シーザーに壁ドンされました。
いや、壁ドンというか壁際に誘導されて自然な動きで左右の退路を絶たれたとでも言うのか・・・さすがスケコマシ、壁ドンもスマートだ。
「あぁ、怖がらないで。愛しい人」
私が警戒心剥き出しで見上げた先には、甘ったるい視線を降らせてくる硝子玉の様な緑色の瞳がある。口元には絶えず笑みが浮かんでいる。
「地上に降りてきた君という天使を、今だけは他の誰の目にも晒したくない。俺だけの君にしてしまいたいんだ」
『天使って・・・』
私のツッコミが終わるや否や、私の髪を一房手に取り口づけを落とす。一気に距離が縮まった。
わぁ、手慣れてる感ハンパない。口がヒクつくのが抑えられない。
「このシルクの様な髪も」
「陶器の様な肌も」
「強気に光る濡れた瞳も」
髪から頬を伝い、シーザーの手がするすると下りてくる。
「今だけは俺が独り占めさ」
指先が下顎を撫でると同時、頬に軽く口づけられた。う、うわぁあああ!!さすがスケコマシ!さすがスケコマシ!大事なことなので2回言いました!!
と、意識を全力で逸らそうとしていたのがいけなかった。指先で唇をふに、と押される感覚に、逸らしたはずの意識が全速力で戻ってきた。
「愛しい俺の君、一瞬でも俺の腕に囚われた証をくれないか?」
あ、これアレだ。ちゅーするヤツだ。そう思ってすぐさまシーザーの、唇に触れている手を掴みもう片方の手で厚い胸板を押し返した。
『って待って待って!人が黙ってるからっていけしゃあしゃあと!!』
「おや、君の同意だと受け取っていたんだが・・・」
『んなワケあるかっ!そろそろ離そうね?!』
「フッ、どんなに君のお願いでも、ようやく捕まえた天使をみすみす天へ帰してしまうほど俺も寛容じゃあない。もちろん、君限定でね」
『素敵に言ってるつもりでしょうが、要は私に優しくないって訳ね!』
「愛は人を狂わせる・・・それを俺に教えたのは君だぜ、シヨリ」
『全く記憶にございません!!』
そうこうしている間に、顎下にあったシーザーの指先にグッと上を向かされる。胸を押し返した片手も、シーザーのもう片方の手に絡め取られ壁に縫い付けられた。し、しまった・・・!
「この薔薇の花びらの様にみずみずしい、愛らしい唇に俺がどれだけ触れたかったかわかるかい?」
シーザーの吐息が唇にかかる。え、嘘でしょ、ちょっ・・・!
「さぁ。もう観念してくれ、愛しい人」
あまりの近さに耐え切れず、ギュッと目を瞑った私の唇は、そのままシーザーに奪われ・・・
る事はなく、左右を塞がれた私は何と下からピンチを脱したのだった。
というか、立っていられなくてその場にストンと座り込んで事無きを得たんだけどね!
シーザーで壁ドン!
壁ドンしてからが勝負のスケコマシ
ーーー
20150207