小ネタより。かや様のリクエスト。
「貴女がリップクリームと間違えてスティックのりを塗ろうとしている時のシーザー(スケコマさないver)」





大学の空き教室でシーザーと一緒に課題をするのは恒例になってきた。今日もシーザーと一緒にレポート作りに勤しんでいる。過去の新聞記事を切り貼りして資料を作る作業がかれこれ2時間近く続き、そろそろ休憩にしようとシーザーに呼びかけ、一度大きく伸びをした。あくびをする時、大きく開いた口を見られたくないので口元を手で押さえた際、掌を擦ったかさついた感触に、唇が乾燥していたことに気付く。

これではいけないと、私はリップクリームを手に取り蓋を開け、いざ唇に押し当てようとした時。なぜか酷く慌てたシーザーがガタン!と座っていた椅子を倒しこちらにやってきてリップを持っている私の手を掴んだと思えば、突然唇にキスしてきた!


「?!」


展開についていけない私はされるがまま動けずにいる。ななな何で慌ててこっちに来ていきなりキス?!唇が離された私はさぞ間抜け顔をしてシーザーを見上げていただろう。そんな私を見て、


「なにやってんだこのスカタン!どこ接着する気だ!!」


と掴んだ私の手を目の前に持ってきてみせる。視界に入るのはリップクリームを持つ私の手を掴むシーザーの手・・・って、あああああ!!!


「うわリップじゃなくてスティックのりだこれ!あっぶな!!」

「こっちの台詞だ!資料作成に没頭し過ぎて頭やられたか?!」

「そ、そうかも・・・!」

「ったく、しっかりしやがれ」


くしゃくしゃと私の頭を撫でるシーザーは「でもまぁ、」と続け。


「そんなにスティックのり塗りたきゃあ止めねーよ」

「いや塗らないよ・・・」

「塗った後はまたすぐキスしてやる」

「へ」

「俺のここと接着してやるよ」


自分の唇を指でなぞりながら、シーザーが目を細めて笑う。それがとても色っぽく見えて、思わず顔を逸らした。


「塗りません!」

「なんだ残念だな」

「ちゃんとリップ塗ります!えーとリップリップ・・・あ、あった!」


今度は自分のポーチから本物のリップクリームを見つけた。蓋を開け、今度こそ塗ろうとした時。


「待った」

「え」


シーザーにリップを取り上げられてしまった。


「なんで!今度はちゃんとリップクリームだよ?!」

「俺が塗ってやるからちょっと貸してみろ」

「え?!いいよいいよ自分で塗れる!!」

「黙って塗らせろ」

「う〜・・・!」

「口、少し開けな」


唇にリップを当てられ、観念して大人しくする。すぐ目の前にあるシーザーの顔と唇に触れそうな指先に、恥ずかしくて目を閉じてやり過ごすことにした。目を瞑ると、視覚が閉ざされた分他の感覚が冴え、シーザーの息づかいがすぐそこに聞こえる。ギリギリ触れていないのに、シーザーの指先の体温を感じる。目を閉じていても視線を感じるし、そして何より、唇を横にゆっくりと滑るリップクリームの感触。少し動くだけでくすぐったくて、ピクリと反応してしまう。

やっぱりすごく恥ずかしい!!早く終わって・・・!

顔に熱が上り赤みに変わったんじゃ、と思う頃。


「よし、できた」


という言葉とともにリップクリームが離れる感触がしたので目を開けお礼を言おうとするも。気付くとまたしてもシーザーにキスされていて。


「んんっ?!」


離れないように後頭部を押さえられ、リップクリームを塗った唇の感触を味わうように食んで、チロチロと舌で舐めてはまた食んでを繰り返される。緩んだ唇からシーザーの舌の侵入を許す頃には、


あぁ、どう転んでも接着なんだ・・・


とぼんやり思う他なかった。



接着



そういえば止める時はキスしなくて良かったんじゃ・・・と後でシーザーに言うと、「キスの回数は多いに越した事ないだろ」とさも当然の様に返され、顔に溜まった熱はしばらく冷めそうにない。



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20150420




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