生がお家にいるのかな?

「ツナ、今日はちょっと遠くの公園にでも行こうか?」

「んーん。きょうははやとくんとたけしくんがおうちにあそびにくりゅからいけにゃいの。」

半分寝ぼけているツナは、普段もあまりよくない滑舌が更に悪くて、それが可愛くてたまりません。
リボーン先生は膝の上に乗せているツナをぐりぐりしています。
それを見ているお母さんは、いつものことなのでニコニコと微笑ましく眺めています。

「リボーン君、たまにはお出かけしてきなさいな。ツナは私もいるから気にしなくていいのよ?」

「酷いぞ、奈々。オレからツナを引き離そうとしてるのか?好きでツナと居るんだ、気にしないでくれ。」

「うふふ。本当に仲良しねー。」

どうやらリボーン先生、ツナのお家にご厄介になっているみたい。だからといって、嫌々ツナを見ているんじゃないのは傍から見ていても分かりますよね。
本当に可愛くて可愛くて堪らない!といった様子のリボーン先生は、ぼんやりしているツナのほっぺにちゅっと。大きな瞳をパチパチさせていたツナも、お返しにリボーン先生のほっぺに…ではなく、ここにしてくれと言わんばかりに尖った口にちゅっとしました。

「つっ君、いいわねー!お母さんもお父さんがいれば毎朝出来るんだけれど…。」

いいんですか?お母さん。
何だか羨ましそうですね。
この前の運動会からこっち、お父さんの家光はお家に帰ってきていないみたい。

少し寂しくなったお母さんにもツナはテーブルを伝ってちゅっとしてから頭を撫で撫でしてあげました。
すると、お母さんは嬉しそうにツナを抱きしめます。
お母さんだってツナのことを世界で一番愛しているんです。(家光さんも一番です。一番が2人居るって幸せです。)

すると、それを見ていたリボーン先生が妬きもちを妬きはじめました。

「奈々、ツナに朝ごはんをくれた方がいいんじゃないのか?」

「あらまあ!それもそうね。つっ君今日はチーズトーストとりんごよ。」

ツナをリボーンの横の席に着かせると、お母さんは支度をはじめました。
リボーン先生ってばお母さんにまで妬きもちを妬くんですね。困った先生です。

「そう言えば、今日は獄寺と山本が家に来るのか?」

「うん!あとね、コロネコ先生も!」

「…あの筋肉バカ。」

冷めてしまったエスプレッソを眉間に皺を寄せて飲むリボーン先生に、ツナはそんなに苦ければ飲まなきゃいいのになぁ…と思っていました。
ちょっと違うんだけどね。

お母さんのいつも美味しい朝ごはんを食べて、ツナは今日も元気いっぱい。
はやと君とたけし君、コロネロ先生といっぱいいっぱい遊べそうです。
リボーン先生は邪魔する気満々ですけどね。



さて、一番乗りは誰かな?

ピンポーン!

玄関からチャイムが聞こえます。
ツナは慌てて出ようとしましたが、リボーン先生が出てしまいました。

「ちわー!」

一番はたけし君でした。
いつもの園服と違い、ちょっとかっこいいデニム姿です。ばっちり決めてきたようですよ。
勿論ツナが出ると思っていたたけし君は、リボーン先生を見てびっくり。


「なんで園長先生がいるんすか?」

「ツナの未来の夫だからだぞ。」


って何言ってるんですか!
あらあら、たけし君は真に受けちゃったみたいで顔が真っ青です。
そこへコロネロ先生がやって来ました。


「…てめーその妄想癖は早めに直しておけよ、コラ。」

「んだと。10数年後には事実になるからいいんだぞ。」

「させるか!」


またまたリボーン先生とコロネロ先生の喧嘩が始まりました。
その喧騒を聞きつけたツナが、青い顔をしてたけし君をお家の中に招き入れます。
聞くのは怖いけど、やっぱり聞きたいたけし君はツナに尋ねます。


「ツナ…なんでリボーン先生がツナの家にいるんだ?」

「えーと、リボーンせんせいはおとうさんのともだちなんだって。おとうさんがリボーンせんせいとかコロネロせんせいとかをにっぽんによんだっていってた。でね、リボーンせんせいはうちでいっしょにすんでるの。」


つまり、イタリアでもとっても有名だったリボーン先生をどうにか日本に呼んだ家光パパは実はイタリアから日本まで、世界をまたに駆ける教育を手掛ける実業家だったのです。
人は見かけによらないものですね。
リボーン先生にしてみれば、観光がてらに寄った日本で、家光の愛息子こと綱吉をひと目見て気に入ってしまい、それからずっと沢田家にお世話になっています。
それがリボーン先生が園長になるときの条件でした。


コロネロ先生以下4名はそんなことなど知らず、リボーン先生が腰を落ち着けた日本はさぞいいところなんだろうと揃ってやってきたのです。
契約する際になって、初めて綱吉に出会った4人はリボーン先生の意図がはっきり分かったのです。
そうして、それを阻止するためにもと進んで契約を交わしたのだとか。
家光にとっては一石二鳥です。
何と言っても、あのリボーン先生から愛息子を守ってくれるのですからね。


そんな裏事情を知らないたけし君ですが、恋する男の子の勘で大体のことは分かったみたいです。
大好きなツナを日夜守ってあげたいたけし君は、ツナの手を取ると言いました。


「何かあったらオレに言えよな。ぜったいたすけてやるって。」


小さくても男前ですね。
かっこいいたけし君にちょっとドキドキしたツナは頬を赤くしてうん!といいお返事をしました。
それを聞きつけた大人2人は喧嘩を止めてたけし君を睨んでいますよ。


「山本、いい度胸だなコラ。」

「いっぺん死んどくか?」


さすがにこの2人が相手ではたけし君は敵いません。
違う意味で青くなっていると、ツナが大人気ない2人を下から睨みつけます。


「たけしくんはボクのともだちなんだから、けんかしちゃダメ。」

「ツナ…。」

小さい身体でたけし君を必死に庇うツナに、たけし君は感動したようです。
反対に益々機嫌が悪くなる大人2人に、ツナは両手を広げて抱きつきました。
そんな可愛く寄ってこられたら、メロメロな2人には堪りません。
リボーン先生より一足早く動いたコロネロ先生は、ひょいっとツナを抱っこしました。


「ボク、コロネロせんせいもたけしくんもリボーンせんせいもだいすきなんだ。だからなかよくしてほしいよ。」


小さい手が必死にコロネロ先生の頬を掴むと、目を合わせて言います。
ミルクチョコレート色の綺麗な瞳にコロネロ先生はくらくらです。
一も二もなく頷くと、ツナの頬にちゅうとキスを落としました。


「約束はできないが、努力はするぜコラ!」


頬に落とされた唇がくすぐったいツナはきゃっきゃっと笑っています。
それに怒ったのはリボーン先生です。
頬擦りしているコロネロ先生から慌ててツナを奪還しました。


「てめぇはイタリアへ帰れ。ツナ、オレ以外のヤツに触られないように気を付けるんだぞ。」

「??」


みんなツナにとっては大好きな人たちです。
それにイタリアではちゅうはご挨拶だと一番最初に教えてくれたのは、誰あろうリボーン先生だったのに。
嫉妬などという言葉も気持ちも知らないツナには分かりません。
だから大好きな人には同じように分け与える気持ちを表現しているだけなのにね。


その後、1時間遅れでやってきたはやと君はお姉さんのビアンキちゃんからまたひどい料理を食べさせられたみたいで、ツナのお家に着くなり倒れ込んでしまいました。
結局、その日ははやと君もたけし君もコロネロ先生までツナのお家にお泊りすることになりました。
月曜もお休みでよかったね。


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