文 | ナノ
(黒のパンツは誰のもの?)

苗木誠の部屋…。
部屋の主が居ない部屋にはシャワーの音が漏れ出して、彼がシャワーを浴びているのだと知らせていた。

その部屋に、小さななりをしながらも大きな絶望を撒き散らす悪魔が現れた。
悪魔は、静かに肩を揺らしながら笑いパンツがしまってある場所まで一直線に行くと、中身を根こそぎ持ち出した。
そして、その倍の量のパンツをしまうと静かに部屋を後にした。
部屋にはまたシャワーの水音だけ残った。

ガチャ…
「はぁー…今日も採集疲れた…ってパンツ!」

パンツをシャワールームに持ち込み忘れ、急いでパンツを取りに引き出しを引いた。
一気に引き出しを引くと、中に乱雑に押し込んであった大量のパンツが爆発したように飛び出してきた。

「うわああああああ!!」

驚きのあまり、後ろに尻餅をつき頭の上に降りかかるパンツを見つめた。
どうすれば、こんなに中に入れられるんだ!と、叫びたくなるような量を引き出しに入れられ目を白黒させた。
自分のパンツなら、量があっても構わないが…中に入っていたのは、苗木のパンツと比べて布の面積が半分以下であろう女物のパンツ。
黒地の生地に赤が映えるパンツ。

「これ…だれがやったんだろう」

一つ手に取り、広げて見るが誰のパンツかまったく分からない。
とりあえず、自分のパンツを穿こうと黒のパンツの中から白いパンツを探すが、一向に見当たらない。

「う、嘘だろ…」

引き出しをひっくり返しても、どこを探しても自分のパンツは1枚も見つからなかった。
どうしようかと悩んだが、仕方なく今日穿いていたパンツを穿いて、購買にパンツが売ってないか探しに行くことにした。

が、シャワールームの隣。トイレの上に置いてあった衣類の中からパンツだけが無くなっていた。

「嘘だろ!?確かに、ここに置いたのに…」

もう、何がなんだか分からずベッドに倒れこんだ。
カサ…。大の字に寝転がったベッドで、手に何かが当たる。
掴んでみると、【もう、おねしょはなおった?おねしょしてもいいようにパンツをたくさん置いていくよ!うぷぷ モノクマ】と書かれたメモ。

「お前の仕業か!!!」

怒りのままに紙をグシャグシャに丸め、ゴミ箱に投げ入れる。
そして、監視カメラを見上げた。

「モノクマ!!パンツ返せよ!!」
「はい!モノクマ参上ー。パンツならたくさんあるでしょ?」
「女物じゃないか!」
「パンツはパンツだよ?世の中には、女性の下着を穿いて快感を得る人だって居るんだから、大丈夫だよー苗木くんも意外とハマっちゃうんじゃない?うぷぷ」

苗木の背後に現れたモノクマは、楽しそうに声を弾ませながらこのパンツを穿けと苗木に言い続けたが、苗木は断固拒否。

「優しい僕が苗木くんの古いパンツは焼却炉に入れておいて上げたから、明日の朝には他のゴミと一緒に燃やされるんじゃないかな?うぷぷ。それじゃねー!」
「なっ!?なんだよそれ!!」

苗木の言葉には何も答えず絶望的な現実を叩きつけて、モノクマは楽しそうに消えていった。

残されたのは、大量の黒い女物のパンツと絶望。
そして、残された道はノーパンで焼却炉まで行くか女物のパンツを穿いて焼却炉まで行くか…。

「ちょっと、待てよ…掃除当番にお願いして鍵を開けてもらわないとだから…今日の掃除当番は江ノ島さんだ。」

数分悩んだ結果、女物のパンツを穿いて行くことにした。
まだ、夜時間まではもう少し…だが、みんな部屋に入って廊下に人影は少ないはずだ…今のうちに!!!!

恐る恐るパンツに足を通し、上まで引き上げる。窮屈な締め付け感と、セクシーなデザインのパンツを穿いているという羞恥心で顔が赤くなる。

「こ…れ…恥ずかしい…な」

そこで、さっきのモノクマの言葉が脳内をよぎる。

【女性の下着を穿いて快感を得る人だって居るんだから】

「ッ!!!僕は、気持ちよくなって…な‥」

だが、言葉とは反対に苗木の自身は大きくなり始めパンツを押し上げていた。

「うっ嘘だろ!?」

これは違うと自分に言い聞かせるが、一向に収まる気配がない。だが、時間は刻々と過ぎていく。

「どうしよう…これじゃ、流石に江ノ島さんに会いにいけない…こうなったら最終手段だ!!!」



コンコン…

「はいはーい…って、苗木くん!?」
「江ノ島さん?あ、夜時間間際にごめんね。」

驚いた様子の江ノ島にパンツの事は濁して事情を話すと笑顔で焼却炉を開けてくれた。
パンツを無事回収し、江ノ島の部屋の前に着いた。

「じゃあ、江ノ島さん。また明日」
「うん。また明日…ねぇ苗木?気になってたんだけど、なんで腰にシーツ巻いてるの?」
「え”っ!?あ…あは…あはは実は、ゴミの中に他のズボンも入れちゃって…さ。!」
「苗木ったら、ドジだね!まぁ、いいや。気をつけてね。じゃあおやすみ」

急ぎ足で去っていく苗木を見つめ、盾子ちゃんがまた何かしたのかな…苗木くん大丈夫かな…と心配になるむくろだった。

部屋に帰った苗木は、大量のパンツが無くなっていることに驚きながら自分のパンツが戻ってきた安堵と完全に勃ちあがった自身をどうしようという葛藤ですぐには気にならなくなった。

「シャワールームで仕方ない…抜くしかないのかな…」

もしかしたら、これを使ってる持ち主がいるかもしれないパンツで抜く事に心は痛んだが、男の性だ…このパンツこそ焼却処分しようとため息をついてから開きなった。

シャワールームで抜くと、そのままもう一度シャワーを浴び正真正銘自分のパンツを穿きなおす。

「やっぱ、自分のパンツが一番だ」

安堵からかそれとも自慰のせいなのか、眠気が遅いベッドにパンツ姿のままダイブして寝てしまった。

【オマエラ、おはようございます!】
「ん……ん!?」

朝のモノクマのアナウンスで目覚め、慌てて昨日のパンツを片付けようとバスルームに向かった。
だが、またもやバスルームにはパンツだけがなくなり消えていた。


END





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