結構したたかですもん。


――何となく、分かっていた。校門を出てから、なにかに出会うんだろうなという、あまり良いとは言えない予感。
悪い予感ほど当たると黒子が言っていた。

「あ、黒子っちー!」
「うげ、」
「黄瀬くん」
「いやーこんなところで会うなんて偶然ッスね!むしろ運命?」
「黄瀬くんうるさいです」
「ひどい!でもそんなつれないところも好き!てか火神っちあからさまに嫌な顔すんのやめてくれないッスかー」
「いや、だってよ……なぁ?」
「ですね」
「何スかその意志疎通!アイコンタクトずるい!」

黄瀬涼太。キセキの世代の一人で何故だか黒子にやたら懐いている。黒子を見つけると一目散に駆け寄ってくる様は大型犬を思い出させる、がそれは黒子にとっても同じようで黄瀬の扱いがまるっきり犬だ。

「ずるいって……黄瀬くんハウス」
「うえぇ!?……うぅ…黒子っち、俺は寂しいッス……ずっと一緒にいたのに帰りもシェイク一杯奢ったのに……黒子っちー……」
「はあ、本当きみは昔からしょうがない人ですね…ほら」
「!黒子っちあいしてる!ハグー!」
「ハイハイ」

それでも黄瀬は黒子に構われるのが好きなようで犬のような扱いでも喜んでいるようで……こいつはMなのかもしれない。
そんな黄瀬の頭を黒子が撫でたとき、黒子に見えないように黄瀬が小さく笑ったのが見えた。純粋な笑い方じゃなくて、してやったり、の笑い方。
外ヅラいいくせにこいつは意外と人によって態度が微妙に違う。例えば俺。正確に言えば黒子と黒子以外。

「……俺、お前が恐ろしいわ……」
「そッスか?俺まだマシだと思うんスけどねー。あ、ちなみに俺はマゾじゃないッス」
「ああ?」
「黒子っち限定」
「(そうかよ)……キセキってのはみんなこんな感じなのか?」
「さぁ?」

黄瀬はまたらしからぬ顔で笑った。くそ、イケメンの笑顔って怖えな。
取り敢えず隣を歩いていた薄水色をくしゃっと撫でてやった。不満そうな声が聞こえたが無視だ。






「――まぁでも、全員黒子っちに命は賭けてる感はあるッスけど」

耳に入った声は咄嗟に意味を理解出来ずに一瞬だけ思考が停止した。動き始めた頭と奴の言う意味を理解した頭に、実は黒子ってやべえんじゃねえの…という考えが過ったがそれは言わないでおいた。



(ただの忠犬じゃないの)






▼ シャラ顔で言われても……。
火神くん視点難しい…
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