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[> 花人形とたなごころ1




あらあらこんにちは、ワタクシ花人形と申しますわ。
ええ、ええ、そうです。名の通り人形ですのよワタクシ。残念な事に死んでしまいましたが。
まあそのお陰と言えば皮肉になりますが今は自由に動けますしね。

あらやだ、人形も死ぬのかですって? 酷い事をおっしゃるのね。
人形だって生きているのです。動けないだけで。

……ええ、心も感覚もございますわ。記憶も思考もありますの。
そのあたりはタマシイの問題ですがね。
人がそれだけの感情を込めてくださればそれだけワタクシ達は生き長らえますのよ。
逆に謂うと人の心が、感情がなければ死に絶えてしまいますわ。

……やだ、同情なんてやめて下さいな。まして、可哀相だなんて。
確かにワタクシ達は人の都合で生まれ人の都合で死にますけれどそんな憐れまれては本当にワタクシ達が憐れになりますわ。

そんな、謝らないでください。お優しいのね、貴方。
きっとワタクシの持ち主も貴方のような方だったのでしょうね。思い出したら懐かしくなってきましたわ。あの掌が。

……やめましょうか? こんな話。湿っぽくなるだけですものね。

聞いて下さると? 本当に貴方は優しいのね。ありがとうございますわ。じゃあ、少しばかり長いですけど聞いて下さいな。ワタクシの一生と一人の殿方のお話。
走馬灯を。
(そこで彼女は赤色の瞳を伏せ、数瞬の内にまた開いた。
その一瞬の間は何か重要な意味を持っているように私は感じた。)




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