文 | ナノ
(最終的には絶望。)
黒幕登場。
俺の登場に顔色を変え驚く者や敵意をむき出しにして睨み付ける者…それぞれのリアクションをしていた。
でも、俺の一番見たかった反応は…。
「え、江ノ島…じゅん…」
そう。苗木誠…君のその驚き戸惑った顔…。
苗木は、もう俺の事を思い出しているはずだ。
なんせ、最後の学級裁判の為の操作中に俺を思い出させるように苗木を操作したのだから…。
思い出した苗木は困惑して、何故…と繰り返し呟いていたけど、その表情も言葉も俺を興奮させるだけ。
実際に、学級裁判中の苗木はどこか苦しそうにしていたし…。
何より苗木を苦しめるのは、思い出した記憶の中に俺を恋しいと思う自分がいた事なのだろう。
犠牲になった仲間と俺を天秤にかけ、自分の中の葛藤に苦しむ苗木に学級裁判中だというのに、今すぐに彼を閉じ込めて犯してめちゃくちゃにしてしまいたい衝動に駆られた。
「黒幕は俺だ。だからどうした?すべての謎を解かなければ意味はないぜ。」
「わ…わかってる…」
「苗木くん…議論を始めましょ。」
霧切さんの言うことにコクリと頷き、議論を開始する苗木を俺はニヤニヤしながら見ていた。
「どんなに議論しても最後に訪れるのは、絶望なのにね…うぷぷ‥」
俺の呟きは、胸に抱えたモノクマに静かに吸い込まれていった。
【クロハエノシマクンニキマリマシタ】
「ッ!?僕は江ノ島くんに死んで欲しいわけじゃ!」
「やめてくれ!邪魔しないでくれよ!!」
苗木は今にも泣きそうな、辛そうな顔をして顔を左右に振り、嫌だ…そんなの望んでない…と呟きながら崩れ落ちた。
他の人たちは、崩れ落ちた苗木に驚いてそばに駆け寄った。
「これが苗木の望んだ結末でしょ?ねぇ?絶望した?」
「僕は、絶望なんてしない…でも、こんな結末も望んでない…」
「苗木君…」
苗木の握り締めた拳に、涙が一粒一粒と零れ落ちる。
それに、霧切さんは人が死ぬことに対する涙と勘違いしたのか、苗木に辛そうな表情をむけた。
違うよ…霧切さん…その涙は俺の為に流した涙なの。
他の奴らなんかとは違う俺の為に流した涙なの。
ああ!苗木の涙の流し表情、絶望的な表情…最高!はぁ…これから、味わう最高の絶望の前にこんな絶望を味わえるなんて、最高だ!
「じゃあね。苗木…また会おう」
【超高校級の絶望的おしおき】
END
ずっと、書きたかった話だったのでかけて楽しかったです!
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