[> 喰ふ[鳳→左] |
※キスしてます注意 案の定捏造注意 壊して仕舞いたい 殺して終いたい 「七人」 「は、」 「今日うちの手の者は七人殺られた」 「そうか、実は我の所もだ」 「それは奇遇だ。うちの手の者は相打ちだったんだと」 「そうか、実は我の所もだ」 「奇遇だな」 「……嗚呼、奇遇だ」 何処かで閑古鳥が鳴いた。 生い茂った木立の内、ずば抜けて高い木の枝に二つの人影。 一人は寝そべり、一人はその太い幹に背をもたせ掛けて。二人ともまるで似合わない団子を頬張っている。 「なぁ、何故お互いの里の者同士が殺し合うのだ」 寝そべった方が問う。 「商売敵で敵同士だからだ」 座った方がそう答えると、相手は入れ墨の入った金眼を細めた。 「なら我らは何だ、何同士だ」 「友達同士だ」 「なのに敵同士」 「そうだ」 白昼夢の空言の様な戯言にも赤い髪の男は丁寧に答える。 恐らく性分なのだろう。その生真面目そうな面構えが歪む。 銀を黒で覆った。 「されどそれも此処でのみ。戦場では敵同士」 「お互い躊躇も秩序もなく?」 「ああ、殺し合う。では、そろそろ帰ろうか――――鳳凰」 「……そうだな、」 鳳凰と呼ばれた男の返事を聞いて、呼ばれなかった方の男は少しだけ、寂しそうに笑った。 そうだ、友達同士だ。 友だ。友なのだ。 あいつは狡い。知らないから狡い。 我の気持ちを知らないから取り返しの付く位置に立つのだ。 そう、取り返し。 取り返しが付くことが大事なのだ。 これ以上は駄目だ。 これ以上は殺せない。 殺せなくなる。 (我とあいつは?) ――――友達同士。 そう、呟いた。 その関係も危うい事も知らずに。 「あたしは反対だよ!」 真庭狂犬は唸る様に言った。 その瞳には明らかな怒りが混じっている。 「そんなのあたしの仲間に、」 血を吐く様に叫ぶ狂犬はそこで一旦言葉を止めて、真庭忍軍の頭領と真庭蝙蝠を交互に見る。 「――――鳳凰ちゃんに死ねと言うようなもんじゃないか!」 激昂する狂犬をちらり見て、蝙蝠は嘆息した。 「そう言ってるんじゃねえか、解れよ。里の為だ。忍ってのはそう言うもんだ」 「でもっ、」 蝙蝠の最もな言い分に、それでも食い下がろうと狂犬が口を開いたときだった。 「我が、どうしたのだ?」 背後から不意に声が掛かった。 その声にその場にいた皆が振り向き、狂犬は「嗚呼」と呟き泣き崩れた。 そこには真庭鳳凰が立っていた。 友で敵。 敵で友。 そんな矛盾しか孕めないのなら。 そんな矛盾で終れと皆が言うなら。 いっそ壊してしまおうか。 友がいつもと違う雰囲気を纏っていることなど、男は直ぐに気付いた。 いつもは飄々としている癖に今日に限って真剣な雰囲気を纏っている。 どことなく声を掛け辛く、彼は躊躇した。 「なぁ、我らは何だ、何同士だ」 相手の第一声は何時かの質問だった。 「何って…」 「友達同士で、敵同士か」 「そうだ、」 「そうか、では我はそれを半分裏切ろう」 それだけ言った鳳凰は速かった。 本能で身を引こうとしても間に合わないくらい、速かった。 先ずは手首を、次に相手の後頭部を押さえ付ける。 そして、手首は木の幹に。 後頭部はそのままに。 「鳳凰――っん!」 何をされるかを察知した男は口を開こうとしたが間に合わず。 その唇に唇が重なった。 舌が侵入してくる、押し倒される、歯と歯が打ち鳴って、お互い少し顔を歪めた。数秒の攻防で既にお互いに息が荒い。 「嗚呼、噛み切ってやりたいな」 少しだけ口を離して譫言の様に鳳凰は言う。 男は酸素を求めて噎せる。 「唇も、耳も、全て」 男の目元に舌が這う。 「鳳凰、何故――」 「何故? 狡いからだ、神も里も因縁も何もかもが狡い」 そんな事を笑顔で言いながら、友の声は微かに震えていた。 「それでも我にはお前が一番狡いよ」 嗚呼、嗚呼。 「なぁ、敵(かたき)よ。 壊して仕舞って良いか? 殺して終っても良いか?」 関係を、お前を。 「終いにして仕舞おうと思うのだ」 そう言って鳳凰は男の唇に噛み付いた。 酸素が足りなかったからか、何故かは知らない。 唯、訳も解らず組み敷かれた男の眼から一筋だけ涙が零れて腐葉土に消えた。 終 俺、死ねば良いんじゃないか あぁあ…ごめんなさいな事に…… 有り難いお言葉を頂戴しておきながらこの結果 \(^o^)/ いろいろと描写を削ったから大変解り辛い…… よし、明日朝一で言い訳しようそうしよう とにもかくにも此処まで大変有り難うございました! :)H22.09.14 迅明 :)To.弧丸様 弧丸様はお持ち帰り自由です! Novel Top |