小ネタより。ステラ様のリクエスト。
「貴女が他の男性に見惚れている時のシーザー(スケコマさないver)」





シーザーと買い物をしていて、次のお店に行くため表通りを並んで歩いていた。


「ーーーそれでもうほとんど溶けちまってたらしくてな。結局その日はシャワーで終わったらしいぜ」

「あははっ!洗濯の水として使う訳にもいかないしね!」


シーザーの話すジョセフと、彼の親戚であるジョナサンという人の遣り取りが面白過ぎて夢中になって聞いていると、後ろから「あの、」と声をかけられた。何だろうと振り返ってみると。


「これ、落としましたよ」


と私のバックから外れたであろうぬいぐるみマスコット(シーザーがUFOキャッチャーで頑張って取ってくれたやつ!)を差し出す男性がいて。その男性が、ものすごく私の好みドストライクなお顔だったので一瞬フリーズしてしまい。そして慌てて「すっすみません!ありがとうございます!!」と受け取ったのだが、声が上擦ってしまった。「いえ」とにこりと笑って立ち去る姿もサマになっていて、正直見惚れてしまった。

か、かっこいい・・・!

シーザーとお付き合いを始めたとはいえ、実際に付き合う人と好みのタイプとではまた違ってくるものだ。例えるなら、好きな人はできたけれど、今まで好きだった俳優や歌手は好きなままであって、みたいな。ほう、と息をついてその後ろ姿を見送っていると、突然強い力で肩を引かれ身体の向きを変えられた。と思ったら。


「?! 〜〜〜っ!!」


シーザーに唇を奪われていた。キスなんてかわいい表現ではなく、効果音をつけるとしたらガブリ、だ。唇に噛み付かれたという表現の方が正しい。驚いて離れようにも、髪に手を差し入れる形で後頭部を押さえられ、腰にも逞しい腕が回されてしまった。唯一自由のきく手でシーザーの背を叩いてみても一向に離す気はないみたいだ。油断していたら舌で唇を抉じ開けられ、シーザーの舌が私の口内で歯列をなぞり始める。

ここは人の往来が激しい表通りで。たくさん人がいる。そんな路上でこんなことしてたら間違いなく目立つ訳で・・・!見られることに血の気が引く様な、この行為に血が沸騰しちゃうような、もう頭がグチャグチャだ。それでもまだ羞恥心が勝利して、この行為をやめさせようと何度も背中を叩くけど、離す気は毛頭ないみたいで。


「〜〜〜ッ!!!」


角度を変えてより深くまで舌を進めてくる。深過ぎて声も上げられない。シーザーを叩く気力もなくなって、シーザーの服にしがみついた。


やめて、人が見てるんだってば・・・!


ざわざわと通りの喧騒が聞こえる。通りすがる人みんなが見てるんじゃないかと思ってしまい、羞恥心から身体が熱くなってくる。

長いよばか早く離して・・・!

そんな私の気を知ってか知らずか、シーザーは緩急をつけて私の舌を吸ってくる。クチュクチュという水音が繰り返され、そのうち収まりきれなくなった唾液が、口の端から顎へと伝った。

執拗に口内を掻き回してくるシーザーのざらついた舌に、段々思考が溶かされていく。喧騒が遠くなってきた。その代わり、シーザーによってもたらされる音はひどく生々しい。熱い、苦しい、恥ずかしいーーー気持ちいい。


こんなに長い時間路上で深いキスをして、たくさん人にも見られていて。恥ずかしいも何も、全部今更だ。このまま溺れてしまえ。


シーザーの服にしがみついていた手がずるりと力なく落ちる頃には、私はシーザーの舌に自分から応じていた。








ようやく唇が離され、互いの息づかいを直接感じられる距離で不機嫌に言われたのは。


「どこ見てやがるスカタン」


という、実に色気のないものだった。
なんだ、やきもちだったのか・・・




厳禁事項




長い長いキスが終わると、一気に返ってきた羞恥心にすぐ顔が上げられず。シーザーの肩に額を預け、離れていかないように広い背中に手を回した。「もうちょっと・・・このままで・・・」と言った私の言葉を都合よく解釈したらしいシーザーの機嫌は、どうやら直ったようだ。


「仰せのままに。プリンチペッサ(お姫様)」


というキザな台詞に、ますます顔が上げられなくなってしまった。








***
オマケ。

話題になっていたジョセフとジョナサンの遣り取り(一例)。


ジョナ「ジョセフ、お風呂沸いたから先に入っておいで」

ジョセ「サンキュージョナサン!あ、ちゃんとバブ入れてくれたァ?」

ジョナ「もちろんだよ、ほらこれ!」

ジョナサンが浴槽に放ったため、破られた中身のないパッケージをジョセフに見せる。が。


意外ッ!それは入れ歯洗浄剤!!


ジョナ「・・・あ!間違えた!!」

ジョセ「オーーーノーーーーーーーーー!!!!!



そして冒頭の会話に繋がる。



ーーー
20150414




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