現パロ。大学生設定。
スケコマさないシーザー






例えば。

バレンタインのプレゼントを誰からも受け取らなかったのに私のだけは貰ったり、挙句奪ったり。

缶ジュースをジョセフと回し飲みしようとしたら取り上げられて全部飲まれたり。

シャンプーを変えたら髪に鼻を埋めて匂いを確認してきたり。

ハンドクリームをしたら手を取られ匂いを嗅いできたり。側から見ると手の甲にキスしてる様に見えたと思う。実際唇も掠ってた!


・・・シーザーって、私のこと好きなの?


そう思っても仕方がないくらい接触が多い。だけど、何と言ってもシーザーにとって私はイレギュラーな女友達だ。シニョリーナ扱いをしなくていい気楽な異性。

近過ぎる距離に酷く戸惑うことは度々あったけど、ある日マルクがシーザーには兄妹がいる、という話をしていて。
もしかしたら私は妹扱いに近いんじゃないか?と思い、その日中にシーザーに聞いてみた。

『シーザーって妹いるの?』

『あぁいるぜ』

『かわいい?』

『あったりめーだ、世界一かわいいに決まってる』

『わぁ』

と、想像以上にシスコンだった。後でマルクに聞いたら弟ともとても仲が良いらしい。いいお兄ちゃんのようだ。

『なんだ気になるのか?それなら今日、妹の一人と会わせてやる』

『えっ』

予告通りその日たまたまシーザーに会いに来た妹さんの一人と会わせてもらったんだけど・・・うん、天使だった。シーザーとはあんまり似てない。そしてシーザーみたいな派手な美形!ではなくおっとり純朴なかわい子ちゃんだった。
兄がいつもお世話になってます、と笑いかけられた時は思わず「天使・・・」と呟いてしまったがシーザーには「だろ?」と返された。ホントにシスコンだな!


そして確信した。

シーザーは妹さんの髪をわしゃわしゃ撫でたり別れ際にはハグ+ほっぺにキスしてた。家族間でのスキンシップも多いようだ。

よって。

私は変な勘違いをする必要がないと。


そうだ、もともとスキンシップの多い人の様だし、シーザーの中で女性とは身内かシニョリーナの2パターンなんだと思う。あ、リサリサ先生は女神だって言ってたから特別枠ね。で、私はその2パターンの内の身内サイド・・・に近いのかな?

そしたら今までの距離の近さも納得だ。危ない危ない、とんだ勘違い野郎になるところだった。シーザーにとってはごく自然のコミュニケーションなんだから、私も早く慣れなければ。

シーザーが素の状態で接してくれる。それを強く望んだのは私だし、シーザーもそれに同意した。今更、シーザーを異性として意識して気まずくなりたくはない。

それに自惚れかもしれないけど、私はシーザーの特別だ。唯一気楽に接することができる家族以外の異性だ。そのポジションを手に入れられたのに、これ以上何を望むというの。


よし、納得したぞ!・・・だからもう大丈夫!

さぁ来いよシーザー・A・ツェペリ!もういちいち動揺しないんだからな!!



「ねぇシヨリ。百面相してるところ悪いんだけどぉ」

「うわぁっ?!スージー!!いつからいたの!?」

「5分くらい前から!いつ気付くかな〜と思って見てたけどシヨリったら全然気付かないんだもん。あと百面相面白かったわ!」

「も〜見てないで声かけてよね!」

ごめ〜ん、と全く反省の色がないのは私の友達のスージーQ。入学式の日に会場を目指していたらありえない迷い方をしているのを見かねて声をかけたのが始まり。今では一番の仲良しだ。

「シヨリ、唇切れてる。痛そう」

「えっ嘘!」

言われて唇に舌を這わせると血の味がした。気付かなかった!

「リップ塗らなきゃ・・・!」

と鞄を漁るがリップクリームの入っているポーチが見当たらない。

「あっ!そうだ、違うバッグに入れ替えて戻すの忘れたんだった・・・スージー、申し訳ないんだけどリップ貸してくれない?」

スージーを向くと、スージーはニコッと笑い。

「私も忘れた!私達女子力ゼロね!」

それはそれは爽やかに言った。おお友よ・・・。しかし私はスージーの唇がツヤツヤと光っている事に気づく。

「スージー、グロス塗ってる?ツヤツヤしてるよ?」

「ふっふー!グロスに見えるでしょ?実はこれ蜂蜜なの!」

「は、蜂蜜?!甘いの!?」

「うん!リサリサ先生が蜂蜜は保湿効果があるし、リップを忘れたなら塗ると良いって!リサリサ先生から蜂蜜が入った小瓶をいただいたの!」

「へ、へぇ・・・」

「だから、ハイッ!シヨリもこれを塗るといいわ!」

「え、ええええ?!」



という経緯で今私の唇は蜂蜜によりツヤツヤだ。油断すると舐め取りそうになるよ!
唇を気にしながら図書室に入ると、
早速シーザーに出くわした。その手にはカラフルな本が1冊。あぁ、本当にデザイン関係が好きなんだなぁ。


「よォシヨリ。何だ、油モンでも食べたのか?唇油でテカってるぞ」

「うっわ失礼な!油じゃないよコレ!」

「じゃあグロスか?変に色気付くんじゃあない」

「グロスでもありませんー!てか変に色気付くって何さ!」

図書室なので少し小声の遣り取りになるが、相変わらず失礼さがジョセフといい勝負だ。そりゃあ普段グロスとかツヤツヤ系のものは塗らないけど!そんな風に言われたら今後グロス塗れないじゃんバカ!悔しさから唇を噛むとやっぱり甘かった。

「グロスでもない?だったら何だって言うんだ?」

興味を引かれたのかシーザーが詰め寄ってきた。一気に距離が近くなる。お、落ち着いて私!さっきシーザーなりのコミュニケーションで納得したでしょ?!跳ねる心臓をなだめ平然とシーザーを見上げる。

「蜂蜜。リップ忘れたって言ったら、スージーが蜂蜜はリップの代わりになるからって」

「蜂蜜?甘いのか?」

おぉ、私と同じ反応だ。やっぱりそこ気になるよね!

「うん。美味しいから油断してたら舐め取っちゃいそうでね」

「ほぉ」

どれ、とシーザーの右手が伸びてきて私の顎をクイっと持ち上げると、あろうことか親指で私の下唇をなぞりはじめた!く、くすぐったい・・・じゃなくて!

「ちょっ、ちょっと!」

何するの、と続けるのは叶わなかった。
私の顎を解放したシーザーは私の唇に触れていた指をそのままぺろり、と舐めたからだ。極めつけにその指の腹を唇に軽く咥え、ちゅ、と音をたて付いた蜂蜜を完全に舐め取ってしまった。


〜〜〜〜〜!!!??


「本当だ、甘いな」

「あ、あ、あ・・・!」

必死に落ち着こうとさっき自分に言い聞かせた言葉を思い出す。私はどちらかと言うと身内、妹扱いーーー、って!


普通兄妹間でこういうことする?!!


「あ、あ、」

「ん?」

何事もなかったとでも言うように私の様子を伺うシーザーに私は。


「アホかーーーーーーーー!!!!!」


ここが図書室と言うことも忘れ大声で叫び、走って図書室を後にしたのだった・・・。



接触過多



そうだ。そうやってもっと俺を意識しやがれ。








*****
おまけ。

その後のジョセフとマルク。


ジョセフ「なーマルクー。俺シーザーちゃんの本命誰かわかっちゃったわ」

マルク「奇遇だね。ボクもだよ」

ジョセフ「よく見たらスゲーわかりやすかったわ。俺と間接ちゅーすんの止めるために飲みモン奪ったりさァ!」

マルク「ボクも目の前で手の甲に・・・キ、キスとか・・・ドラマのワンシーンみたいなことされた時は焦ったよ・・・」

ジョセフ「ただ肝心のシヨリの反応がイマイチだったわ。ざまぁみやがれシーザー!」

マルク「いいや、粘るんじゃないかな?その内もっと大胆になってくると思うよ」



ーーーそう、友人達は語る。




ーーー
20150224



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