おわりの呪文はきちんと唱えていってね

ーーおねがいが、あります。


「……やぁやぁ帝人くんじゃないか、どうしたんだい?久しぶりだね。最近見ないけど何をやっているのかな」
「……知ってるくせに何言ってるんですか」
「ははは、そうかもね。でも俺の知らないこが起こってるかもしれないじゃないか」
「それでも結局火付け親はあなたじゃないですか」
「そうかな?まぁ座りなよ、コーヒーでいい?」

惚けるのも上手いですよね腹立つ、と小声で言いながら白い目を向けてくる帝人くんを横目で見る。
前あったよりも減らず口を叩くようになった。いつの間にこんなに口が回るようになったのか。素直にありがとうございます、と両手で受け取るのはまだ可愛いところが残っているが。

「あーあ!俺を見る度驚いていた純粋だった帝人くんはいつの間にそんな小生意気になったのかな」
「…あなたのせいですよきっと」
「ほんと憎たらしい……帝人くんもだけどなんだか最近の池袋は様子が変だね?あの青いカラーギャングのせいかな」

ここのところ青い海の底で息を潜めていたブルースクエア。深海にいたはずのサメが最近よく表立って出没している。深海の餌に飽きたか、地上のごちそうに目をくらましたか、最近の彼らの行動は目にあまる。
そう、黒沼青葉の存在と、この竜ヶ峰帝人くんがブルースクエアで動くようになってから。
裏で何が動いているかはわからないがほぼ彼らのせい、と言っていいだろう。

「あっは、そんな睨まないでよ、別に咎めてるわけじゃない。別に池袋がどう変化しても俺にとって問題ないし、それこそその変化に興味があるしね。……ただ、ブルースクエアはいいい噂を聞かないからね。俺は帝人くんが心配なのさ」
「心配ですか、へぇあなたが?」
「もっちろんさ!俺は君の力になりたいんだからね!」
「あなたにそう言ってもらえてとっても嬉しいですよ…」
「安心したまえ。俺は君が納得する情報をちゃんと持っているつもりだよ」

こくりと神妙に頷く姿はいつもよりちょっと真剣というか恥ずかしがっているようにも見えたが気のせいだろうか。

「…さて、世間話はこれくらいにしよう。それじゃあその周辺の情報が欲しいのかな?あれは結構物騒だからねぇ料金はぽーんと跳ね上がるけど欲しいかい?」
「いえ、欲しいのは山々ですけど」
「ん?お金がないなら体で払ってくれてもいいよ?君かわいい顔してるしほしい人ならいくらでもーー」
「相変わらず下衆な方ですね。でも違いますよ。僕が欲しい情報は、」

あなたの、こと。

「へぇ?」
「ダメですか?」
「んー…さすがの俺でも自分の身はかわいいからね、何に使うか聞いてもいいかい?」
「えっと、それは、言わなきゃだめ、ですか」
「質問に質問で返すのは良くないな。俺は秘密主義者なんでね、俺の情報を出したらそれはそのまま俺の弱点になる。情報屋が暴かれちまったらそれこそ廃業不可避にもなり兼ねないよ?それ、分かってるのかな」
「…ううんそうですよねぇ」

うーんうーんと悩む姿に邪気は見られない。この子に俺の情報を売ったところで俺を破滅させるような悪用するようにも見えないが――ダラーズの創始者となれば本人はそうでなくてもパイプで繋がっている第三者が使うともしれない。
人のつながりは侮れないからね。特にこの子は可愛い顔して思った以上に切れる頭も持っている。そしてやることがいちいちえげつない。そこが彼の面白いところだが、そういったところで油断などできやしない。

「……まさか黒沼青葉の差し金だったりするのかい?折原臨也の弱みを握って揺すろうとでも?」
「いえ、そんな」
「それとも色仕掛けでも効くと思った?」
「はは、それで効いたら僕もどうしたらいいか分からなくなっちゃいますよ」
「ふぅん?きみは俺の情報を聞いて悪用する気は?」
「悪用ですか、ああ!そういう手もありますね」
「……」
「臨也さん顔ひどいです。安心してください、ここで知ることを僕は口外する気もないし、第三者に知られなければ、僕以外が使う事はないです。完全に個人で来たので」
「君は一応信頼できる、と。でもそれ以外は知らないって?」
「んー用心深いですね。分かりました。絶対に情報を漏らすなんて粗相はしませんよ」
「ならいいけどね。でも俺の情報っていっても何が知りたいんだい?プロフィール?」
「ああそういえば、何を知ったらいいんでしょう…あのとき話をしてからずっと貴方の事が分からなったので。とりあえずあなたを知りたかっただけなんです、何かひとつでも良いから分けてくれればと」
「ふ、あっはっはっ!!なんだって?ずっと俺を知りたかったってそういうこと?ははっ、そいいうことなんだ?ふふふ面白い、面白いよ帝人くん!だから俺は君が好きなんだ!」
「?」


――いいよ、教えてあげる。そのことも。かわいい君になんだって教えてやろう

はい、教えてください、あなたのすべてを。








▼なぁ帝人くん知ってるかい?そういうのってね、**っていうんだよ!
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