文 | ナノ
(触らないで。)



コロシアイ学園生活が始まってから、僕らは自分たちで髪の毛を切る様にしてる。
でも、僕はいつも失敗してしまう…失敗する事が大半で、切った後の数日はフードを被って過ごしている。
でも、そんな事を何度もするのもそろそろきつい…しょうがなく僕は他の人に頼もうと思い、部屋を出た。

「はぁ…また髪の毛伸びてきたなぁ…どうしよう誰にお願いしようかなぁ…」
「おっはー!苗木!ため息なんてついてどうしたの〜?」
「江ノ島さん!おはよう!それが…髪の毛が伸びてきたんだけど…」
「はっは〜ん…いつも切るの失敗してるもんね〜」

僕が、困ってる理由を説明する前にその理由を当ててきた。
当たっているだけに否定もできないけど、ニヤニヤしながら頭をグシャグシャにしてくる江ノ島さんに怒りが沸いても仕方ないと思う。

「やっぱり、失敗してるのバレバレだよね…はぁ…」
「そう、落ち込むなって!あたしが切ってあげよーか?昔は、自分で切ってたんだから!」
「ええ!?江ノ島さん自分で切ってたの!?意外だね…美容院とかで切ってそうなのに…」
「まぁまぁ!揃えるくらいなら切れるからさ!う〜ん…食堂でビニール敷いてやろっか!」
「うわ〜助かるよ!本当にありがとう!」

僕は、はさみを握り締めて急いで、倉庫から使えそうなビニールを引っ張って食堂に移動した。

「あれ?苗木に江ノ島ちゃんじゃん!」
「2人でどうかしたのか?」

食堂に入ると、大神さんと朝日奈さんがお茶をしていた。

「ちょっと、苗木が髪を切りたいっていうから食堂の端っこで切ってあげようとおもってさ〜」
「あー…苗木いつも失敗してるもんね〜!あはは!」
「これ、朝日奈…笑うものではないぞ。失敗など誰にでもあるからな」

朝日奈さんにまで僕の失敗がばれてるなんて…笑わずに朝日奈さんを注意する大神さんも分かってるみたいだし…

「僕、フード被って隠してるつもりだったんだけどなぁ…」
「あれ〜?苗木気付いてないの?」
「我らが会う時、いつもお主は頭…というより髪の毛をしきりに気にしているからな。」
「そうそう!最初は切ったのかな〜?って思うんだけど、前髪とかちょっと違和感があるからさ〜!」

え!?そんなに態度に出てたかな!?言われて初めて、そんなに気にしてたと分かって一気に恥ずかしくなってしまった。

「じゃあ、髪の毛きるよ〜こっち来て、苗木〜」
「あ、う、うん!」

「じゃあ、私達見ててもいいかな〜?」
「うん!大歓迎!ってか、みんなで苗木のヘアーデザイン考えてあげようよ!」
「いいね!それ〜!」
「我もお供しよう。」

「え〜!?は、恥ずかしいよ!普通でいいよ!!」
「いいから!いいから!」

みんな人事だからなのか、とても楽しそうに僕の髪型について話し出した。

「あれ〜?朝日奈さん達なにしてんの〜?」
「お!葉隠に桑田いいとこにきたじゃん!」
「え!?」

2人の登場に僕が慌てていると、今の状況を江ノ島さんに説明されて、面白い!と参戦してきた。
用事があって来たんじゃないの?と聞くと、ちょうど食堂の前を通りかかった葉隠くんと桑田くんが、僕らの騒いでる声につられてやてきたそうだ。

「ちょっと、苗木は冴えないから俺みたいに髪を染めるのはどうだ!?」
「え〜。そんなんじゃ、苗木の触り心地のいい髪が痛んじゃうじゃん!」
「我は、短髪がいいとおもうのだが。」
「苗木っちも俺と同じ感じにしみるべ!」

みんな、好きな事を言いたい放題で一向に決まる様子がない。
そんな中で、ずっと難しい顔をしていた江ノ島さんがボッソリと一言呟いて、僕の頭に触角に触れた。

「う〜ん…いつも気になってたんだけど、この触覚きになるわ・・・」
「ひゃ!」

「「「え。」」」

江ノ島さんが触角と称した僕のアホ毛は、昔からそこだけ跳ねてしまって、今でも手を焼いている。
跳ねるだけなら、そう問題は無いのだが…その髪だけ妙に敏感で江ノ島さんが言った通りに触角なんじゃないかと思ってしまう。

「あ…ごめ…そこだけ、なんか敏感なんだ…って、ひゃ!」
「ごめ。本当に触角だったなんて…」
「ちがっ!触角じゃなッひゃぁ!葉隠くん!!触らないでよ!!」
「いや〜ごめんごめん!面白くて!」
「やっ!うっ!ひゃ!やめてぇえええええ!」

みんなで面白がって、触ってくるから唯一何もしてこない大神さんに泣きつけば、みんなを一喝してくれて、その場は落ち着いた。
その後も、みんなで髪の毛を切って何事もなく終わったはずだった…


本当の悪夢は次の日だった。

「苗木…お前のそれは触角というのは本当か・・・昨日、葉隠に喘がされたそうじゃないか…俺の苗木の純な体が・・・」

食堂に向かうために部屋から出ると、丁度奥から歩いてきた十神くんに声をかけられた。
朝から、顔を青くした十神くんに意味の分からない事を言われて、僕は混乱してしまった。

「え?あえ・・・ぐ?へ?大丈夫!?十神くん!」
「俺の苗木が…汚され…おれの…俺の・・・」
「ちょっと!!!うわああ!みんなああああ!十神くんが!!!」

十神くんはそのまま気を失ってしまい、情けない事に泣きながら回りに助けを求めてしまった。

それを皮切りに、1日中僕のアホ毛が触角だの性感帯だのと言われて、触られるたびに恥ずかしい声を上げてしまった。
よく分からないけど、そのたんびに押し倒されて、そのたんびに大神さんに助けてもらって…男として情けない1日だった。

何故か、次の日から食堂には顔に痣を作った男のみんなと会い、その日からあほ毛には触れてこなくなった。


END




苗木くんのあのアホ毛が触るとひゃっ!とか喘いじゃうような性感であってほしいなという願望でつくりましたwww
もう、我がサイトの十神くんが変態すぎて申し訳ない…十神くん好きな方でコレを見て遺憾に感じた方いたらすみませんorz

読んでいただきありがとうございます!





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