[> 痛い[鳳左] |
痛い痛い、 痛い痛い。 (何処が痛いの?) ――― 嗚呼、月が綺麗だ。 等と思っても無いことをそいつは口にした。 痛い、痛い。 肺が軋む、臓が唸る。 痛い、痛いと。 私を殴った手をだらりと下げて、血糊の付いた面を上げて。 真庭鳳凰はへらりと月光を受けて笑った。 逆光でその表情の深くまでは読めないが、いつものようにあいつは笑っていたのだ。 「馬鹿が……己を殺す気か鳳凰……!」 ひゅーひゅーと鳴る息を吐くと、鳳凰は何を、と言った。 「まさか、死ぬのはお前だけだ」 「私の人格を乗っ取ると言う事はそういう事だ……魂と躯は残ってもその心は消えるのだ。それでいいのか。いいのか鳳凰、お前は――」 がふっ、と逆流した血液が私の言葉の邪魔をした。 どく、どく、どくとやたらと心臓の音だけが五月蝿く鳴る。 痛い、痛い。痛い、痛い。 「そうか、私は死ぬのか……」 痛い痛い。 細い目が月からこちらに視線を移す。 その目は三日月より細い。 「鳳お…」 痛い痛い痛い。 ゆらりと変な笑顔を浮かべた顔が、何かの色に染まった。 ゆるりと、鳳凰は口を開く。 「ならば一緒に心だけ死のうか」 痛い、痛い。 痛い、痛い。 何処が痛い? 心が――いたい。 (その笑顔は果たして何の色だったか――心の死んだ私にはもうわからないけれど) (それでもその表情を愛しいと思ってしまった私は変なのだろう) 終 ――― 過去の突発を携帯の容量惜しさに上げてみる(最低) 書き方ちょっと変わったなぁ、などと実感 ちょっと乙女思考(?)な鳳凰様と必死な左右田 性格変わってるなら、精神しか殺さなかった理由を捏造してもいいかなぁっと(良くないと思う) 言葉遣い違う…気が… :)迅明 Novel Top |