文 | ナノ
(トイレ)

新年SS

ジャバウォック島も新年を迎え、その挨拶に苗木は日向達の元を訪れた。
滞在何日目…その日苗木は、来る度に調査や資料を纏める為に使う部屋に来ると、日向からのメモと食事が机に置かれていた。
メモには今日は一緒に食事が取れない事とそれを謝罪する旨が書かれていた。
報告書を書き始めると、部屋から出て来ない苗木の為に用意してくれただろう食事と飲み物。
まだお腹は空いていないので飲み物を頂き、日向の面倒見のよさに笑ってしまう苗木。

「あけましておめでとう!苗木。」
「…なんで、江ノ島くんがここに…」
「そう嫌そうな顔するなよー」

江ノ島盾は、パソコンの中で大人しく…とは、とても言えないニヤニヤと今にも問題を起こしそうな顔をしていた。

「お前、消えたんじゃないのかよ…」
「俺がそう簡単に消えるわけないじゃーん。」
「はぁ…」

苗木は、元旦ぐらいはゆっくりお雑煮食べてぬくぬくしたかった…とため息をついた。
そんな事は膨大に貯まった仕事がさせてはくれないのだが、思うだけならタダ。

「そういえば、苗木の今年の目標はおねしょをしない?」
「それは、小さい頃の話でしょ…」
「いやーまだまだしてるんじゃないのー?」

ニヤッと笑うと、画面の中の江ノ島はパンチッと指を鳴らした。

その瞬間、ウィーンと機械の起動とがした。苗木が何が起こるのかと身構え、やっぱり江ノ島はすぐに処分するべきだったと後悔した時。
苗木が入って来た背後のドアが開いた。

「なっ!?なにあれ…」

現れたのは、人間。の様に見える物体だった。一つだけが人間ではあり得ない見た目をしていたのだ。
それは、顔が無いというか点。顔の凹凸はあるのだが、目も無ければ眉や何もない真っ白いマネキン状態。

「なんだよこれ!!江ノ島!!」

バッと後ろを振り返ると、パソコンに居たはずの江ノ島はいなくなり、スリープモードに入ったパソコンだけが残されていた。

「こっちだよ?苗 木 く ん?」
「ぐっ…」

声が聞こえたと思った瞬間、後ろから首を掴まれた。さっき顔が無かったはずの人形には何故か江ノ島の顔が浮かんでいた。

「江ノ島…本当、左右田ってすごいわねー。こんなロボットつくっちゃうんだもん。」
「…その格好は…七海さんの為に…作ったもの…だね…」

ロボットは、七海と同じ格好をして背丈や体型も丁度同じぐらいだった。
江ノ島は、七海の為に日向達が作ったロボットを乗っ取って自分に触れているのかと思うと、手が出せなくなってしまった。
悔しそうに江ノ島を睨みつける苗木をニヤニヤと嬉しそうに見つめる江ノ島。

「あ、そんな事はどうだっていいのよ!本題は、苗木くんのおねしょっていうかお漏らしっていうかー治ったかって事ね!ねぇ、苗木?そろそろ尿意こない?」
「は…?…ッッ!?」

そう言われた瞬間、体が震え尿意に襲われた。
足を交差させ、もじもじとさせながら江ノ島を再度睨みつけた。

「な、何したんだよ!!くっ…」
「ちょーーっとそう言うお薬を飲み物に入れただけだぜ?利尿作用がある的な?食べ物の方を食べてりゃラッキーでなんとも無かったのによーー!」

ゲラゲラ笑う江ノ島に、突然足をはらわれ勢いよく床に叩きつけられる。
その反動で漏れそうになるがここで屈せないと耐えながら、今年もとんでもない年になりそうだと自分に跨る江ノ島を見上げる苗木だった。

結果、色々な事をされながらも耐えてる途中で日向達に無事救出された。
何をされたかは、また後日語ることにしよう。
お礼を言うより先にトイレに駆け込んだのは言うまでもない。

END





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