文 | ナノ
(君がくれた希望)

希望ヶ峰学園…
超高校級の学生だけが入学を許され、そこから卒業した物は成功を約束される狭き門。

そこは、【運】というだけで選ばれた平凡な僕が通うには荷が重すぎたのかもしれない。

「苗木くん…本当に退学してしまうのかい?」
「はい…やっぱり、僕はその時だけの運であって…みんなと一緒に勉学を共にするには相応しくないないみたいです。」
「…そうか。」

学園長は一言呟くと、俯き口を閉ざしてしまった。
僕が学園を去ろうと決めたのは、学園長のせいでもクラスメイトのせいでもない…。
僕自身がそう決めたから…本当はみんなといたい…でも、このままじゃ僕が壊れてしまう…その前に。



入学してから半年…


「おはよう!十神くん!」
「なんだ、苗木か。朝からお前のような貧乏臭い顔をみるとは…まぁ、いい。この間言っていた本をたまたま見つけてな。譲ってやろう」
「本当に!?ありがとう!」

十神くんはちょっと厭味っぽい事を言うけど、本当は優しくていい人だっていうのは入学から2ヶ月後に気付いた。

入学した時に不安がなかった。と言えばウソになるけど、僕の取りえである前向きさを発揮して、希望だけを持って入学した。
みんな僕が運だけで入学したと聞いたときは、鼻で笑っていたけど他の人と変わりなく接してくれて、セレスさんはよくお茶に誘ってくれるし、霧切さんとはよく何気ない会話をする。
男子の面々とも冗談を言い合ったり、大神さんと朝日奈さんと泳ぎに行ったりもして毎日が充実していた。

でも、生活が変わり始めたのはそれからしばらくのことだった。

『ハヤクタイガクシロ オマエナンテキエロ』

僕の写真に赤い文字で書かれた警告を意味する文字達に、何が起きてるのか一瞬理解が出来なかった。
家を出た玄関にばら撒かれた写真数枚はどれも『キエロ』と学校から居なくなることを要求していた。

「な、なんで…こんな事…」
「苗木くん?」
「ッ!!ま、舞園さん!!」

家の前でボーゼンとする僕に舞園さんが近くを通りかかったみたいで、話しかけてきた。
舞園さんも同様に写真を見ると、小さく悲鳴を上げて固まってしまった。

「あ…あ…これ…」
「うーん…嫌がらせみたい…まぁ、脅しだけだろうし気にしないのが1番だよ!」
「…ごめんなさい…もしかしたら、私のファンがやったのかも…」
「え!?なんで!」
「聞いたことがあるんです…過激なファンがいて、私に近づく人を許さないって話してるって…だから…」
「そっかー…そりゃそうだよねー突然現れた平凡な僕と話してたら怒るよね〜」

僕は、気にしないで!ただの友達なんだからファンの方々も分かってくれるって!と必死に励ましながら、舞園さんと学校へ向かった。
でも、その言葉は舞園さんにかけると同時に僕自身にも言いかけるようだった。

それから、毎日嫌がらせはエスカレートしていった。
舞園さんにだけはその話をして、そのたんびに2人で暗くなって、僕が励ますの繰り返しを続けた。

そんな事が1ヶ月続いた時。

『校舎裏に来てください。大切なお話があります。』

下校時刻に舞園さんと霧切さんと桑田くんの4人で帰ろうと下駄箱に向かう、でもその日はいつもと違った。
僕の靴箱に¥の中には、かわいい文字で書かれた手紙が入っていた。
舞園さんはまた嫌がらせ?と心配してくれたけど、違うみたいと慌てて訂正しておいたけど、僕の反応にみんなは首をかしげていた。

「ご、ごめん!僕、用事思い出したから先に帰ってて!」

3人の返事を聞かずに、校舎裏に走り出した。



「あの・・手紙を書いてくれたのはあなたですか?」
「あ…苗木…くん…」

校舎裏にぽつんと佇む、可愛い女の子。
近づいて、話は何かと聞くと下を向いたまま話を切り出さずに、沈黙が続いた。

「えっとぉ…」
「…ですか?」
「え?」

僕が困って、あわあわすると彼女はようやくポツリと話し始めた。
でも、彼女の口からでた言葉はずっと僕を悩ませていた内容で・・・同時にこんなに可愛い女の子に、僕は苦しまされていたのかと絶句した。

「いつになったら学校から消えるんですか?」
「な…なんで…そんな事いうんだよ…」
「散々、私は忠告としてアクションをおこしてたのに…あなたは私の意見を無視し続けた…私は限界なんです!!!」
「そんな!僕は、この学校に選ばれてきたんだよ!」
「そんなのたまたまじゃないですか!!私は、この学校に来るために…来るためだけに血の滲むような努力をしてきました!!なのに・・あなたのような運だけで来たなんて…信じられない!!!」

彼女は泣きながら叫ぶと、僕に殴りかかってきた。
きっと、いつもなら避けられるような攻撃なのに、彼女の言った事が頭をグルグル回って体がいう事をなかなか聞いてくれない。
拳が顔面に接触する寸前に、近くの茂みから人が飛び出してきた。

「やめろおおおおお!」
「ッ!?」
「な!?」

僕も女の子も出てきた人物を凝視して固まった、なんせ突然大神さんが出てきたのだから・・・

「なんで、大神さんが…」
「チッ!」
「苗木くん!無事!?」
「苗木くん!大丈夫ですか?お怪我は?」
「まてこらぁ!!!」

帰ったはずの舞園さん達3人が出てきて、完全に部が悪いと感じたらしい彼女は一目散に逃げていった。

「な、なんで…」
「霧切たちに苗木が危ないときいてな…」
「やっぱり、苗木くんの事が心配で…信じてないわけじゃなかったんだけど…もし、苗木くんに何かあったら…私…私…」

舞園さんは涙を流しながら、抱きついてきた。
僕も緊張の糸が一気に緩み、涙がとめどなく流れてきた。


結局、女の子はつかまり退学になったと聞かされた。
でも、僕の中では何も終わってなかった…ずっと彼女の言葉が胸に引っかかり僕を苦しめた。




事件から数ヶ月後、僕は学校から去る決断をした。
その話をしに学園長室に入り、僕の意思を伝え、少しの沈黙の後に僕は静かに教室を去ろうとした。

ガチャ!

「まって!苗木(くん)!!」
「みんな・・」

部屋に入って来たのは、クラスのみんな…。

「辞めるなんて言わないで!!私達は苗木くんが居たから今までいれたの!」
「舞園さん…」

「最初の頃、喧嘩ばかりをしてる俺らの仲を取り持ってくれたのも苗木だったよな?兄弟!」
「ああ!2人の喧嘩をいつも親身に聞いてくれたじゃないか!」
「わ、私の…話を・・ゆっくりちゃんと…聞いて…くれたの…苗木が…はじめて…よ。」
「オマエが居なくなったら、俺の暇つぶしがなくなる。」
「我は、ずっと修行のみの人生だった。苗木…お主が我にたくさんの楽しさを教えてくれた。」
「一緒にドーナツつくろって約束したじゃない!!!苗木のバカぁ!!」
「まだ、この間のトランプの勝負がついておりませんわ。」
「お前が辞めたらこの間はなしたエロ本貸してやんないからな!」
「そうだべ!苗木っち!占いしてやんねぇぞ!」

「みんな苗木くんが必要みたいだけど?それでも、まだ辞めるの?」

「…そうだね…僕、自分の事ばかり考えてたみたい…」

最後の葉隠くんの子供のような言い訳に少し笑って、出かけていた涙が引っ込んでしまった。

「苗木くん…君は運だけじゃないんだ。君がみんなに与える【希望】はこの学校に通うだけの価値のあるものなんじゃないかな。言うならば、超高校級の希望…そうだと私は判断して入学を許可したんだ。」
「超…高校級の…希望…」

「僕は、その言葉に込められた期待に答えられる様に頑張ります!」
「苗木(くん)〜!!!」

その時今まで、胸に引っかかっていたモヤモヤはすんなりとなくなり、本来に僕に戻れた気がした。




「あーあ。苗木の絶望見れると思って楽しみにしてたのになー」
「この先の計画があるんでしょ?それまで待ちなさいよ…」
「そーね…」

絶望シスターズが見守る中、苗木は笑顔でみんなと抱き合って、いい仲間を持ったことを喜んでいた。

END




ものすごい長くなってしまいました/(^o^)\
やっぱ、運だけだとひがむ人も1人ぐらいいたんじゃないかと思ってしまい苗木をいじめて見ました。
設定とかはもうめちゃくちゃですが、こんな事があってちゃんと学園長の希望をコロシアイ生活で発揮してくれたらなんかいいなぁ〜と思いました。あれ?作文んんんn

読んでいただきありがとうございます。





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