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[> ヒ素毒日常。




  がふっと不自然な音を立てて吐き出された血には緑色の液体が混じっていた。
化学反応か何かを起こした結果だろう。詰まるところ自分は毒を盛られた訳である。
  そしてこんな事をする人間はこの屋敷には一人だ。
「あら、おはようニーチェ。今日も死ねなかったのね、可哀想に」
  純白のドレスに身を包み、彼女は言う。
きっとその頭の中は次はどう僕を殺すかと言う事しか考えていないのだろう。
  真っ黒に塗り上げた爪を見せつけながら彼女は言う。
「私も今日は死ねていないわ、早く私を殺さなくちゃ貴方が死ぬわよ?」
  きっと彼女の爪から黒を剥がすと白い年輪状の筋があるのだろう。ぼんやりそんなことを考える。
「姉さん、僕らはいつまでこんなことを続けなければならないのですか」
「馬鹿ね、どちらかが死ぬ迄よ。貴方は死にたくないんでしょう?私は死にたいの。だから早く私を殺さなくちゃいくら不死身とはいえ何時死ぬかはわからないわよ」
  だって、私たちが不死身だと言う保証なんて何処にもないもの。
だから、と姉さんは続ける。
「私は貴方を殺そうとするわ。だから貴方は死にたくなければ私を殺そうとしなさい」

  全く、お互い不幸な身の上よね。
そう呟いて彼女はクスリと笑った。
  ドレスの裾からちらりと見えた裸足の爪先には白い年輪状の筋が幾重にも入っている。

  きっと、ぼくと彼女は今日も明日も明後日も毒の盛り合いをするのだ。
されどそれも子供の遊戯の一貫と思ってしまえばそんな幸せな事はなかった。





姉弟で殺し合うと言う話は最近よくあふれているなーって思います
大抵お姉さんの方が死にたがってたりする印象があって、ヒ素中毒になると爪に白い年輪状の線が出来るとかそういった無駄知識が重なってこりこり書きました
うーん、まともなモノを書かなきゃねいい加減


:)迅明



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