虹ツナ | ナノ

1.



ここは、私立虹っ子幼稚園。
大きな園庭と手入れのされた花壇、そしてイケメン揃いの先生たちが父兄に人気の幼稚園です。


今日も元気よく登園してくる園児たちに、毎日の水遣りを終え門の前で挨拶をする先生がひとり。

「おはようございます。スカルせんせい。」

「おはよう、すぐに支度をして椅子を持って園庭に集まるんだぞ。」

「はーい。」

自クラスの園児に声を掛けるが、そこから離れないのは園一番の知性派イケメンのスカル先生。
なんだか誰かを待っているような?

「おはよーございます!!スカルせんせー!」

「ツナ!おはよう、今日も可愛いな。」

知的な顔を崩れさせ、ひょいっと抱え上げるのは年中さんのさわだつなよし君。
ミルクチョコレート色の髪と同じ色の瞳を持つ、とっても可愛い年中さんです。

腕の中に抱きかかえていると、スカルの足元を痛みが走りました。ついで、鋭い視線も。

「ちょっと、なに勝手につなよしにさわってるの?早くはなしなよ。かみころすよ。」

スカル先生の腰あたりから聞こえる声に、ハタと視線をやれば、スカル先生が担任しているクラスのひばりきょうや君が、小さいトンファーを構えて見上げていました。
足の痛みは、どうやらきょうや君がトンファーで殴りつけたみたい。

「あ、おはよう!きょうやさん。」

スカルの腕から開放されたツナが、きょうや君にニコニコと挨拶をします。
きちんと挨拶をするツナに、きょうや君は鷹揚に頷くと、手を取ってスカルから連れ去っていきました。

慌ててツナときょうや君の後を追うスカル先生。
それを横目で睨むと、きょうや君は跳ねまくりなふかふかの髪にキスを落とし年中さんのクラスへ送り届けてくれたようです。
それを見ていたスカル先生はきょうや君に注意をしにクラスに駆け込んで行きました。

またも騒がしくなる年長さんクラスに、ツナは何でかなーと年中クラスの前でぼやりしています。
すると、また声が掛かります。

「おはようございます、つなよし君。」

振り返ると左右の瞳の色が違う、ミステリアスな雰囲気の園児がにっこりと笑っていました。
それにちょっと後ずさるツナ。
あれれ?苦手な子なのかな?

「お、おはようございます。むくろさん。」

「クフフフッ、そんなたにんぎょうぎな。むくろでいいですよ。」

「うんん。だってむくろさんは、ねんちょうさんだもの。よびすてにはできないよ。」

首を横に振って言い募るツナに、年長さんの六道骸君はにんまりと笑います。
年中さんのクラスの扉を開け、一緒に入ってくるむくろ君にツナは困り顔。

「あの…むくろさんはおしたくおわってるの?」

「もちろんです。きみは支度がいつも遅いから、ぼくがめんどうを見てあげます。」

「いいよ!」

必死にご遠慮願うのですが、むくろ君はツナの傍から離れません。
困っていれば、ぬっと後ろから大きな影が。

「おはよう、ツナ!…何だ骸。お前は隣の年長だろうが。帰れ、コラ。」

年中さんクラスの担任にコロネロ先生が、むくろ君の襟首を掴むと廊下にぽいっと投げ捨てました。
それに憤るむくろ君ですが、コロネロ先生はまったく意に介しません。
だって毎朝のツナとの挨拶があるのですから。

「…(むくろさんだいじょうぶかな?)、おはようございます、コロネロせんせい!」

言うと、コロネロ先生の頬にちゅっとご挨拶。
コロネロ先生はイタリア人で、ご挨拶はこうするのだと教えてくれたのです。
でも、他の園児にはしていませんでしたよ?

ついで、コロネロ先生もツナにご挨拶を。あとほんの数センチで口にしそうな勢いです。

それを見ていた他の園児たちは、キョロキョロと辺りを見回します。
渦巻く暗雲を背負って現れたのは、年中さんの人気者2人。
そして、この2人を見た園児たちは、素早く椅子を持って園庭へと逃げ出しました。

「コロネロせんせい、それってずりーのな!」

「はてろ!!」

コロネロ先生の背中から竹刀と爆竹が降り注ぎます。
そんなものは当然予測済みの先生はツナを腕に抱えると、ひょいっと交わして竹刀を遠くに蹴り上げ、爆竹小僧に拳固をくれると仁王立ちして言いました。

「ふん、そんなもんじゃオレは倒せないぜコラ!」

歯噛みする2人に、腕の中から降りたツナはにっこり朝のご挨拶をします。

「おはよう!たけし君とはやと君!」

「ツナ、おはような!」

真っ先にほっぺにご挨拶をしたのはやまもとたけし君。年中さんの中でも上背があるスポーツ万能少年です。
たけし君が好きなツナは、お返しにちゅっと。

「あああぁ!?さわださん!そんなヤツにしてやることはないですよ!」

横で騒いでいるのはごくでらはやと君。イタリアと日本のハーフの男の子で、銀髪と緑の瞳が綺麗な男の子です。

「??はやと君も、おはよー!」

はやと君にもご挨拶。すると顔を真っ赤にしたはやと君が、ツナの口目掛けてご挨拶を…

「いい度胸だな?獄寺。…ツナにキスしようなんざ、100年早ぇぞ。」

がしり、とはやと君の頭を鷲掴みする手が。
ツナが見上げれば、いつも真っ黒いスーツ姿の園長先生が、額に血管を浮かべながら笑っていました。
いえ、笑っているように見えるのは口許だけで、目はそれだけで人が殺せそうなほどです。

それに気付くことなく、園長先生にもご挨拶をするツナ。

「リボーンせんせい、おはよーございます!」

「おう、おはようだぞ。」

ほっぺにちゅっとしようとしたのですが、勢い余って口にしてしまったみたい。

「あれ?」

首を傾げるツナに、ニヤリと笑う園長先生。
それもその筈。園長先生はわざと口にして貰うように動いたからです。

それを見ていたコロネロ先生とたけし君とはやと君は、青くなるやら赤くなるやらもう大変。
園長先生の胸倉を掴むと、締め上げようと腕を伸ばすコロネロ先生。
一生懸命、ツナの口をハンカチで拭いているはやと君とたけし君。

「てめぇ…!犯罪だろうがっ!?」

「別にいいよな?ツナ。」

「?…うん。いつもおうちではしてるよ。」

「…殺す。」

とうとうコロネロ先生がきれちゃったみたい。
ツナとたけし君とはやと君も、そそくさと椅子を持って園庭へ逃げていきました。

今日は運動会の日なのです。
園庭は可愛く各国の国旗が飾りつけられていたり、小さい玉入れが出ていたり。
ミニサイズの可愛い道具たちや、園児たちの持つポンポンなど色々あります。

さて、今日はどんな一日になるのでしょうね?



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