虹ツナ | ナノ

3.



さて、楽しかったお弁当タイムも終わり、午後からの競技の始まりです。


最初は年少さんの親子玉入れ。
お父さんやお母さんが玉を拾い、園児たちがそれを貰って玉入れをします。
和やかに終了し、次はいよいよ年中さんのリレーです。
リレーといってもバトンは渡せないので、首に下げたタスキを渡します。

「がんばろうな!ツナ。」

「さわださんからのタスキ、かならずうけとります!」

どうやらたけし君がツナの前走者で、はやと君がツナの後ろみたいです。
かけっこが苦手なツナは、泣きそうな顔で頷いて反対のトラックへと並びにいきました。
それを見てにこやかに手を振っていた、たけし君とはやと君はツナがこちらを見なくなると何やらコソコソと相談をしているみたいです。
何を話しているのかな?

「いいか、てめーが引きはなせばさわださんがあんしんしてはしれる。ぜったいほかのやつらにぬかれるんじゃねー。」

「わかってるって。オレもだけど、ごくでらもツナのがんばりをだいなしにすんなよな!」

互いに顔をつき合わせて話すことと言えば、ツナのことだけみたいです。
他の子たちは眼中にありません。
困った人気者さんたちですね。

さぁ、スタートです。

ツナのグループの第一走者は2着で次の子へとタスキを渡しました。
次はたけし君の番。

「まぁまぁかな?」

余裕の表情です。
タスキが渡りました。ぐんぐんと一番の子に追いつくと、あっと言う間の追い抜かしかなりの差を付けてツナにタスキが渡ります。

ツナは一生懸命走っていますが、すぐに2番の子に追いつかれ、抜かれてしまいました。それでも必死に走って、そのままはやと君にタスキを渡すことが出来ました。

今までで、一番頑張ったかけっこです。
ぜいぜいと肩で息をしていれば、園長先生がビデオ片手にグッと親指を立てていました。
コロネロ先生も、ツナの頭を撫でてくれます。

はやと君が頑張ったお陰で、ツナのグループは見事1位。
すぐにツナの元にやってきた、たけし君とはやと君にぎゅうぎゅう抱きつかれてツナは苦しいけれども、とっても嬉しかったようです。
2人のほっぺにちゅっとしていれば、またも園長先生が現れて2人を追いかけ回しています。
大人げないですね、園長先生。


その後は、年長さんの組体操とダンス。きょうや君は団体種目は入りません。
むくろ君も好きではないのですが、ツナに見て貰うためだけに参加しています。
健気な男心を解さないツナは、はやと君やたけし君とおしゃべりして見過ごしてしまったようです。
残念!

こうして、虹っ子幼稚園の運動会は無事に終わりを告げたのでした。





さて、お片付けが済むまでは終わりではありません。
ツナも出した椅子をきれいに雑巾で拭くと、きちんと教室へと運びました。

「さわださん、あしたのおやすみ…いっいっしょにあそびませんか?」

「うん!いいよ!」

「ごくでらぬけがけはよくないのな。オレも入れてくれよ!」

「うん!!3にんいっしょがいいよね!?」

はやと君もたけし君も2人きりがいいのですが、ツナの嬉しそうな笑顔の前ではそれも言えません。
仕方ないけど、お邪魔虫も一緒かと思っていれば。

「ツナ、明日は遊園地に行く約束をしてたじゃねーか。」

どこから現れたのか、また園長先生がツナの前に屈んで言います。
勿論、はやと君とたけし君に牽制することは忘れません。

「えっ?パパとおやくそくしてたんだけど。」

「だから最初に言っただろ。家光の代わりだって。だから、明日も家光の代わりにオレが連れて行ってやるぞ。嫌か?」

「本当?!嬉しい!!……あ、」

どうしましょう、先にお約束していたのはパパとですが、お約束は叶わないと思って2人と遊ぶお約束をしてしまいました。
困ってキョロキョロしていれば、はやと君とたけし君はすっごく悔しかったのですが、ここは涙を呑んで遊園地へ行くよう言ってくれました。

「でも…せっかくいちにちじゅうあそべるのに…。」

「いいんです!やくそくはじゅんばんっすから。」

「そーなのな。またこんどの休みにあそぼうぜ、ツナ。」

「うん!」

そうしないと、明日のお休みはリボーン先生が一日中付いて回りそうですからね。

「オレを出し抜こうなんざ、100年早ぇぞ。」

園児相手に本気で争わないで貰いたいものです。


明日になれば、それを聞きつけた虹っ子幼稚園の先生たちが、ツナとリボーン先生の遊んでいる遊園地に勢ぞろいしていることは間違いありません。

そんなことは知らない園長先生はご機嫌でツナを連れてお家へ帰ります。
たくさん頑張ったね、ツナ。


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