虹ツナ | ナノ

5.



「今日はよろしくおねがいします!」

「おねがいしまーす!」

ラル先生と園児たちの元気のいい声が、畑いっぱいに響きまました。
勿論ツナも大きな声でお願いしていますよ。


さて、今日はお芋掘りをしに幼稚園の近所の畑までやってきました。
近所の畑の持ち主の方の好意で、無償で貸して貰っている畑には春に植えたサツマイモのつるや葉っぱが生い茂っています。
気持ちのよい秋空と、風のない絶好のお芋掘り日和になりました。


「いいサツマイモができているから、たくさん取っていくといい。」


畑の持ち主のランチアさんが園児たちに話します。
見た目は大きくて怖いランチアさんですが、実は子供好きで有名です。
園児たちもよく遊んで貰っているので大好きなのです。


3人グループに分かれて、広い畑に挑む園児たちと先生。
ツナはと言えば、勿論はやと君とたけし君と一緒に…あれ?今日は違うみたい。
よく見れば1グループに年少さん、年中さん、年長さんと振り分けられていますね。
う〜ん、先生たちの意図が見え隠れするような?


「ツナ〜!オレっちでっかいおいもほるんだもんね!」


「ランボ…それはおいもじゃないよ、だいこんだよ。」


「君バカ?よその畑に入るんじゃないよ。かみころ…」


「きょうやさん!いっしょにおいもほりましょう!」


どうやらツナは年少さんのランボ君と年長さんのきょうや君と一緒の班みたいです。
ランボ君はツナの遠い親戚の子で、つい先日イタリアからやってきたいたずらっ子。ツナもホトホト手を焼いている様子。きょうや君に至ってはお得意の「噛み殺す」が出てきそうですが、ツナに呼ばれて満更でもありません。懐から出したトンファーをしまい、ツナの呼ぶ方へと足を向けました。


「すごく大きいみたいで、ひとりじゃぬけないんです。てつだってくれますか?」


「…仕方ないね。いいよ。」


へにょりと泣き笑いの顔でお願いするツナ。
それを見たきょうや君の顔は言葉とは裏腹に嬉しそうですよ?


そこに、畑の持ち主のランチアさんがやってきました。
ツナときょうや君が頑張って抜こうとしているお芋は、けれどもすごく根が張っていて抜けれません。
ランチアさんは横から根っこを覆っている土を少し掻き分けると、引っ張るのを手伝ってくれました。
土の中からにょきりと現れたサツマイモは大きくて幾つもなっていました。


「やったーー!きょうやさん、とれたよ!ランチアさんありがとう!」


去年はひょろりとしたサツマイモしか取れなかったツナは、とっても嬉しくてランチアさんに抱きつきました。
それを見ていたきょうや君と園長先生。
あらあら、すごい形相ですね。


「ちょっと、綱吉をはなしなよ。」


いつの間にかトンファーを構えたきょうや君がランチアさんの前に立ちはだかります。


「ランチア…残念だぞ。てめぇはいいヤツだと思ってたのに…公序良俗で逮捕されるって知ってたか?」


捕まりませんよ、そんなことで。
かなりイイ笑顔で園長先生が近付いてきました。
目が笑っていないどころか、殺気すら漂っています。


それを見た他の園児たちは、素早くその近くから逃げると見ないようにしてお芋掘りを続けます。
みんな慣れっこなんですね。
そんなことを知らないランボ君が、ツナ〜!とその間に入ってきました。


「ツナ〜!見て見て!ランボさんおっきいの取ったぞ〜!」


「「「それは白菜だ!!」」」


ツナ以外の3人に一斉に突っ込まれたランボ君。
ツナはと言えば笑い出しています。肩を震わせ、目じりに涙まで溜めて笑うツナに3人の微妙な雰囲気もどこかに行ったようです。


「それはもどしておいで。」


「ツナついてきてくれー!」


「はいはい。」


ランボ君に連れて行かれたツナを見て、ランチアさんは思いました。
今後、あの子に近付くのはやめようと。
でもそれは出来ない話です。
だってツナはランチアさんが大好きなんですから。


園長先生ときょうや君は、また一人増えた恋敵に頭を痛めていましたとさ。




さて、今日掘ったお芋は綺麗に洗って明日焼き芋にするようです。
明日はどんな騒動になるのやら。

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