Breaking down
(C*R。病んでるかも?)





『そこまでだ!』
いつかこの人畜無害な小さな子が発したあの、鮮烈な青。そいつはいつまでも脳内メモリにこびりついて消えてはくれない。

「――ねぇ、ロック。」

なぁに、と返される柔らかな声。
あの日俺を睨みつけながら呼んだ重く苦しそうな声とは全く違う、軽やかな声。
「俺と、」
あの真っ黒に塗りつぶされた空に望む俺とお前しかいなかったあの空間へ、もう一度。
あの時の一撃一撃の楽しさと恍惚感とあの快感はそうそうに忘れられそうにない。
お前の正義感と苦渋と同情との混じったその目で射すくめられるあの感覚。悲痛の声。小さな体に不似合いに鈍く光る大口径の真っ青な銃口。
あの目で、あの声で、あの銃口で、俺を呑み込んでもう一度。
『殺し合いをしてくれないか』
「――ッ、……あ、おれ、なんか、言った?」
「うん?俺と、の後は何も。どうかしたの?」
「あ、いや、なんでも、ない」
「そうなの?なんかさっきからちょっと楽しそうだったから、なんだろうって思って」
ふふ、と軽やかに笑うそれは自分が知っている人間の姿となんら変わりがなかった。
こいつは本当に俺と同じロボットなのかとありえない錯覚に陥るほど、人間じみた姿だった。
この脆そうな腕から放たれる重い弾丸の不釣り合いさに余計に意識が昏倒する。
これの内部の奥の奥の方まで俺の手で、分解できたらいいのに。
「……なぁ」
「なに?」
「俺ともう一回闘ってよ」
「なんだ、そういう話?やだよ、今はワイリーも…じゃなかった、ワイリー博士も悪さしてないからボクの出番はないんだよ」
「ちぇっ」
「拗ねないでよ、」
「なぁ」
もういちどあのこえでおれをよんで、そのバスターでうちぬいてくれよ。
「……なんだよ、今日のキミはボクよりコドモみたいだ」
「ロック」
「甘えるのはいいけど、闘うのはダメ」
「……いけずぅ」
「もう!」
数秒の間の後に諦めたように吐き出された呼吸のその後、己のメットに触れたのは何だったか。
家庭用ロボ独特の素材でできた口呼吸器官。
おそらく自分より柔く設定されたいわゆる唇の感触。
その行為が原因か、彼の頬が熱を持ちはじめる。人間で言う照れというやつだ。
それをかわいいと思ってしまうのは致し方のないことだろ?
「もう。勘弁してよ、クラッシュ」
熱を持ちはじめたその頬を俺の大嫌いなアームパーツで撫でてやる。くすぐったいからやめろと口では嫌がるそのゼロに等しい抵抗を抑えこんだ。
ふいと逸らされる青も、頬を染める赤も、とても、いとしい。

(……ドリルパーツ、持ってこればよかった)
「だからこそ、俺は」



――一度お前を壊してみたいのさ。








 
                                            
▼ や ら な い か
続き書いたら絶対に閲覧注意になるよねコレ。
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