花京院くんにバレンタインチョコを渡すぞ!と意気込んで臨んだデパートのバレンタイン特設催事場。
花京院くんの好きそうなチョコに目星はついてるからササッと買っちゃうぞ!

が、そこに。

「か、花京院くん?!」

「! 相羽さん・・・」

花京院くんが入り口で立ち尽くしていました。どゆこと?!

「どうしたの?こんなところで・・・」

「いや、折り込みチラシに美味しそうなチョコレートがあったから買いに来てみたら・・・ものの見事に女性ばかりで入りにくくてね・・・」

「あーバレンタインの特設場だからねー」

なるほど、花京院くんもチョコを買いに来たと。バレンタインコーナーって、チョコ好きな男の人にもきっと堪らなく楽しい場所だよね。女の人ばっかりで入りにくいのがネックだけど。

でもこれってチャンスじゃない?!

「花京院くん!入りにくいなら一緒に入ろう!隣に女の人がいたらきっと不自然に思われないだろうし!」

「え、いいのかい?」

「大丈夫だ、問題ない!もー花京院くんたら遠慮しないでよ!一緒にゾンビ撃ちまくった仲でしょー?」(@ゲーセン)

「そうだね、君の援護は完璧だったよ」

「君の背中を守るのが私の役目だからね!」

「何だいそれ」

ふふ、と上品に笑う花京院くんに内心ガッツポーズを決める。よし!このまま一緒に入って花京院くんのお目当てのチョコを教えてもらって「バレンタインだし私にプレゼントさせて!」ってスマートに決めれば完璧じゃない?!私ってば天才ね!


その後は2人で色々見て回った。お互い同じ物を見て、感想を言い合って、変わったチョコレートに驚いたり、ここのブランド美味しいよね、とかお勧めし合ったりして。うわあ何かカップルっぽいぞ・・・!役得だなぁ私!ニヤける口元を叱咤しつつ次のコーナーに移動した時。

「「あ」」

あるひとつのチョコレートを目にした途端、見事に声が重なった。

「花京院くんのお目当のチョコってこれでしょ!」

「あぁ、そうだけど・・・何でわかったんだい?」

「わかるよ!さくらんぼ入ってて花京院くんが好きそうだと思ってたもん!」

実は私、最初からこれを買って花京院くんに渡そうと思ってました!さくらんぼ入ってるし、絶対好きだと踏んでたからね!
やっぱり思い違いじゃなかった!私の花京院くん観察眼もなめたものじゃないなぁ!そうと決まれば。

私は花京院くんよりも先にその商品に手を伸ばした。

「花京院くん、バレンタインだし私にプレゼントさせてよ!」

「えっ、それは悪いよ!たまたま会った君に申し訳が・・・」

「もー!だから遠慮しないでよ!一緒に太鼓の名人でフルコンボ競った仲じゃない!あとあの時立て替えてもらった200円まだ返してなかったゴメン!」(@ゲーセン)

「200円くらい気にしないでくれ。財布に小銭ばかりで重かったんだ」

「じゃあ私も!財布にお金ばっかり入ってて重いからこれは私に買わせて!」

「ふはっ!なんだいそれ、羨ましいな!」

今度は吹き出した様に笑った。私が花京院くんを構い倒したくなるのは、花京院くんのこの年齢相応な笑顔が可愛くて、たくさん笑ってほしいからだったりする。


買ったチョコレートはその場ですぐ花京院くんに手渡した。

「ありがとう。お返しはホワイトデーで構わないかな?」

「気にしないで!お返しが欲しくて渡したんじゃないからさ」

本当に気を使わないでほしい。良い思いをしたのはむしろ私の方だ。それでも、律儀な花京院くんは納得いかないらしい。

「でも・・・そうだ、相羽さんもチョコレートを買いにここへ来たんじゃないか?相羽さんのお目当のチョコレートは僕が購入して渡そう。もっとも、好きな人に渡すものなら話は別だが」

その言葉にハッとして、慌てて口を開いた。

「本当に大丈夫!私の目的はちゃんと達成できたもん!もともと花京院くんのためにチョコを買いに来たんだし、むしろ花京院くんがいてくれてラッキーだったよ!だから気を使わないで!」

ね!と花京院くんに向き直ると、花京院くんは呆然として動きが止まっていた。・・・ん?

「どしたの?」

「え、だって今、」

「うん」

「聞き間違いじゃなければ」

「うんうん」

「僕のためと言ったかい?」

「え?」

今度は私がフリーズした。え、私勢いに任せてなんて言った?

「・・・言った?」

「僕のためにチョコを買いに来たと・・・聞き間違いじゃないのなら・・・」

花京院くんの言葉を受け、私は自分の言った内容を振り返る。気を使ってほしくなくて、他に好きな人なんていないんだよって思って、慌てて言った言葉を思い出す。そして顔に熱が溜まる。


ーーー何口走ってんだ私はァアアアアア!!!


「花京院くん!!今のナシ!忘れて!消して!リライトして!!」

「リライト?!」

あああダメだ!上手く誤魔化せる自信がない!!

「ああああの、その、

ご、

ごめんなさあああああああい!!!」

「相羽さん!?」

驚く花京院くんを置いて、私は全力で逃げ出したのでした。


ハッピー
ハプニング
バレンタイン!



私のバカ!バカバカ!!









*****
おまけ。

後日、某高校にて。


花京院「ーーーという事があったんだがどう思う?承太郎ッ!君の意見を聞こうッ!」

承太郎「うっとおしいぜ」



ーーー
20150210




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -