文 | ナノ
(ずっと・・・)

〜学園生活〜

…何か視線が・・・?
掃除の時間に不二咲さんとせっせと箒でゴミを集めていると、背中にビシビシと何か視線のようなものを感じた。

今日の掃除当番は、不二咲さんと僕と霧切さんと十神くんと大和田くんと石丸くん・・・。
石丸くんは当たり前のように雑巾がけを率先してやってるし、大和田くんはいつも最初は帰ろうとするんだけど、不二咲さんにお願いされて何だかんだでいつも黒板を掃除してくれる。

まぁ、そうなると自然とこの背中にあたる視線の主は絞られてくる。
僕は、耐えられなくなり振り向いた。

「とが・・・みく・・!?」

振り返ると、僕のすぐ後ろに十神くんは立っていた。
僕が、ビックリして数歩後ろに下がると何かを踏んだ感触がて足元を見ると、折角集めたゴミを踏んでばら撒いていた。

「わっ!ごめん!」
「あっ!大丈夫だよ!」

2人であわあわとまた箒を動かし始めると、後ろから腕が伸びてきて箒を掴まれた。
僕が驚いて、箒を掴んだ人物に話しかけた。

「…十神くん?どうしたの?」
「…?」

不二咲さんも不思議そうに僕の背中越しに十神くんを覗き込んだ。
どうやら、前に十神くんに掃除の時間に鈍い!とイライラされたらしく、それから十神くんの前ではビクビクしている。
僕だって、最近は異常に睨まれてビクビクしてるのに…。

「俺が変わってやろう・・・鈍いから仕方なくだ。俺は忙しいからな・・・時間を無駄にはしたくないんだ。」
「え。でも、あとはゴミをチリトリに入れて捨てるだ・・・ヒッ!!」
「ッ!!」

十神くんは、ものすごい目で睨んできた。
後ろにいた不二咲さんが僕の上着をすごい握り締めて、ちょっとだけ手が震えてるのが分かった。

「だったら、不二咲と苗木が変われ。少しは早くなるだろう。」
「・・・ハ、ハイ。」
「あ。ごめんなさい・・・」

もう、僕と不二咲さんは若干涙目…むしろ、不二咲さんは泣いてるんではなかろうか…そのぐらい十神くんは鋭い目をしていた。

決められた、業務の様に話すことも無く最短でなるべく無駄のないよう動いた。
これ以上十神くんを怒らせないように、これ以上十神くんに嫌われないようにと…

「あ。ゴミ一杯だ…俺捨ててくるから!先に帰ってていいよ!」
「え。じゃあ、僕も一緒に捨てにいくよ!」
「いいって!1人でも大丈夫だよ!ありがとうね!」

机を元に戻し終えて、点検をしていたみんなに届くように叫ぶと大和田くんと話していた不二咲さんが手を上げてくれた。
さっきまで怯えていた不二咲さんを励ましたくて、なるべく笑顔で話しかけると顔が少し引きつってた顔に笑みが戻った。

みんなに、一足先に別れを言うとゴミを捨てに教室を出た。


「ゴミ捨てたし、みんなが点検してくれたから後は帰るだけ!やったー!終わった〜」
「苗木。」
「え!?」

教室に、独り言を言いながら入ると低い声に名前を呼ばれた。
てっきりもうみんな帰ったと思っていたから、独り言を聞かれた恥ずかしさと未だに怒ってるであろう眼つきの鋭い十神くんと2人っきりになった気まずさから僕は固まってしまった。

「お前を待っていた。」

深刻そうな顔で十神君が近づいてくる。
え?僕に用事?怒ってるのかな?どうしよう…だって、十神くんには疎まれてるとは分かってても口に出して嫌いだなんて言われたくないもん。

なんだか、十神くんには1番言われたくない。わからないけど、十神くんには嫌われたくないんだ。
それがここ数週間ずっと異常に睨まれ時に、ずっと思ってた事。

ぎゅっと目をつぶると、自然と目がじんとして、頬が塗れていた。

本当は、この涙の理由も嫌われたくない理由も入学式の時に気づいてた・・・。
一目ぼれだったんだ。

涙を見た瞬間に十神くんのつり上がった目が、一瞬閉じて見えなくなる。
次に開いた時に見えたのは優しい色だった。
めったに見えない優しい色、僕は入学式でこの色をみた時に恋に落ちてたんだ…

涙を、少し強引にぬぐってくれた十神くんは少し困ったような顔をしながら口を開いた。


「好きだ。入学式からずっと好きだった。」


ああ。涙が止まらない
止めないと、泣きすぎで煩いって十神くんに怒られちゃう・・・
でも、今日だけはゆるして・・・!


END






初十神小説!!
読んでいただきありがとうございます!!
入学式で十神くんと苗木くんがお互い一目ぼれをしてたらっていう妄想です!
うちの十神くんはきっとヘタレ属性になってしまう気がビンビンしています笑)





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