Shooting star
(※OSSのネタバレを含みます)
ここは時間の狭間。過去と未来が混同している謎の空間。その空間で過去と未来の青い少年たちは共に闘った。
欲しいままに美しい少女の時間を止めようとしたクロックマンに制裁を食らわせ、囚われていた彼女達を無事助け出し、現在に至る。
『ミソラちゃん!』
『ロールちゃん!』
『ロックぅ…』
『よかった無事で…どこか異常はない?』
『うん!平気』
『ミソラちゃんは平気?』
『うん。でも、えっとここは…?電波世界じゃないみたいだけど』
『ここは電脳世界って言うんだって。昔は電波じゃなくて機器の中にインターネットっていう世界が広がってたみたい』
『電脳世界?…ってつまりここは過去の世界ってこと?スバルくんはどうやってここに!?』
『委員長と先生に助けて貰ったんだ』
『だ、大丈夫だったの?』
『失敗する可能性もあったんだ……、でもミソラちゃんを見捨てるなんてできないし』
『スバルくん…!』
再び出会えた喜びと自分のために命をかけてくれた感動に打ちひしがれながらピンク色の少女、響ミソラは赤いバイザーをつけた少年星河スバルへ駆け寄った。
それを受け止める様は恋人を抱擁する様で、もう一人のピンク色の少女、ロールはときめきを隠せないまま頬を染めて二人を見守っていた。
もちろん、自分は隣に立つもう一人の青い少年ロックマンの手を握りながら。
耐えきれなくなったロックマンがどうしようかと控えめに二人に声を掛けた。
『あ、あのー……、』
『はっ!キミはここの時代の人?』
『そうだった!彼はロックマン。ボクと同じように大切ひとをさらわれて協力したんだ。』
大切なひと?って私のこと?とロールは嬉しそうに聞き返す。もちろん、と答えロックマンはスバルとミソラに笑い返した。
『あはは…色々あってね』
『あれ?キミもロックマンっていうの?スバルくんと一緒だね』
『なんか、そうみたいだね…』
『あっでも確かに所々似てるところがある気がする』
電脳世界のほうのロックマンに興味津々のミソラはまじまじとロックマンを見た。二、三ほど質問をしたときロールが声を掛けた。
『ねぇねぇちょっと聞きたいんですけどぉー?お二人は恋人なの?』
『『ええええっ!?』』
ちょっとロールちゃん!そんなこと言われたら困っちゃうんじゃ…とロックマンが宥めるも恋愛ごとと噂が大好きな女の子は話すのをやめることなどできない。いいじゃない!仲睦まじくて羨ましいわ、ねぇ?とロールは二人に笑いかける。二人はさっきまでの抱擁は嘘のようにさっと離れ、目をそらしながら必死に弁解のように捲し立てた。
『いやいやいや!みっミソラちゃんは大切なブラザーで…!そんな恋人なんて、そんな…!そんな!』
『そうよそうよ!そんな関係じゃないから!』
『えーそうなのー?二人とも顔が赤いわよ?』
『ロールちゃん…』
わたわたしながら弁解をする様は初々しく付き合いたてのカップルのようで、見ているだけで微笑ましく映る。そんな二人をニヤニヤしながら見るロールをロックマンは遠い目で見つめていた。
スバルの傍らにいたウォーロックが爆弾を落とす前までは。
『あん?スバルよぉ、お前ちょっと前に委員長とデート?してなかったか?』
ミソラから放たれていた照れオーラはどこへやら、瞬間、場の空気は急降下する。
ロールはそんな空気に修羅場?修羅場なのね?とワクワクし始める。
『ちょっ、ウォーロック!?』
『……スバルくん……そうなの?』
『ちっ、違うよ!あれは前の事件のお礼を言ってもらっただけで… 』
『でも委員長に告白されてたよな?ロックマンさまーって』
『委員長が好きなのはボクじゃなくてロックマンのほうだから!』
『でもロックマンもスバルくんじゃない……』
『あー…えっと、スバルくんはモテモテなんだね?』
プチ修羅場を和ますためにロックマンが放った一言はあらぬ方向へと飛び火する。
『あっらー?ロックもこの前メディとアジーナで遊んだらしいじゃない?」
『あ、あれは案内してもらっただけだし……』
『なーによーアジーナエリアなんてしょっちゅう行ってるじゃないのー案内なんて必要ないんじゃなくて?』
『ロールちゃ〜ん……』
『熱斗くんも熱斗くんよ!』
「俺ぇ!?」
『メイルちゃんがいるのに舟子さんとお出かけしたりしちゃうんだから!』
「あれはヒグレヤのバイト帰りだっただけだって!」
『それが問題って言ってるのよ!このにぶちん!』
「『そんな〜…』」
『はは、どっちも女に振り回されてら』
けらけらと笑うウォーロックを小さく睨みながらこうなったのはウォーロックのせいなのに、と男たちは必死に彼女らを宥めていた。
『とっとにかく急いで帰ろう!時間操作はそんなにもたないらしいんだ。きっとみんなも心配してるし!』
『スバルくん…そんなにルナちゃんに会いたいの?』
『違う、くはないけど、ボクはミソラちゃんと一緒にみんながいるあの世界に帰りたいんだ!』
『もう……仕方ないなぁ。そんなこと言われたら許すしかないじゃん。……じゃあ帰ろっか』
『うん!』
これが天然ジゴロか…その場にいた誰もがそう思ったに違いない。
だがワープホールが閉じるのも恐らく時間の問題で乗り遅れたらスバル、ミソラはこの時代に取り残されてしまう。
ワープホールに入る前に改めてスバルはロックマンと熱斗に向き合う。
『ロックマン、そして熱斗くん。』
『?』
「なんだ?」
『色々迷惑をかけちゃってごめんね』
「気にすんなって!」
『熱斗くんとロックマンに会えてよかった。ボクたちはもうブラザーだ!』
「おう!」
『離れてても、時代さえ違っていても絆は消えない。君たちのこと、ずっと忘れないよ』
「俺もだ!」『ボクも!』
『んじゃ、スバル行こうぜ。』
また、会うその時まで。
▼PETの中
『熱斗くん、女の子は怒らせちゃダメだよ』
『熱斗くんは鈍いからねぇ』
「ほっとけ!」