文 | ナノ
(守ってあげる)

江ノ島くんに監禁されてから、しばらく経った。
毎日、時間がどのくらい経ったかも分からない空間で僕は色々考えていた。
また、脱出を模索する日々かぁ・・・とため息を吐いて、天井を見上げる。

あの時は、みんな…仲間がいたのに…。

あの時と違うと、息苦しくさせる赤い首輪がイヤでも思い出させる。
鎖に繋がれて、どうすれば…と思考を巡らせるが頭は真っ白。
こういう時、霧切さんがいたらなぁーとか十神くんと捜査したいなーとか出てくるばかり。

「はぁ…」
「なっえぎー?また、ため息?そろそろ現実受け止めなって。」
「僕は、現実を受け止めてるしここに留まるつもりもないからね!」
「もー。だーかーらーそれが現実を受け止められてないんだってー」

ガチャリと扉が開いて、肩をすくめながらやれやれと首を横に振る動作をする江ノ島くんが現れた。
そのまま、僕の横まで優雅に移動してくるとベッドに腰をかけた。
僕は、自分の膝を抱えて体育座りをしながら江ノ島くんと距離を取る。

「なにさ・・」
「苗木はこの赤い糸がある限り、俺にずっと絶望させられてずっとずっとずーっと一緒なの。」
「−ッ!」
僕は、その夜また江ノ島くんに抱かれた。


朝起きると、江ノ島くんは居なくなっていた…。
僕は、このままこの赤い首輪に繋がれるしかないの?と、自問自答を繰り返していた。

ガチャリーーーーー…

「江ノ島くん?」

僕は、てっきり江ノ島くんが帰ってきたのかと思い、ベッドから起き上がった。

「苗木くん・・・その名前は呼ばないで。」
「え・・・」

僕の想像していた声とまったく違う、ねっとりした声に弾かれた様に顔を上げた。
そこには、ニッコリ笑った狛枝先輩がいた…。
江ノ島くんと生活をして、記憶を取り戻した僕の記憶の1つである同じ【幸運】の名を持つ狛枝先輩。

「苗木くんをこんな狭い絶望に満ちた場所に閉じ込めるなんて・・・江ノ島じゅん・・・許さない…」
「こ…狛枝先輩…」
「先輩だなんていいよー狛枝くんでいいって!」
「っ!!」
「それより、一緒に絶望の世界を希望に変えないかい?君の希望は終わってないよね?もっともっと僕に見せてよ!」

僕の首輪を外してから、手を差し出した狛枝先輩に僕ははっきり言って、嬉しさで涙が止まらなくなった。
ひとしきり泣いた後に、さぁ・・・と手を差し伸べられた。
もちろん、喜んでその手を取ったよ!でも、顔を上げた瞬間に僕は今した行動を後悔した。

狛枝くんの瞳には、江ノ島くんと同じ色んな色が混ざった何とも言えない色になっていた。
手を引っ込めようとした時には、すでに遅くて腕をがっしりとつかまれていた。
うっとりと僕を見つめる狛枝くんのもう片方の手には、真っ白の首輪が握られていた。

ああ・・・この世界にいる以上逃げ道はないのか・・・と僕は静にかに絶望した。

END




やっと続きかけたぁあああ!





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