今日はエイプリルフールなので典くんに嘘ついちゃうぞ!と思い「典くんなんて大嫌い!」という嘘を考えついたのだが。・・・どうしよう。


典くんが好き過ぎて嘘でも言えない。


じゃあなんて嘘をつこうか。う〜んとえ〜っと・・・
ダメだ、全然出てこない。ええい迷ってたって仕方ない!そんな時は!!


「エイプリルフールだから嘘つきたいんだけど、どんな嘘つかれたい?」

「・・・それを僕に聞いちゃっていいのかい?」


本人に聞きました。困った時=典くんに相談!というのが私の中の方程式なのです。登校中、運良く典くんの後ろ姿を見つけ、並んで話をする。


「思いつかないなら無理に嘘をつく必要はないさ。今日必ず嘘をつかなきゃいけないなんて決まりは無いんだし」

「う〜ん・・・典くんのビックリする顔、見たかったんだけどなぁ」

「安心してくれ、僕はいつも君に驚かされてばかりだ。

特に承太郎ファンの女の子相手に『空条くんなんて典くんと比べたら月とスッポンポンなんだからね!』って謎の張り合いをしてクラス中を凍りつかせた時は本当に驚いたよ。あの承太郎が『俺は全裸かよ』ってツッコミを入れたのもまた驚いたけどね」

「あ、アレはちょっとした言葉のアヤだよ!恥ずかしいから忘れて!!」

「フフッ」

「とにかく!エイプリルフールに乗じて何かしたかったの!!」


そう。私は典くんの色んな表情が見たい。笑った顔、怒った顔、困った顔、驚いた顔。エイプリルフールを口実に、典くんの驚いた顔が見てみたかったんだけどなぁ・・・。

でも思いつかないのならそれまでである。ので、典くんには素直に計画倒れした内容を明かそうと思う。


「本当はね。1つ考えてたんだ、嘘」

「へぇ、どんな嘘だい?」

「うん。『典くんなんて大嫌い!』っていう嘘」

「それはまたベタだね。やってくれても構わなかったんだが」

「ううん。私ができないから無理」

「? どうして?」

「典くんが好き過ぎて、嘘でも嫌いなフリができないから」

「・・・・・・」


そこで典くんが黙り込んでしまった。どうしたものかと顔を覗き込むと、プイッと顔を逸らされた。えっなんで!


「典くーん?」

「だから君は・・・僕を驚かせるのも大概にしてくれないか」

「え?」


ちらりとこちらを向いた典くんの顔は赤くて。その表情は少しムッとしていた。・・・初めて見る表情だった。

私はそんな典くんに堪らず・・・


「〜〜〜典くんかわいいっ!!!」

「うわっ?!」


登校中だということも公衆の面前であるということも忘れ、思い切り抱きついたのでした!



エイプリルフール!



見ていた周りの人達に『またやってるよあのバカップル・・・』と思われていたことなんて、典くんに夢中な私は知る由もないのです。



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20150401




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