にへらっと笑っててみるが、やはり誤魔化されてはくれない。雲雀さんはリボーンたちとの戦いを楽しみにしているようだけど、今のところは静観していた。 そこにXANXUSさんがやってきた。 強い人と戦うことが生きるすべてだといえる雲雀さんだ、XANXUSさんとの勝負をと言い出すのかと思いきや、バックグランドを突いてきた。 何をしたいんだろう、雲雀さんは。 「君の両横にいる爆弾小僧と野球馬鹿は、その従兄弟とやらと関係があるのかい?」 「ありません。彼らはオレの友達です。」 これは本当だ。獄寺くんは右腕に!と息巻いているが、オレは継ぐ気がないのだしそれは獄寺くんにも伝えてある。山本は危ないところを助けて助けられたことから友達になった。 馬が合うというか、似たような頭だったというか…そんな感じだ。 「そう、それじゃ質問を変えようか。君のナイトになっている5人組についてだ。」 底冷えのする笑みを浮かべている。まるで襲い掛かる前の獣のようだ。 「あの子たちの小学校から調査してね、彼らもまた大きなマフィアとの繋がりを確認したんだ。君は知っていたかい?」 「…答えられません。」 「ふうん…答えられないのが答えなんだね。彼らの持つ武器はどうやって運ばれたか分かるかい?」 また質問を変えた。ツナには意図が読めなくて表情が崩れる。 雲雀はそれで充分だった。 「…エアガンならそこらで売っていますよ。」 「馬鹿かい。あれは本物だよ。組事務所を襲ったときに色々押収してきたからね。」 「雲雀さんそれ犯罪です!」 「なら君のナイトたちも犯罪者だ。」 ! 恐怖の独裁者だということも忘れ、睨み付ける。 雲雀は余裕の表情でそれを往なすとおもむろに獄寺に視線を向ける。 「番犬、君のダイナマイトも同じだよ。ついでに野球馬鹿は真剣持ってるだろう?」 獄寺は平然と、山本はニカっと笑った。 「あれーばれてたのな?」 「山本!」 綱吉の顔がとうとう泣きそうになった。 「やっぱり君関係で、物騒な得物を持ってるんだね。ちなみに極限ボクサーはあっさり認めたよ。」 「お兄さん〜!」 お日様のような笑顔で「極限!すまん!」と脳裏に浮かんだ。…まぁ、彼に言い訳をさせるなんてムリだとは思っていたのだが。 「君といると面白そうだね。噛み殺す相手に不足しなそうだ。」 嫌な予感がしていた。そう、朝からずっと。そしてそれはコレだったんじゃないのかと気付いたのは入室後だった。ああ、逃げ出せばよかった。 「僕も守護者とやらになってあげる。」 「いりません!」 やっぱりっ!!何勝手になろうとしてるんですか?! 「オレはドンにはならないので守護者は必要ありません。」 「でも居るんでしょ。笹川、獄寺、山本、居候だったランボとかいう子供。」 「ランボを知ってるんですか?」 「僕を誰だと思っているんだい。で、いいね?」 よくない、よくないのだが否といったら噛み殺されることは間違いない。 それにダメだと言っても、どの道自ら渦中に足を踏み入れてくれる。目に浮かぶようだ。 「いいこと無いですよ?イタリアンマフィアやら日本のやくざ、チャイニーズマフィアにまで狙われるんです。」 「わお。楽しそうだ。」 非常に楽しそうな笑顔の押し掛け守護者を手に入れた。 ********* 雲雀さんから開放されると、すでに日は半分ほど落ちていた。 綺麗な夕焼けだが、全然心に響かない。むしろ日に日にいやな方向に進んでいるので目に痛いほどだ。 校舎を出るとやっぱり5人組が待ち構えていた。 何気に3人の目つきが悪い。あ、コロネロは元々だ。 「コラ!てめー何リボーンなんかにキ…フガ」 何を云わんか察しが付いたので、慌ててコロネロの口を塞ぐ。 全力で忘れてたのに、何思い出させてくれちゃってんだ! コロネロを押さえつけていると、今度はラル・ミルチが襲い掛かってきた。 「オレの方が綺麗だろうに!その淫乱男のどこがいいんだ!!」 「ハン。てめぇら見苦しいぞ。オレ様の美貌がツナの心を射止めただけだ。」 「ぜんっっぜん射止められてねぇ!お前みたいなサドっ気のある男はいやだよ…じゃなかった、男は趣味じゃありません!」 何ひとの腰に手を回してんだ! コロネロを離してリボーンを引き剥がすと上から手が伸びて引き寄せられた。 「モテモテだな、ツナ。」 今この状況で抱き寄せる意図が分からないよ、山本。 今度は獄寺くんが懐を探りだす。ダイナマイトは使用禁止だってば! 慌てて止めに入るとスカルが寄ってきた。 「アンタが選べば済むことだ。ちなみにリボーン先輩を選ぶとイタリアへ速攻でお持ち帰りされるぞ。ヴァリアーのボスも同じだ。マーモンもヴァリアーだから従うだろう。コロネロ先輩だとマフィアランドだ。ラル・ミルチかオレがお得だ。」 「説明ありがとう、スカル。でもオレ何度も言ってるけど、ショタコンでもロリコンでも、ホモでもないんだっ!誰も選ばねぇ!!」 オレのアイドルは京子ちゃんだ! リボーンが鼻を鳴らす。 「パシリ、いい度胸じゃねぇか。てめぇだと敵対ファミリーだから、2重にオイシイよな?」 おい!それってスカルと一緒だと軟禁されちゃうんじゃない?!騙そうとしたな〜! ニッと笑うスカル。すかさずラル・ミルチがライフルで退けてくれた。リボーンや山本共々。 「だがツナ、スカルの言うこともあながち間違いではない。お前の本当の味方はオレだけだ!」 「…すごくありがたい筈なんだけど、身の危険も同じくらい感じるんだよね。」 「安心しろ!オレが育ってからにしてやる。」 「それ安心できないよね?!」 女の人相手に貞操の危機って悲し過ぎるっ。 「それなら僕はどうだい?」 「リボーンとXANXUSさんの様子からお前も怪しいと踏んだ。」 マーモンが前から張り付いてきたが、今日はお断りだ。 「…そう言えば、今日5人ともうちに来る?母さんがお前らのこと話たら会いたいって行ってたんだけど、夕飯食べにくるか?」 「「「「「行く!」」」」」 「山本と獄寺くんもどう?」 「行きます!」 「行くぜ!ツナのおばさんのメシ美味いもんな!」 今日の夕食も大人数だ。楽しくなりそうだけど、ワインは絶対飲まないようにしなきゃ! 「飲んだ拍子に本音が出ただけだろ、そんなに怖がんなよ。なぁツナ?」 「うひゃあ!お前いつの間に??!」 気が付けば、リボーンに後ろから抱きつかれていた。腰に手ぇ回すなって! またまたライフルだのナイフだのダイナマイトだのが乱れ飛ぶ中を家路に着く羽目になった。 オレの愛する平和はどこにいったのかな…。 . |