翌日の25日は幼稚園も小学校も冬休みだから、普段なら起こしにいかなければ綱吉はいつまでもゴロゴロしているタイプだ。 けれど枕元に置かれたプレゼントを見付ければいかな綱吉とて起きてくる筈だと、奈々は7時を少し過ぎた時計を見上げて8人分の朝食を用意していた。 「そう言えばあのお布団で8人入れたのかしら…」 昨晩の可愛いサンタさんたちの人数を確認した訳ではないけれど、多分奈々の予想と違わないだろうと思っていた。それにしても大丈夫だったかしらと今更のことを考えていれば、綱吉の悲鳴らしき声が聞こえてきて次に階段を転がり落ちたような音がそれに続いた。 「おか…おかあさん!!」 「あら、おはよう」 起きたばかりといった様子の綱吉は、別の生き物のように四方八方に跳ねる髪の毛のまま大きな瞳をまん丸にしてキッチンに飛び込んできた。 その後ろからはやはり赤ん坊以外の7人のお隣さんたちが現れて同じように挨拶をした。 きちんと身支度を整え終えている長女のルーチェや次女のラル、それから次男だというリボーンと三男の風などは我が家だといわんばかりの顔で用意されてた席に着くと手を合わせている。 それを見て、長男のヴェルデが物珍しげにキッチンを見渡していたり、四男のコロネロはまだ寝惚けているらしい五男のスカルの首根っこを掴むと席に着くようにと促していた。その少々手荒な四男の蹴りを視界の端に入れつつ、まだ呆然としている綱吉へと顔を向ける。 「どうかしたの?」 「だって、サンタさんが2つもおねがいをきいてくれたんだよ!ボクのせいでプレゼントもらえなかったこ、いないかな?」 どうやらちびサンタさんたちのお陰で、奈々の用意したプレゼントを貰いすぎだと思っているようだ。そんな綱吉の焦る声に、しっかりと綱吉の隣を陣取っているリボーンが口を挟む。 「大丈夫だぞ。お前ともっと仲良くなりたかったオレたちのお願いが叶っただけだ。お前のプレゼントは靴下に入っていたヤツだろう」 「…でも、だって、ボクもみんなとともだちになりたいっておねがいしたよ?」 自分のお願いは聞き入れて貰えなかったのかと、今度はしょぼんと顔を俯けると、もう片方の綱吉の席の隣に座るコロネロが綱吉の手を引いた。 「友だちになるのにサンタの力なんかいらねーけどな!」 ニカリと笑うコロネロの顔にやっと綱吉が納得して笑顔になる。 「うん!つぎはボクがとまりにいくね!」 綱吉の返事に7人姉弟が食いついたのはいうまでもない。 おわり |