小ネタよりリクエスト。
「部屋で一緒に観ていた映画のDVDがHシーンに突入してしまった時の花京院」
いつだったか、観に行こうと思ってはいたけど、結局観に行けなかった映画があった。その映画を観たという友達は「すっごく面白かった!すごく良かったよ!!」と興奮気味に話していたので、よし、DVDになったら絶対借りて観よう!ということを典くんに話した。そしたら後日、典くんから
『観たいって言ってたあの映画、DVDになったみたいだよ。借りて一緒に観ないかい?』
と誘われたので喜んで頷いた。ああもう私が言ってたこと覚えていてくれる典くんホント素敵!世界で一番かっこいい!!
・・・で、さっそく典くんの部屋で並んで観ていたん だ け ど。
『あ・・・んっ、・・・だめ、やめないで・・・』
え、Hシーンがあるなんて聞いてなかったよ!!
キスシーンは多少の照れくささだけで済んだけど、ベットに倒れ込んじゃってそのまま致すのは予想外だよ!!あああヒロインの上着がブラだけに・・・!え?!え?!!友達もこの映画観たって言ってたんだし、もちろんこのシーンも観たんだよね?!一言言ってよHシーンあるよってぇ!!それともこのくらいのHシーンじゃ何とも思わないってか!!やだもう大人!!いつからそんな大人に・・・!わあああどうしよう!!典くんは大丈夫かな・・・!
ちらりと隣の典くんを覗き見ると。
ぜ、全力でスクリーンから顔を逸らしていらっしゃる・・・!!
あ、しかも飲み物を飲んでる最中Hシーンに入ったのかな!コップ置くタイミングすら逃がしてそのまま手に持ってるけど・・・典くん!!まだコップにたっぷり入ったウーロン茶がすごい揺れてる!こぼれるこぼれる!!カタカタ震えてるぞ典くん!!私から見えるのは顔を向こう側に逸らした典くんの赤い耳だけだから表情までは見えないけど、これは間違いなくものすごく動揺してる!!私以上に動揺してたわ!!
おっと映画の主人公が着てる服を豪快に脱ぎ捨ててヒロインのスカートをたくり上げ始めちゃったよどうしよう!!だんだん息が荒くなってきてる画面上の2人に、典くんは・・・!
あああついに大地震でコップのウーロン茶が溢れてるよ典くん!!
震えがいつの間にか初期微動から主要動になってたんだね典くん!!ていうかウーロン茶溢れてるの気付いてないの?!結構ボタボタ音鳴ってるよ典くん!!あああどうしようこれ以上濡れたら始末が大変になっちゃう・・・!ここはもう思い切って声をかけなければ・・・!
「の、典くん」
「っ!!?」
典くんは電気でも流されたように大きく肩を跳ねさせ勢いよくバッとこちらを振り返る。その振動でまたウーロン茶がピチャリと跳ねて床を濡らす。
「ウーロン茶が・・・」
「え?!!あ、あぁ」
想像通り顔もその髪の毛に負けず劣らず真っ赤になっている典くんだけど、私が溢れたウーロン茶を指すと少しだけ冷静になったのかローテーブルにコップを置いて布巾を手に取ろうとした。
その時。
こう・・・イイトコロに触れられてしまったのか、ヒロインから一際高い喘ぎ声が上がり。
「〜〜〜飲み物取ってくるッ!!」
ついに我慢ができなくなったのか典くんは、すごい勢いで立ち上がりバタバタと部屋から出ていってしまった。典くん・・・ウーロン茶のボトルも私の飲んでるリンゴジュースのボトルもまだたっぷりあるのに、これ以上何を持ってくる気なの・・・?
喘ぎ声の響く部屋で一人残された私は、一人で続きを見る勇気もなく・・・せめて典くんが戻ってきたらHシーンが終わっているよう、リモコンで早送り操作をした。そして、床に溢れたウーロン茶を布巾で拭く。
・・・あぁでも顔真っ赤にして、あからさまに動揺するなんて典くんてば可愛いなぁ・・・!あの時典くんを押し倒さなかった自分が不思議なくらいーーーって、ハッ!!
あ、あれ?よく考えたらこれって・・・Hシーンに触発されてムラムラッときちゃった典くんが私を押し倒してもいいところなんじゃないの・・・?!
だよねだよね!?私ですら典くん押し倒したいなって思ってるんだし!いやいつも思ってるけど!!あ・・・よく考えたら典くんとお付き合いを始めてから今まで、抱きついたり手繋いだりき、キスしたりするの・・・圧倒的に私からが多いわ!!てゆーかほぼ私からだわ!!私はもう典くんかわいいと思ったらすぐ行動に出ちゃうんだけど、典くんは・・・!あっ、もしかして私・・・かわいいと思われてない・・・?だからイマイチそういう気も起きなかったりするの・・・?!うわっ…私の魅力、なさすぎ…?(某広告風に)
どどどどーしよう!!このままじゃ典くんに飽きられちゃう、典くんに飽きられちゃう・・・!略してノリアキ!ってやかましいわ!!というか典くんってどんな女性にムラッとくるの?!いつだったか空条くんに典くんの好みの女性のタイプ訊いたら『俺のオフクロ』って珍回答が返ってきて、冗談だと思って『それ空条くんの好みのタイプだよね?』って聞き返したら情け容赦ないチョップ喰らったんだけど、あれマジなの?!典くん人妻が好きなの?!!えええやだ私典くん好みの女性になりたいけど人妻にはなれないっ!いやなるなら典くんの奥さんになって人妻を名乗りたい!!でも奥さんになるには人妻にならなきゃいけない!!わああああどうすればいいの〜〜〜?!!
思考の暴走が佳境に入り歯止めのかからない中、若干頬に赤みが残るものの冷静になったであろう典くんがコーヒーボトルとミルクティーボトルとアセロラジュースボトルとポンジュースボトルを抱え戻ってきた(何この怒濤のラインナップ!)。
お待たせ、と座る典くんに噛み付く勢いで迫る。
「典くん!!」
「はっはいッ!?」
「しょ〜〜〜じきに聞かせて!私のこと、かわいいと思ってる?!」
「と、突然どうしたんだい?」
「いいから!!正直に!!」
「も・・・もちろん思ってる、よ・・・!」
「声が小さいッ!!」
「もちろん思ってます!!」
「ホントに?!」
「本当に!」
「ホントにホント?!」
「嘘はつかない!!」
「抱きしめたいくらい?!」
「あ、あぁ!」
「キスしたいくらい?!」
「あぁ!」
「押し倒して色々したいくらい?!」
「あぁ!!・・・・・・え?!」
そこまで聞いて安心した。なんだ・・・私、別にかわいいって思われてない訳じゃないんだ・・・!
「良かった・・・」
「な、なにが・・・」
「うん・・・よく考えたら、これまで手を繋ぐのも抱きつくのもキスするのも、私からが多かったなって思って。だから私、典くんが私のことかわいく思ってないから、そういうことする気も起きないのかなって、ちょっと心配になっちゃった」
たははと笑う私に、典くんは目を見開き驚いた表情を浮かべる。
「だけどよかった。別に私に魅力がないって訳じゃーーーえ?」
言い終わる前に肩に手を置かれ、ゆっくりだけど強い力に後ろに倒される。床に敷かれたカーペットに後頭部が付く頃には、私の視界は典くんと天井しか見えなくなっていて。
「えっ?えっ?」
混乱する私をよそに、赤い顔をしつつも真剣な表情の典くんは。
「君が悪い」
そう言って、私の唇を奪ったのでしたーーー
焦り
余裕がなくなった表情の典くんも素敵だったなぁ・・・!(うっとり)
ーーー
20150413