ジョセフの唇はセクシーだと思う。肉厚で形が良くて、表情に合わせて色々な形に変わるけど全てサマになる。女の私から見ても、本当に羨ましい唇だ。ジョセフの顔立ちに見合った最大の特徴。
「でさぁ、そん時シーザーがやたら畏まってよォ。ジョナサンもすっかり『礼儀正しい好青年じゃないか!』って騙されてやんの。アイツ人によって態度変わりすぎだろ」
一緒に並んで帰る道の途中、ジョセフが話している最中もついつい見入ってしまう。唇だけ見ていても表情が読み取れる不思議。今、ちょっと拗ねてるな。
「でも流石にエリナねぇちゃんを口説きだした時はジョナサンも黙ってなかったぜ。『エリナは僕がお付き合いしてる女性だ。エリナが魅力的なのはわかるけど、そういう言葉は君の一番大切な女性に向けるべきだよ』ってさぁ。ホーント紳士よねン。シーザーそれにすっげぇ感動してーーーってシヨリ?」
じーーーっとジョセフを見ているのがバレたらしい。「なになに?俺に見惚れてたァ?」とニヤニヤしながら聞いてきた。
「見惚れてた、ていうか・・・」
「んー?」
「いつ見ても、ジョセフの唇ってセクシーだなって思って」
「ぶっ!どこ見てんだよ!ヤダもーシヨリちゃんたらエッチ〜!」
「エッ・・・?!ちっ違うもん!そういう目で見てたんじゃなくてただ単に羨ましいなって・・・!」
「フ〜ン?」
あぁダメだこれ、完全にジョセフをやらしい目で見てたと思われてる!まぁ唇ばっかり見てたらそう思われるのも無理ないか・・・
ただ変態と思われる事は避けたくて、どうやってジョセフを説き伏せようか悩み出した時。
「どこがセクシーだと思うわけ?」
と聞いてきた。そこで私は冒頭の言葉を口にすることになる。
「えっ!えぇっと、肉厚で形が良くて、ジョセフのはっきりした顔立ちに良く合ってるよ!」
「へ〜そんな風に見てたんだ〜〜〜
このヘンタイ。」
い、言われちゃった・・・!
ちょっとグサッときたよ!!
「ヘンタイじゃないもん!良いなって思っただけ!!」
「あーハイハイ、そーゆーコトにしといてやるよ」
「ホントだってば!!むしろヘンタイなのはジョセフの方でしょーーー!!」
よく遠目に女性を観察しては「おっ、あのコ胸デケェわ」とかほざいて私から肘打ちを喰らう羽目になる自分を棚に上げて何を言ってるんだコイツは!!と思ったところで、
「まー目のつけどころは悪くねーな」
とジョセフはのたまった。
「・・・ハイ?」
「うんうん、ジョセフくんの唇がセクシ〜だってことは紛れもない事実だからな。見惚れても仕方ねーわ。
けどそれだけじゃあダメなんだなァこれが」
「はぁ・・・?」
唇の話題に戻ったってことはわかった。でも何が言いたいのかはわからない。頭上に疑問符を浮かべながら首を傾げてジョセフを見上げると、大きな右手に突然視界を覆われた。
「うわっ!いきなりな」
にすんの、の形を作る前に、私の唇に弾力のある熱い何かが押し付けられた。そして、ジョセフの気配をすぐ側に感じる。
こっこれって・・・!
結論に至る前に唇に触れていた何かは離れ、視界も元に戻った。が、私に合わせ屈んだジョセフの顔がすぐ正面にあることから、私の推測は当たっていたと確信する。
・・・キスされた。
途端に心臓が活発化し、顔が熱くなる。
「ど?」
言葉を発しようとしても上手く音にならない私の唇に人差し指を当て、ジョセフがニィッと笑う。
「感触も。ヤミツキになるだろ?」
あなたの特徴
「色気もへったくれもねぇけど、お前のはクセになるわ」
大きな両手で顔を掬われ上を向かされて。今度は長めのキスをされた。一回り大きな唇に食まれながら、あ、確かにヤミツキになるかも・・・と思ってしまったことは秘密。
ーーー
20150305