[> 馬鹿な奴ら |
百万の大好き。 *** 「やほー、なっちん」 「こんにちはミクロちゃん」 今日は、ミクロちゃんと春夢さんが雅成さんの家に泊まる日です。 私とミクロちゃんは私のお部屋で一緒に遊んで、雅成さんと春夢さんは徹夜でお勉強だそうです。 別に雅成さんはお勉強する必要はないらしいのですが、春夢さんにはあって、それは雅成さんにも責任が有るところだそうで。 ……難しい事は私良く解らないのですけれど。 「じゃあ、ミクロちゃん私の部屋に行きましょう」 「ん。ああそうだ。春夢!」 ミクロちゃんに呼ばれて春夢さんはにっこり笑いました。 「なに、ミクロ」 「勉強、頑張ってな」 にっ、と明るく笑って、ミクロちゃんは春夢さんの頭を軽く叩きました。 ラブラブです。 「ミクロ、」 「んぁ? 何だ?」 「ありがとう」 言って、春夢さんはミクロちゃんの頬っぺたに顔を近付けて。 ちゅっ、と軽い音がした途端、ミクロちゃんは真っ赤になってしまいました。 雅成さんにも同じ事をしたら同じように真っ赤になるのでしょうか。 ……やってみようかな、思うと同時に私の手はミクロちゃんに引っ張られました。 ミクロちゃん、凄い馬鹿力です。 私は“なすがまま”とか言う状態のまま、部屋までズルズルと引っ張られて行きました。 「―――春夢の阿呆っ!万年色ボケ野郎っ!!」 泣きながらそう叫ぶミクロちゃんを見て、取り敢えず、私の最初の仕事はミクロちゃんを落ち着かせる事なんだろうな、と思いました。 お顔を真っ赤に染めて、春夢さんを罵倒し続けるミクロちゃん。 まだまだ知識の足りない私は一生懸命考えて言いました。 「ラブラブですね」 「ラブラブ違うっ!春夢なんか死んじゃえ!」 あれ? 掛ける言葉、間違えた? *** 「おい、色ボケ」 「誰が色ボケじゃ阿呆眼鏡」 「うるせぇよ、ボケ。単位間違ってんぞ」 「え、マジマジ? どっから?」 「此処だ」 雅成の自室で行われる勉強会。 夏との約束を果たす為、完璧に内容を頭に叩き込んだ雅成は偉そうに頬杖をついている。 一方の春夢は姿勢こそ正しいものの、その顔は誰の目にも解るほどにやけていた。 そんな春夢を見て、雅成はため息をつく。 「お前さぁ、人の家でいちゃつくの止めてくれよ」 「何で」 「何でも。特に夏の前では絶対禁止だ」 くるりと雅成の手のシャープペンシルが回った。 「何で」 「何でもだっつーの、阿呆め」 キッと睨むような目付きの雅成を見て、春夢は溜息をつく。 「お前さ。その毒吐く癖も、人を睨む癖もどうにかなんねぇの?」 「これが不思議と夏の前だとどうにかなる」 「…………お前も色ボケじゃねぇか」 「なんとでも言え。おい、此処間違ってるぞボケが」 「性格悪ーい、豹変し過ぎ」 「五月蝿いっつーの」 ふんっ、とそっぽを向いて自分の課題に取り掛かる雅成を見ながら、春夢はひとり考える。 (毒吐く癖も、睨む癖も最近マシだもんな……夏ちゃんの前ではいちゃつくなってのも、まだまだ完全じゃない夏ちゃんへの影響を考慮して……か?) 「昔は他人を思いやる事なんてしなかったのにな」 「は?」 「お前の話、昔は他人を思いやるなんてしなかっただろ? だから人間関係も恋人関係も上手くいってなかったじゃん」 「…………夏のおかげ、だよ。それを言えばお前だって浮気性治ってるだろ」 くるくるとシャープペンシルを回しながら、雅成は言う。 「ミクロ以外がもう恋愛対象に見えなくって」 「……お前は阿呆だ」 「いや、お前もなかなかだぞ」 「お前のが」 「いいや、お前の方が」 お前だ、お前だと言い争う二人。 ……傍目から見ればどちらも阿呆な事にお互い気付いていないらしかった。 二人とも対応は違えど馬鹿だと言うお話 雅成、昔は荒れてた設定出せたよ……! そして春夢はろくでなし男でした 今はミクロとだけラブラブだそうですが← 次はミクロと夏のターン! H22.09.25 :)迅明 Novel Top |