花黒ろぐ2
【どこか遠くへ行こう。】




『よっしゃ!今の見てたか?』
『ええ、見事なダンクでした!でもケガなんてしちゃダメですよ火神くん』
『黒子ってば心配性だなー!大丈夫だってのちょっとのケガくらい!もっかいやる!』
『元気ですねえ』
『行ってくる!』

「……いってらっしゃい、火神くん(彼はどんどん先へ行く。いつかの、あの彼らのように)」
「おい」
「……っ、な、なんですか花宮さんいきなり背後に立たないで下さいよ痴漢ですか警察呼びますよ」
「……お前さっきと同一人物か?」
「当たり前でしょう。何言ってんですかついに脳味噌沸きましたか?」
「はーん…あれが所謂イイコちゃんの黒子テツヤの顔なわけ?」
「はぁ?いきなり何を言い出すんですか」
「なんつーの?パブリックとプライベートの違い?を垣間見たってぇの?お前実は毒舌だよな。俺と話すときとか」
「ああ。そういう事」
「俺と話す時はプライベートに戻るんだな」
「さぁ?」
「俺さっきみたいなニコニコしてんのよりは今の方がてめぇっぽくて好きだぜ。性格悪そうで」
「……それって遠回しに貶してません?」
「いや。貶したつもりは無いけど?好きって言ってんじゃん」
「……どうだか」
「照れんなってー」
「照れてませんよただあなたは馬鹿なんだなあって呆れてただけです」
「照れんなってー」
「……呆れてただけです」
「へーえ?」
「……」
「つーかアイツの時はパブリックの笑顔見せてたから俺はアイツよりプライベートなお前を知っている」
「ああ……要するにマゾヒストってことですか馬鹿ですねぇ」
「要せてねぇ!別にマゾじゃねぇし!」
「だってあなた僕のコッチ側の方が好きなんでしょう?いつものボクよりも」
「……まぁな」
「それだけで充分おかしいですよ」
「……そうか?」
「そうです」
「アッチは弱音を吐かない天使ちゃんな黒子でこっちは劣等感ばりばりの人間らしい黒子。人間離れした天使よかちゃんと感情のある人間らしいお前の方がいいと思うぜ?そう思うのが当たり前だろ?」
「…弱音吐きまくってますよ」
「いや、あっちのお前はキセキを超えること、ガチでバスケのことしか考えてなくてちょっと引く」
「それ、花宮さんの主観じゃありません?」
「さあ?少なくともあの黒子はキセキに嫉妬なんてしないだろォが?」
「……変なひと。醜い方を選ぶなんて」
「醜くねえよ、人間は感情があるから美しいってな」
「……はっ」
「鼻で笑いやがったこいつ…」
「これも人間らしい感情ですよ」
「自分で言っといて何だがなんかムカつくな…」
「ふふ。勝手にムカついてていいですけど、あとでお茶でも如何です?差し入れにお菓子を頂いたのですが」
「お前んち?」
「ええ」
「うわ、珍しいこともあるもんだな…明日は雪か?」
「ああ来ないんですね分かりました。ではお菓子は公園の野良猫たちにでもあげてきましょう。花宮さんさようならまた会う日まで」
「待て待て待て行くに決まってるだろーが!折角誘われたのに」
「いちいち紛らわしいんですよあなたは」
「馬鹿、拗ねんな」
「拗ねてるわけじゃ無いんですけどね…」


(ボクの存在を認めてくれたほんの少しのお礼です)



(ーーどんなお前も受け止めてやるから、はやくコッチに来いよ)


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -