※19巻のネタバレ有/グロいので注意してください








 名前は、傍らにいた二人より、俺を優先することが多かったと思う。朝は挨拶から始まり、訓練のときも名前と組む機会が一日に何度もあった。夜は、もはや習慣になっている、屋根の上で雑談。他愛のないことをたくさん喋って、眠たくなった頃に一緒に戻って一緒に寝る。
 そんな生活が終わろうとしたとき、俺はなんともいえない虚無感を覚えた。名前は当初からの予定だった、調査兵団に志願した。元は憲兵団志望だった俺も、引き寄せられるようにそこへ志願し後を追ったが、名前の傍には常にジャンが居た。マルコが死んでからは、片時も離れることはなくなった。
 自然に俺と名前は疎遠しがちになった。夜に星を見ながら話すことは、もうなかった。名前が巨人をひどく憎むようになったのも、その頃からだった。
 名前は頭がいい。アルミンやマルコ以上とは言えないが、名前は頭がいい。だから、アニの一件で気付いてしまったのだ。俺たちのことを。


 だが、名前は俺を許してくれた。一番の理解者だった俺を、殺すことは出来ないとエレンを救うために後を追ってきた名前は、泣きながら抱きしめてくれた。名前は人間だがそれでもいい、俺と一緒に生きてほしい、故郷へ行って暮らそう。彼女は何度も頷いて腕に力を込めた。全てを捨てて俺と来てくれる名前が、彼女が、愛おしくてならなかった。
 エレンが唖然として俺たちを見ている。名前が、まさか裏切るとは思わなかったのだろう。やっと手に入った。マルコを間接的に殺して、俺はやっと、名前を手に入れることができた。俺は幸せだ。
 名前は俺の中にいる。彼女は俺の名前を愛おしそうに呼んで、笑っている。くすぐったい。そんなに何度も名前を呼ばないでくれよ。




「ライナーッ、おまえが……、おまえがマルコを殺したんだ!!」

 そう叫んだ名前は一瞬で絶命した。痛みのない死に方で良かったと不謹慎だが心の底で思う。ブレードで首筋を切られた名前は、ライナーの胃袋へ収まっていく。目の前で見せつけられる光景に耐え切れず思わず嘔吐した。ベルトルトも嘔吐し、ユミルは顔を歪めている。
 恍惚の表情を浮かべながら華奢な身体を抱きしめるライナーは、今もなお名前の肉を食べている。


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