虹ツナ | ナノ

2.



園長先生とコロネロ先生が殺し合いにまで発展しそうな喧嘩をしている中、ツナと他の園児たちは年少さんの先生のラル・ミルチ先生とスカル先生、教頭のマーモン先生と共に準備をしています。

入場行進のため一斉に揃う中、ラル先生はツナとこっそりお約束をしたみたいです。
綺麗な瞳を細めて、満面の笑みを浮かべています。
それを見たマーモン先生は、こっそりツナに聞きました。

「ねぇ、ラル先生と何話したの?」

「うーんとね…あ、内緒。」

両手で口を塞ぐ仕草がとっても可愛くて、マーモン先生はぎゅう…と抱きしめてしまいます。
すると、やっと喧嘩を終えた2人がマーモン先生に蹴りを入れてきました。

「痛いじゃないか。やめてよね、ツナヨシが怪我したらどうするの。」

「そんときゃてめーを殺す。」

「死ぬ気で庇いやがれ、コラ。」

酷いことを言う2人の先生に、ツナはメッと下から睨みます。
これじゃあ、どっちが先生か分かりませんね。

そんなこんなで、虹っ子幼稚園の運動会が始まりました。







最初は入場行進から。
一生懸命歩調を合わせるツナは、手と足が一緒になってしまっています。
それも可愛いので、ツナのパパの家光は張り切ってビデオを回しています。

「ツナー!頑張れよー!」

一番大きな声援を上げる家光に、ツナは顔を赤くしながら絶対視線を向けませんでした。
だって、行進で頑張れって…困りますよね?

どの園児たちもきちんと揃って入場行進ができました。
クラスで一番小さいツナは、一番前に居ます。
校長先生のお話、PTA会長や近くの小学校の校長先生など、色々な人のお話をきちんと聞いています。

そして開会の言葉は、年長のきょうや君とむくろ君が殺伐とした空気を流しながら開会の宣言をしてくれました。

さあ、今からはじまりです!


最初は全員で体操をします。父兄も参加する体操は、親子一緒に行います。
ツナはパパとママの3人で元気いっぱいです。

「よう、家光。今日は休みか?」

「お、リボーン。いつもツナが世話になってるな。…いいや、実は……。」

園の門から見えるのは、若干危ない雰囲気を漂わせている人相のよろしくない面々が。
苦虫を噛み潰したような顔で、しぶしぶそちらへ向かう家光。
リボーンは、肩を竦めるとビデオは任せろと胸を張っています。
園長先生?職務はいいんですか?

「パシリもいるし、気にするな。…ツナ、今日はオレがパパの代わりだ。嬉しいか?」

「うん!リボーンの方がいつも家に居るから本当のパパみたい!」

邪気のない笑顔でリボーンに言い募るツナに、家光はうわ〜〜〜〜ん!と大の大人にあるまじき泣き声をあげて駆けて行ってしまいました。

リボーンと2人、顔を合わせてちょっとため息をつきます。
あんなきつい言葉を言ったのは、家光がなかなか家に帰ってこないから。
ツナだって、パパは大好きです。

「もう!家光さんをあんまり虐めちゃだめよ、つっ君。リボーン君もよ!」

分かっているママは寂しそうに笑っています。

「奈々だって、せっかく家光と過ごせると思っていたんだろ?」

奈々とはツナのママの名前です。奈々はいいのよ〜。とツナそっくりの顔でにっこり笑います。

「私は家光さんと心で繋がってるから。うふふふっ。」

充分幸せそうですね。ごちそうさまです。

さて、準備運動が終わると今度は年少さんの競技です。
問題児の居ない年少さんはみんな可愛く走れました。
年少さんが走り終わると、次はツナたち年中さんの踊り。

手にはポンポン、腰には腰蓑のようなふわふわを巻きつけ、可愛く入場です。
音楽に合わせて、みんな一生懸命踊ります。
ツナも必死に合わせようとしていますが、どうやら他の子と比べるとワンテンポ遅いようです。

本当に、園長先生自らツナのビデオを撮っていますよ。
ほら。

「ツナ!こっちだ。」

ビデオ片手に手を振って、視線をこちらに向けようとするリボーン。
職務放棄だと思うのですが、どの父兄からも、先生たちからも不満は聞こえてきません。
(そんな怖いこと、誰もしません。)

踊ることに必死なツナは、それには答えず一生懸命踊ります。
最後に、みんなでコロネロ先生の元に集まってポーズを決める時にツナはコロンと躓いてしまいました。
それでも泣かないですぐに立ち上がると、コロネロ先生のところに集まって決めポーズ!

たくさんの拍手を貰って、みんな頑張りましたね。


それからも、年長さんの障害物競走や、全学年での踊り、父兄の綱引きなど滞りなく進んでいきました。
年長さんの障害物走はむくろ君ときょうや君が障害物を壊していったために、途中でただのかけっこになったようです。

「パシリ、何であの2人を一緒に走らせたんだ、コラ!」

「仕方なかったんですよ。聞かなかったんです!どうしても決着を着けるんだって!!」

コロネロ先生はスカル先生に関節技をきめていると、傍に居たツナが一言いいました。

「でも、どっちもとっても早かったね!カッコいいなぁ!!」

ちょっと頬を染めて言うツナに、先生2人は気が付きました。ツナにカッコいいって言って貰いたいために1着になりたかったことを。そうして、できれば相手を叩き潰したかったことも。(障害物を壊すついでに相手も壊そうとしたみたい?)

「みてろよツナ!オレのほうがはやいぜ!」

「なにをー!さわださん、オレもがんばります!」

それを見ていた年中の人気者2人は、我先にツナへアピールします。
ちっとも分かっていないツナはにっこりと笑うと、たけし君とはやと君の手を取ってぎゅっと握りしめて言いました。

「オレ、おうえんしてるから頑張ってね!」

いやいや、つっ君、君も走るんだからね?
お昼の後には、年中さんのリレーがあります。
さてさて、どんな結果になるのかな?




みんなが楽しみにしているお昼の時間がやってきました。
お母さんや、中にはお父さんが腕を奮ったお弁当。お父さん、お母さんと一緒に楽しいお昼です。

ラル・ミルチ先生は、キョロキョロと誰かを探しているみたい。
手には大き目の紙袋を抱えています。
やっとお目当てが見付かったみたい。嬉しそうに手を振って駆け寄ります。

「ツナ!朝の約束通り、一緒に食べようぜ!」

「うん!!お母さん、ラル先生とお昼食べる約束したの。いい?」

「ええ、ええ。いいわよー!どうぞ、ご一緒に!」

シートの上にはすでにところ狭しと並べられた奈々のお弁当が。
おにぎりもアンパン〇ンになっていたり、ポ〇モンになっていたりとすごく手が込んでいます。
ラル先生はちょっと恥ずかしそうにしていましたが、ツナの横に腰掛けるとお弁当を広げます。

「…てめぇ、料理の才能ねぇな。」

ラル先生の頭の上から、園長先生の声が掛かりました。
言われて顔を赤くしながら、般若の形相で振り返ります。

「おおきな世話だ!」

「ツナ、オレはそこそこ作れるぞ?将来はお婿に来いよ。」

「???」

「オレもお前が婿に来る頃までには鍛えておくから、安心しろ!」

「????」

ラル先生とリボーン先生の言葉はさっぱり分かりません。ツナはきょとんとして、2人の顔を見比べるとリボーン先生の手を取って、ラル先生と反対の自分の横に座らせて言います。

「2人とも仲良くね!」

「「…分かった(ぞ)。」」

「うふふっ。それじゃあ、4人で頂きましょうか!」

それを見ていた他の先生たちもわらわらと沢田家のシートへ集まってきました。

「ご一緒させて下さい。」

とスカル先生が来れば、

「オレもいいか、コラ!」

と何故か顔を赤くして混ざりに来るコロネロ先生。

「僕もいいかい?」

と最後にマーモン先生まで来て、シートは満員御礼です。
それを見ていたラル先生が、仲間たちをきっと睨みつけました。

「オレは朝、ツナと約束してたんだぜ。」

「ハン、オレはツナのパパン代わりだぞ。ツナの傍にいるのは当然だ。」

な?とリボーン先生が言えば、

「オレは担任として、一緒にいるぜコラ!」

と、訳のわからない理屈を言うコロネロ先生。

「たまにはいいじゃないですか。」

いつも年長の問題児2人を相手にしているスカル先生は、たまには可愛いツナで癒されたいみたい。

「むっ、僕だけ仲間外れにしないよね?」

他の園児たちと一緒に昼食と取る機会の少ない教頭のマーモン先生は、勿論ツナに言います。
仲間外れは悲しいことを知っているツナは、首を縦に大きく振りました。
(マーモン先生は、他の先生方に仲間外れにされてもなんともありませんけどね。)

「うん!みんなで食べるとおいしいね!」

ラル先生はちょっとおもしろくなかったけど、それもツナの笑顔で帳消しです。
その後も、むくろ君はコンビニ弁当片手に、たけし君はお父さんのお寿司を持参で、はやと君はお姉さんの料理から逃げてきました。
きょうや君だけは、群れるのが嫌いなので、自宅に戻ったみたいです。

「ごちそうさまでした!」

園児たちのいい笑顔がたくさん見れたお弁当タイムでした。


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